不倫の慰謝料婚姻破綻

メールと不倫

不倫をしている相手とのメール(ここでは、SNSも含めて「メール」ということにします)を配偶者が発見し、不倫が露見することがよくあります。そして離婚することになるとか、離婚はせずに慰謝料請求、示談書・合意書作成という手続きが生じることはよくあります。

不倫はないがメールが親密

自分の配偶者が、メールで「まるで恋人同士のように」「交際しているように」とても仲が良さそうなメールのやりとりをしていると、これは不倫なのかという疑問を持たれる方はおられますか? 不倫交際でなくても、不適切だと思うでしょうか。

もともと不倫といっているものは、通常は不貞行為です。不貞行為はないが、非常に親密なメールのやりとりをしていたら、不倫になるのか? 不倫の慰謝料請求ができるのかというご相談がときどきあります。

意外だと思う人が多いと思うのですが、慰謝料が認められることがあるようです。

メールだけでも慰謝料支払義務あり(ケース1)

もともと、不貞の問題は家の跡継ぎ問題で、生まれた子が正当な跡取りかどうかが重要でしたから、不貞行為がなければ問題は生じないはずです。(もちろん、愛情の問題、世間体の問題なども絡んでいました。)

ところが、大東亜戦争後、家制度・家督相続等を廃止したので、形式上の跡継ぎ問題はありません。かといって、家庭外で無制限に関係を持っていいというのはまずいだろうという判断(一般常識)があり、「夫婦・家庭という心安らぐ円満な環境を破壊する行為は不法行為である。」という理屈をつけたと考えるとわかりやすいのではないでしょうか。

特定の人(通常は異性でしょうが)と、夫婦同然に(恋人同然に)仲がいいと、婚姻関係が壊れる可能性はあるでしょう。

それは「メール」に限ったことではないと思いますが、実際に、配偶者以外の人に、「逢いたい」とか「大好きだ」というような愛情表現を含んだメールをやり取りをしていて慰謝料請求が認められた例があります。(東京地裁 平成24年11月28日)

ここでのポイントは、「それが配偶者に読まれる可能性があると知りながら」メールをしていたからのようです。違法性がある、不法行為であると認定されたとはいえ、500万円の請求に対し、認められたのは30万円でした。

メールでは不法行為とならない(ケース2)

上の例のように、親密な交際をしている間柄でなければ使わないような表現をメールで頻繁に使っていたのに、不法行為とは認められなかった例もあります。

不貞行為がないとしても、異性との交流や接触は婚姻を破綻させる可能性があるということがまず指摘されています。メールのやり取りというのは、メールのやり取りをしている当事者以外の人は、たとえ配偶者であっても通常は読む機会がないのだから、メールをやり取りしている当事者は、自分の配偶者、あるいは相手の配偶者の気持ちを傷つける意図はないはずです。それよりも、自分の配偶者が親密にメールのやり取りをしていること自体を理由に損害賠償請求(慰謝料請求)することは、配偶者や相手方のプライバシーを暴く行為となってしまいます。こういう場合、不倫の慰謝料請求はできないという例もありました。(東京地裁 平成25年3月15日)

 

 

婚姻共同生活を侵害

不倫の慰謝料を請求する根拠は「婚姻共同生活を侵害・破壊に導く可能性のある行為」だからですが、そういう根拠は、他にもたくさんありそうです。

上のケース1とケース2では結論が異なりますので、自分はどう考えるか、裁判官はどう判断するだろうかというと、個々のケースで状況がすべて同じということはないので、実際の案件についてひとつひとつ丁寧に検討するしかないのでしょう。

しかし、上のふたつのような理由で訴訟で争ってみても、主張が認められないか、あるいは認められたとしても非常に低額だということは確かなのではないでしょうか。

ただし、実生活では、各人の価値観が問題となりそうです。

メールと不倫

上のふたつは親密なメールのやり取り自体が不法行為かどうか(慰謝料請求するのが妥当か)ということで、メールの内容から不倫(不貞行為)が推認されるということとは別の問題ですのでご注意ください。

メールが不倫の証拠なることは多いのですが、「メールのやり取り自体」と「メールが不倫の証拠になる」ことを混同したご相談はよくあります。混同したまま、メールのやり取りの当事者と、それぞれの配偶者が話し合いをするとなると、初めから紛糾してしまうかもしれません。

訴訟か示談か

もう金の問題ではない、メンツ・正義の問題だから、費用がかかっても裁判をするんだという気持ちになることがあります。おそらく人生で何度かはそう思うことがあるのではないでしょうか。

もし訴訟をするのであれば、自分の主張を貫き、自分の主張を支えてくれる根拠と証拠が必要です。

しかし、訴訟をしたくない事情というのはいろいろあります。訴訟ではなく、示談や協議で解決するなら、客観的に事態を把握し、この出来事の後、どのような日常生活に戻るのかをお考えください。

訴訟では、たとえ1万円でも相手に支払わせれば勝ちかもしれません。しかし、訴訟で自分の主張が認められなくて悔しい思いをすることもあるでしょうし、勝ったとはいえ、経済的損失に見合うものかどうかも考慮に入れておいてください。

経済的な損得は関係ないという人も、正義が勝つとはかぎらないようですから、どのような結果になっても受け入れる覚悟はしておいてください。

訴訟で負けると、経済的にかなりの負担となることが多いです。それよりも、精神的ダメージが大きいのではないかと心配です。相手にダメージを与えるつもりが、自分がダメージを受けることもよくあります。

訴訟で勝った後、巡りめぐって、結局、自分がダメージを受ける可能性もあります。

大人の知恵

裁判所でもよく和解が勧められるようです。当初は腹が立っていても、事実関係を確認したり、ある程度の時間が経過すると、妥当な解決の見当はついてくることがほとんどです。しかし、初めから感情的に対立し、協議もできなければ訴訟しかないでしょう。訴訟は弁護士さんにやってもらう方が圧倒的に無難です。弁護士事務所ならご紹介します。

事実関係の確認は、起こったことや、経過を書面に記録することで、かなり正確にわかってきます。当事務所で、一方当事者(依頼人)からの和解案を作成(示談書の案を作成)して提示しますので、相手方はそれについての回答や修正・調整をしてみてください。1回の修正ではなく、2回・3回になるかもしれません。手間はかかりますが、満足する結果に一歩一歩近づいているのですから、面倒だと思わずにやってみてください。彩行政書士事務所がお手伝いします。これで、たいていは解決できます。示談で解決するのは「大人の知恵」だと思います。示談書作成・合意書作成というのは、ほとんどがそういう業務です。