離婚時の財産分与

離婚時のお金のやり取り

離婚の際に、財産をどのように分けるか(財産分与)は大きな問題です。離婚について配偶者の一方に非があるなら「離婚の慰謝料」も生じるかもしれませんから、この分も考慮しておく必要があります。

買い物をするときに「内訳」というのがあります。内訳は明細書であって、項目ひとつひとつを積み上げていけば、「総計」に至るような気がしますが、実際にはどうしても曖昧さがあります。

「区切・段階」がある

バスに乗ると、「駅前停留所」から「中央1丁目停留所」まで乗車しても「中央2丁目停留所」まで乗車しても、料金は同じ」という「区切り」があります。次のような説明でおわかりいただけるでしょうか。

  •  駅前停留所 → 中央1丁目         (200円)
  •  駅前停留所 → 中央1丁目 → 中央2丁目 (200円)
  •  駅前停留所 → 中央1丁目 → 中央2丁目 → 中央3丁目 (250円)

数百メートルの違いだとしても、バスの燃料費も、タイヤのすり減り方も、運転手の労力も違うのですが、乗車料金は同じでよいのです。「区切り」があって、一定区間は同料金です。
算定が無理だったり、かえって煩雑さが増すとか、いろいろな事情があるのだと思います。建築とかリフォームなどにもたいていは似たような点があります。(行政書士の作成する内容証明郵便などの書面作成料金も似ています。)

夫婦の婚姻中に共有の財産があるとしても、共有財産の形成の仕方はまったく同等だったか、支出は共有財産からだったか、共有財産から固有の財産としたものはかったかについて、まちがいなく精算できるでしょうか。共有財産は折半にするといわれても、納得できるのでしょうか。
また、離婚について責任があるといっても、その程度をどうやって算定したらよいでしょうか。

そうすると結局、大雑把に算出するのがもっとも現実的だと思います。大雑把なら、財産分与離婚の慰謝料を分別することにもあまり意味はないでしょう。非のある方が多めに支払うという程度ではないでしょうか。ひっくるめて「離婚給付金」とすることがよくあります。

そんないい加減なことでは納得できないとなれば訴訟となるでしょうが、訴訟をしてもすっきりはしないと思います。国家権力である裁判所によって決定されるので「あきらめ」がつくとは思います。あきらめるよりは、協議をして示談書・協議書を作成したらよいと思います。

総合的判断

大雑把ということは意外と大切だと思います。大雑把とは、全体をみて、総合的に判断するということでもあります。

緻密に、コツコツと数字を積み重ねることが正しい場合もあるとは思いますが、離婚に関連する問題とか相続関係の協議の場合は、全財産の額によりますが、数百万程度の誤差・不明は生じるかもしれません。相続ですと数千万円の誤差もあると思います。

ただし、額は大雑把でも、

  • その額をいくらにしたのか、
  • いつ・どのように支払うのか、
  • 不倫の慰謝料については計算は別。

というようなことはきちんと決めて、協議書・合意書のような書面にまとめておくことは大変重要だと思います。

財産分与をする時期

財産分与をするとき、

  • 離婚届を出す前にするのか、それとも
  • 離婚届を出した後にするのか、

迷いませんか。
どちらでも同じだと思うかもしれません。

財産分与は、離婚届を出した後にするとよいでしょう。
理由を手っ取り早く言ってしまうと、民法第768条1項に「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。」という規定があるから、ということになります。

「離婚をした者」であって、「離婚する予定の者」ではありません。正式に離婚しないうちに、財産・所有権が移転してしまって、やっぱり離婚しないということもあるかもしれません。財産分与の手続きは正式な離婚後にしましょう。

離婚届前に財産の所有権を移転すると、贈与になるかもしれませんので、慎重にすべきです。

協議離婚の届けをする前に、財産分与の合意をすると、「財産分与の予約」となるでしょう。

また、同条2項によりますと、当事者で財産分与の協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に決めてもらうことができます。ただし、離婚してから2年以内にしてください。時効に似ていますが、除斥期間といいます。

 

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