少額の問題なら

「5万円貸したのですが、そのお金を返還してもらうための内容証明を作成してほしい。」
「5万円相当の XX を壊されたので、弁償を要求する内容証明を書いてほしい。」

というようなご相談はよくあります。
内容証明の作成料金(報酬)は、ケースによって、事務所によってさまざまです。
行政書士だけでなく、弁護士も司法書士も税理士も、全国一律に決めてはいけないのです。

5万円を取り返すために、行政書士に内容証明を依頼して得なのかどうかは微妙です。

ボッタクリじゃないの?

「5万円の問題で困っています。」という本題に入る前に、話が逸れますが、行政書士の報酬額をお話しなければなりません。

私は、カメラを買うならヨドバシカメラとかビックカメラとか、最近ではアマゾンでも買います。他にも通販などでお得な買い物ができます。
ですから、家の近所のカメラ店で買うということは私はありません。(そもそも近所にカメラ店がない?)

以前、外国にしばらく住んでいたことがあるのですが、当時、買い物をするのにどこで買うと一番安いか探しましたが、どこの店も同価格でした。郊外の大型店舗で少しだけ安く売ることはありましたが、基本的に「安売り店」はありませんでした。

ということは、同じ商品ならわざわざ遠くの大都市まで行かなくても、住んでいる町で買うのです。価格が適正であれば、これは良い制度だと思います。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

私の小さい頃、床屋さんはどこでも同額でした。床屋さんは理容組合に加盟していて、理容組合に加入していないと、なんとなく怪しい店の感じがしたと思います。
組合に加入していると、カット・シャンプー・顔剃りなどの種類も手順も同じで、質が一定だったと思いますが、価格も同じだったのです。しかし、そもそも価格設定が高かったというのが私の印象です。

現在は、床屋さんも自ら決めているところがほとんどでしょう。行政書士事務所も、報酬額を独自に決定しなければなりません。
「報酬額は全国一律ではないのです。」と説明すると、
「なんだ、行政書士業界って、まだそんなレベルなのか。」
と言われることがあります。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

役所で、自分の亡くなった親の戸籍のコピーを請求すると1ページでも2ページでも一律に750円ですが、高くないですか?
この戸籍の発行料金を郵便事業会社の定額小為替で支払うと50円分の小為替でも手数料の方が高いです。

でも役所は一律料金です。
全国一律料金でないと、その業界は管理が甘く、会員が勝手なことをしているのだろうという印象を持たれたのでしょう。その感覚も理解できます。

適正価格があるはず

報酬額を各々が自ら定めることは、ある意味で「発展途上の制度」だと思います。わが国の精神文化が成熟して、日本全国で「仕事の質も同じ」となって、「ボッタクリ」などというものがなくなれば、一律料金にしたほうがよいのだと思います。良い仕事・重要な仕事の報酬は高くなります。
(きちんとした国を旅行すると、たいていはボッタクリがありませんし、釣り銭のチョロマカシもありません。)

一般消費者の利便を図って行政書士報酬が自由化されたわけですが、結果的には安売り競争となり、多くの行政書士が廃業していきます。何らかの工夫をこらした一部の行政書士しか職業として成り立ちません。一般消費者にとって必ずしもよい結果にはなっていないと思います。安い報酬ではそれなりの仕事なのでしょう。

通常5万円のところ「どうしても3万円で」ということになれば、何かを省かなければなりません。800円の天丼をどうしても500円にしてほしいとなれば、具を「エビ」ではなく「カマボコ」に変更してもらうかもしれません。それでもどうしても「エビ」でなければならないとすると、捕獲・流通過程の怪しいものになるかもしれません。

行政書士には材料費がほとんどかからないだけに、1枚の紙に込められた工夫とリスクがみえにくく、ボッタクられている気がするかもしれません。
弁護士さんに依頼したら「ふっかけられた」「ボッタクられた」という話もよく耳にします。実際にそうなのかもしれませんし、勘違いもありそうです。

業務受任前にだいたいの費用がわからなければ不安でしょうから、たいていの場合この仕事には「△△円」かかると設定しておきます。途中で業務が予定よりかなり増えるようなら増額、予想より簡単に済みそうなら減額し、数百円という細かな数字は切り捨てて、価格は5千円単位くらいの大雑把なほうが安心して話ができると思います。(1回質問をするといちいち報酬額が上がるのでは、落ち着いて質問もできなくなってしまいます。)

内容証明などの相談事は人生でそう何度も起こることではなく、また専門家に相談したいという人も事務所前に行列を作るほど多くありません。一方、紙一枚に書いた内容でも重要事項のことが多いので、単価はやはり高くなります。次から次へと客が来るハンバーガーショップや決まったものを販売するコンビニで働く時給とは違います。
弁護士事務所に訴訟を依頼することはさらに珍しいので、報酬はさらに高くなります。

まずは予防する

さて、正当な理由があって、人に5万円を請求する話に戻ります。

人からお金を借りたら、善良な人・まじめな人ならその借りたお金は返すでしょう。人にお金を貸したのに、約束どおりに返してくれないとなれば、ほうっておく訳にはいきません。かといって、裁判をすると高額の出費があります。
たとえば「5万円」をどうしても返してくれないからといって、弁護士に依頼して訴訟をすると何十万円もの赤字になるでしょう。

行政書士に依頼しても報酬や事務費用がかかります。訴訟をするほどの費用はかかりませんが、5万円、3万円、2万円を取り返したくて、専門家に依頼するといういのはあまり現実的ではありません。

世の中には図々しい人がいて、道徳的にどれほど人から非難されようとまったく動じない人もいます。それを許さないような工夫も多少はありますが、本人の意に反して何かをさせるのは大変なことです。本人が「返したくない」と言っているのに、それでも返還させるのは結構大変なことです。法治国家というのは、考えようによってはかなり「歯がゆい」のです。

脅したりして自分で取り返してはいけないというのが近代国家ですから、どうしても返済しないという相手から取り返すには、国家権力を使わなければなりません。簡単に言うと訴訟(裁判)です。裁判費用よりも弁護士費用が高額です。法的に無理矢理に取り返すとなると大金がかかるのです。

これではお金がない人は自分の権利や財産を守れないことになってしまいますが、現実にはそういうことです。

理不尽ですが、物を盗まれても犯人を捕まえない限りはどうにもならず、ただ盗られっぱなしですから、自分の権利・財産が当然に守られるわけではありません。正義が勝つとはかぎりません。思い通りにならないことはたくさんあります。

そのために、玄関ドアは二重ロックにし、高いお金を出して金庫を備え付けたり、防犯カメラをつけたり、持ち歩くカバンにも鍵がかかります。
基本は予防です。

予防するには、怪しい話に乗らないとか、危ない人には近づかない、メモ・約束・契約書を作る、などしておくというのも大切なことです。しかし、よくわかっていない人から財産を合法的に取るような商法(詐欺・詐欺まがい)はたくさんあります。

よくわかっていない人といっても、ぼんやりしているという意味ではありません。経済や法律をしっかり勉強して、合法的に人をだます方法を(合法的なのだからだましてはいないのですが)朝から晩までずっと考えている人が大勢いるので、そういうカラクリを知らない人は騙されるのが普通なのです。

5万円取り戻したい

日常的に予防と注意はしていても、それでも5万円を返してもらえなくなった場合、どうしたらいいのかというと、

  • あきらめる
  • 損をしてでも、きちんとさせる
  • 自分でなんとか頑張る

ということになります。
もっともその中間的な解決方法もありますが、それも納得できない結果になる可能性が高いです。
損をしてでも、白黒をはっきりさせ、反省させるために訴訟をする方法もあるでしょう。

自分で訴訟をしてもよいですが、もともと自分が被害者で、常識的に正当な主張をしているのに、やり方次第では法的な知識・テクニック・手続きの不備等で負けることがあります。

行政書士に内容証明を依頼すると、
「2千円から3千円で済むから、とりあえず内容証明で請求してもらうとよい。」
と友人にアドバイスされたという人もときどきおられますが、数千円ではできません。数千円で作成する行政書士もいるかもしれませんが、業務としては成り立たないはずです。

そうすると、5万円を返してもらいたいという当然の要求は叶いません。が、仕方がありません。「それが世の中」と嘆くことになります。

5万円くらいのことで困っているというご相談はよくあります。さすがに弁護士さんに依頼できません。相談くらいはできるでしょう。
私の事務所に相談があった場合も、できるだけのアドバイスはしています。多少の赤字は覚悟のうえでやってみるという人も少なくありません。残念ながら、うまくいかないこともあります。

「自分で無理やり(力ずくで)相手から取り返してはいけない」のが現代ですから、極端に言うと、悪がはびこり正義が泣くこともあるわけです。(結構、頻繁にありそうです。)

  • 交際相手にだまされた
  • 数万円を返してくれない
  • 盗難に遭った
  • 交通事故で当て逃げされた

などは、泣き寝入りしかできないかもしれません。お気の毒ですが、どうしようもありません。天罰が下ることを期待しましょう。(宗教を信じなさいという意味ではありません。)
そうならないように、できるだけの予防をしましょう。何とかできる程度の赤字なら頑張りましょう。

まず初めに相談

5万円前後の問題で専門家に依頼すると、赤字になる可能性がありますが、とりあえずはどこかに相談してみるとよいでしょう。

無料相談というのもありますが、これはひとつには「宣伝の一種」であり営業活動です。完全に親切心でやっているわけでもありませんが、ある程度は親切のつもりでやっています。「道を歩いていたら駅への行き方を聞かれたから教えた。」というのと同じことです。道を教えてお金をもらう人はいないでしょう。

親切心でやることもありますが、親切にもホドがあります。また、無料でやっていてはプロとはいえません。
相談者さんの事情に即して相談にのる場合は、「30分程度でいくら」という決め方をしています。
文具店でボールペンを30本買うのと31本買うのでは料金が違いますが、彩行政書士事務所では相談時間が30分でも31分でも同じです。同様に、文章の長さが1ページ半でも、2ページでも通常は同じです。行政書士業務というのはそういうものです。

相談ではなく、また内容証明を使っての協議の申し入れでも効果がない場合に、本人訴訟という方法もあります。裁判を自分でやってよいのは当然です。しかし、裁判となれば判断ややり方が難しいし、法律の適用の仕方・訴訟方法がヘタなために、本来勝てる勝負に負けることが考えられます。

「法律は一般常識・良識を文章化したものだから、よく考えればわかる。」という人がいますが(本当はそうなのかもしれませんが)、普通はわかりません。六法の使い方さえわかりません。用語の意味もわかりません。法律は「専門家が使う道具・武器」だと思います。
ですから、法律に助けられる人もいるし、法律によって苦しめられる人もいるのです。

武器の使い方がうまくないために負けてしまう・・・。そのリスクを減らすのであれば弁護士に依頼するしかないでしょう。少額の場合は、ほぼ間違いなく大赤字になるのですが、できれば悪を懲らしめるためにやってみてください。実際、みんながそのようにすれば、お金を返さずに逃げ切ろうという人はいなくなるでしょう。

「絶対に訴訟」でなければ行政書士に相談

頭痛がしたら薬局の薬を服用するか、あるいは近所の診療所へ行くでしょう。いきなり脳腫瘍を疑って、大学病院へ行く人はいないと思います。

しかし、本当に脳腫瘍だったら、薬局で買った薬の代金や、診療所で支払った医療費はムダだったことになります。が、これは仕方がないと思います。

約束が守られないとか、種々の請求をしたい場合など、行政書士に内容証明をご依頼ください。それで協議をして納得できたら示談書を作っておきましょう。慰謝料の請求などはまず行政書士にご相談ください。大人の話し合いができる人でしたら、示談が成立するでしょう。きちんと示談書も作成しましょう。

そんなことでは解決できない、法律でガツンと勝負するということなら訴訟をしましょう。訴訟などのための弁護士事務所はご紹介します。

契約・示談といっても、世の中には多種多様なものがありますから、もしかすると私では手に負えないかもしれません。その場合にはしかるべき専門家にバトンタッチできるよう準備はしてあります。

彩行政書士事務所は川崎市中原区で、武蔵小杉駅・元住吉駅そばで面談・相談をしています。JR南武線・東急東横線の交差する駅ですし、多くの路線が乗り入れていますので、実際、遠方のかたにもお越しいただいています。横浜市、東京、埼玉、千葉、静岡などからもそう遠くはありません。

また、多くの業務は全国対応しています。郵便や電子メールを使います。お電話だけでお受けできる業務はありませんのでご了承ください。(電話だけで内容証明郵便を作成してほしいというご依頼がありますが、種々の理由からこれはできません。)

まずは、メール・電話でご連絡ください。電話は事故防止のため「発信番号通知」にして、携帯電話の方におかけください。

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