DNA鑑定

DNA鑑定の信頼性

DNA鑑定といえば、昨今はかなり信頼のある技術でしょう。しかし、かつてはDNA鑑定をしたけれども、それが不完全だったために冤罪となった人もいたのでした。(DNA鑑定の精度だけの問題ではないという人もいます。)

不倫 離婚 DNA

再婚禁止期間は合憲か

離婚した夫婦の元妻にだけ6か月の再婚禁止期間があることが違憲かどうかの判断が平成27年12月16日に最高裁判所でありました。
再婚禁止期間(待婚期間)が規定されていること自体は合憲で、100日を超える部分(80日)は憲法違反とのことです。

これに関するNHKの報道についてコメントしておきます。(出典は ttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20151216/k10010342831000.html ですが、この記事には間違いもあるので、これだけを読んだ人は勘違いするおそれがあります。出典も記しましたが、発表後数日で削除されますので、現在は読めません。間違った情報の記憶だけが残り、原文・出典・証拠はなくなってしまうことになります。)

この報道記事によりますと、

民法が制定された明治時代は、科学的に親子関係を確かめる技術がなかったため、女性が妊娠した時期によって父親を定める「嫡出推定」というルールが設けられました。

と解説されていますが、「科学的に親子関係を確かめる技術がなかったため」ということは、当時から現在のようなDNA鑑定技術があれば、このような条文はできなかったはず、つまり、現在はDNA鑑定技術があるから、この条文は不要だと印象づける作用があると思われます。読み手の印象を左右する報道は避けるべきでしょう。

女性が離婚したあと300日以内に生まれた子どもは、離婚した元夫の子と見なすことになっています。また、女性が再婚したあと200日たってから生まれた子どもは、今の夫の子と見なされます。

「見なすことになっている」「見なされます」というのは間違いです。
民法772条では、
(1) 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
(2) 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

のように、「推定する」と定めています。
「みなす」と「推定する」は大きく意味が異なります。

これらは事実認定する場合の規定で、

  • 「みなす」というのは、たとえば「ある事実が不明瞭なときに、それらを確定的に真実として扱う」という意味です。「みなす」と規定されていれば、「そうではない」という証明はできないことになります。
    「女性が離婚したあと300日以内に生まれた子どもは、離婚した前の夫の子とみなす」とすれば、「再婚後の夫の子供」とされることはなくなってしまいます。
  • 「推定する」という場合は、「一応その事実を真実として扱い、それが真実ではないことが証明されれば、その推定された事項が覆るということです。
    民法772条1項で「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」と規定していますから、妻が婚姻中に懐胎した子であれば、一旦「夫の子である」とされても、夫の子でないことを証明すれば「夫の子ではない」ことになります。これが嫡出否認(の訴え)です。
    だから、「みなす」のか「推定する」のかは大問題です。

201日から300日の間に生まれた子どもについては、前の夫と今の夫のどちらも父親の権利を得ることになってしまいます。

「父親の権利を得る」というように、権利だけをいうと義務はどうなってしまうのでしょうか。親権などの権利を得るかもしれませんが、扶養義務等も負います。
さらに「権利を得ることになってしまいます」と表現すれば、あたかも父親の権利を得たほうが利益があり、その権利を不当に手に入れるかのような印象を与えかねません。二人の男性が、「あの女性の産んだ子は自分の子だ。」と子供を取り合うかのような書き方ですが、実際は、押し付けあうこともあります。

完全に公平中立な報道をすることは不可能だと思いますから、ある程度の不適切は仕方がないとしても、数日で消去してしまうというのはいかがなものでしょうか。(これは平成27年12月の時点のことです。)NHKはほぼ全世帯から受信料というお金を徴収してよい立場なのですから、もう少し工夫していただきたいと思います。

親子関係

話をもとに戻しますが、DNA鑑定と親子関係についてです。

平成26年7月17日の最高裁で、DNA鑑定によって血縁がないとされても、父子と認定するという判決を出しています。大雑把にまとめます(ので、不適切な点があればご指摘いただきたいのです)が、

DNA鑑定で血縁関係が否定された場合に法律上の父子関係を取り消すことはできない。妻が結婚中に妊娠した子は夫の子とする民法の「嫡出推定」規定は、DNA鑑定の結果より優先される。DNA鑑定の普及で血縁関係の確認は容易になっているが、いったん定まった親子関係を後の鑑定で取り消せるようになると子への不利益が大きい。」

という内容です。あっちでもこっちでも、頻繁にDNA鑑定をするのか、その結果が出るまでは「この子は誰の子だろうね?」ということになってよいのか、ということです。

生まれた時点で、とにかく「この子は自分たちの子である。」と、決まるのが通常であって、特別な事情がある場合にだけ、訴訟によって「この子は自分の子ではない。」と主張すればよいのではないでしょうか。

もっともこの裁判でも、DNA鑑定による父子関係を優先させるべきという意見の裁判官もいました。裁判とは微妙なものです。

DNA鑑定をする

離婚の場合も、不倫の慰謝料請求の場合も、微妙な時期に子供が生まれていると、当事者の間で「誰の子なのか」という疑問が生じるかもしれません。養育費のことを考えるとかなりの額です。そこで、DNA鑑定を依頼することになります。検査会社によって価格もいろいろです。

DNA鑑定によって父親が特定されても、当事者(父・母・子)の誰にとっても後味が悪いのではないでしょうか。(子供はDNA鑑定のことを知らないとしても。)

「婚姻関係だけでなくおよそ男女関係は、常に緊張関係にあるもので、誰をパートナーとして選ぶか・選ばれるかは自由競争である。だから『法律婚』として男女婚姻関係について法が一定の保護をする(不倫の慰謝料請求ができるようにする)などという必要はない。」という考えもありますし、夫婦婚姻関係・親子関係・子の福祉を考えると、法律による保護は良い制度だという考えもあります。

離婚協議書

離婚するかしないかは本人の決断です。自分の性格・配偶者の性格・婚姻生活の微妙な状況は、第三者としてどこまで客観的なアドバイスができるのかはなはだ疑問ですので、離婚協議書作成の前提としてお話は伺いますが、離婚したほうがいいとか、よくないとか、「こうすれば離婚できる。」というようなお話はできません。まして離婚をあきらめさせたり、煽ったりるることはありません。

不倫等があったなら、不倫の慰謝料離婚の慰謝料財産分与なども考慮して離婚協議書作成業務を承ります。

事情によって、非常に簡単な場合も複雑な場合もあります。夫婦共に働いて、財産関係も事実上区別している場合などは比較的シンプルです。
専業主婦の場合や、子供がまだ幼い場合には複雑な離婚協議書となる場合もありますから、一度はご相談いただいたほうがよいと思います。

離婚では、「お互いに気が合わなかったね。さようなら。」で済むこともありますし、多少、感情的になったり、腹が立ったりすることもあるでしょう。

しかし、普通にやっているかぎり、離婚裁判にまではめったになりません。法律の問題というより、感情重視の問題だからです。少々のイザコザはあっても、訴訟までは必要ないことがほとんどです。なるべく冷静になって、早期に解決しましょう。

「離婚協議書を作成すること」を目標にして、できるだけ客観的に「紙面」に向きあうという姿勢がお勧めです。実際には、

  • 「相手に言われた『あの一言』が許せない。思い出すたび、眠れないほど腹が立つ。」ということはよくあります。

それは十分承知していますが、離婚協議書作成にあたっては、書式と内容のアドバイスをさせていただきます。

一般的に「重要なものは公正証書にする」と無難ですが、離婚協議書や不倫の慰謝料合意書などで、公正証書にしてもあまり意味のないものも少なくありません。

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武蔵小杉の行政書士

当事者間で、「話し合う余地はない。法律の規定どおり。法律で勝負!」という状態の場合には、当事務所では業務の受任はできません。当事者に、合意書・示談書などを作成して問題を解決しようという気持ちがなければ、(協議できないので、)訴訟となるでしょう。
『行政書士は街の法律家』といわれていますが、法律を駆使して闘うのではなく、法規を踏まえて、「あなたの生活のバックアップ」をするとお考えいただくとよいと思います。実際、それで解決することが可能なのですから。

土曜日・日曜日・祝日も面談が可能です。
就業後の19時から、20時からでも面談できるようにしています。
予約制ですので、メールか電話でご連絡ください。
相談内容の概略をうかがって、面談日等の調整をしましょう。

電話は時間外でも可能な限りお受けしますが、会議中・面談中・食事中などすぐには対応できないことがあります。
伝言をひとこと(「離婚協議書の件」「不倫の慰謝料請求の件」「内容証明の件」というように)残していただけるとたすかります。時間ができ次第ご連絡します。(電話は携帯電話・スマホからいたします。)

面談は武蔵小杉・元住吉で行っていますので、東急東横線・JR南武線ご利用の方には便利です。相互乗り入れも多い路線ですから、川崎市内・東京(世田谷区・大田区)・横浜(港北区)だけでなく、千葉・埼玉・静岡方面からもご相談いただいています。小田急線ご利用のかたも多いです。

こちらからの出張も可能です。小さなお子様がいる場合など、外出が大変でしたらこちらから伺うこともできます。

ご相談内容にもよりますが、全国対応いたします。(電話とメールと郵便が使えれば、たいていは可能です。電話のみによる業務受任はできませんのでご了承ください。)

業務の性質上、強引に勧誘できるようなものではありませんので、安心してご連絡ください.

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