本人限定受取郵便

書留郵便では、相手の住所に届けたという証明をもらえますが、相手から「確かに郵便物は届いたが、封筒の中に何も入っていなかった」といわれた場合、反論がむずかしいでしょう。

内容証明郵便なら、相手の住所宛にどういう内容の通知をしたかが証明されます。しかし、相手方住所が会社とか家庭の場合、その住所にいる誰かが受け取ったことはわかりますが、通知を受ける本人が受け取ったかどうかははっきりしません。だから、実際には別の人が受け取って、本人は本当に受け取っていない可能性もあります。

職場の受け付けとか、同居の家族ではなく、本人しか受け取れない郵便が本人限定受取郵便です。

 

内容証明郵便で起こるかもしれないこと

Aさんが、青木太郎さんに手紙を送って、回答を求めたいとします。
内容証明郵便で送ったところ、
同居の妻である花子さんが受け取ったが、
夫の太郎さんに渡すのを忘れた。

Aさんとしては、青木太郎さんが内容証明郵便を受け取っておきながら回答しないのだと確信し、太郎さんが不誠実だと思って感情的になり、問題が複雑化しました。
しかし、実際に太郎さんはこの内容証明郵便について知らなかったのでした。

この例では、妻が受け取ったのに、夫に渡すのを忘れていたという設定ですが、現実にはこういうことはあまり起こらないと思います。
しかし、職場宛に送ったら、受け取った人がそのまま忘れる(など、何らかの事情で本人に渡らない)ということはあるかもしれません。

ここでは具体的に書きませんが、会社の担当者の質が良くない・対応が悪いことは結構あります。そして、客を怒らせたり、話がこじれたりすることもあります。また、この担当者から上司への報告が当を得ていない(自分に非はないのに、客が一方的におかしな主張をしているというような報告をしている)となると、上司や会社全体としては、相手が悪いとか・単なる客の横暴(クレーマー)と捉えることがあるようです。その結果、双方が納得できる条件を見つけるのが難しくなる例はたくさん知っています。ここで、「法律で決着を付ける」となれば、とりあえず解決しますが、双方の溝は埋まらないままです。

もっとわかりやすい例は、良い製品を販売しているのに、カスタマーサービスの対応が悪かったので、その商品を買わない人が増えるというようなことです。

上の写真は、雨の日に受付担当者が余ったタオルを来客用に用意したものです。
雨の日だからといって、いつもタオルを用意するわけではありません。しかし、レンタルタオルが余っていることと、たまたま強めの雨が降ったことで、担当者が気を利かせたものです。担当者は上司からの指示を受けたわけではありません。
もしこの担当者が職場で大切にされていなければ、このような気の使い方はしなかったでしょう。上司との関係、職場環境が良いからこそ、このような対応をしたのだと思います。専門知識や資格などの問題ではありません。

日頃大切にされていない職員であれば、指示されたこと以外はしないでしょう。客の対応の際に、自分がやることをやっている、自分は悪くないという態度が前面に出るかもしれません。そうなると客との感情的な行き違いを防ぐ・収めるどころか、埋まらないような深い溝を作るのだと思います。せっかく良い製品を提供する企業でも、このような職員の対応によって、(微々たるものだとしても)評判が悪くなる・業績を落としていくこともあるかもしれません。

話が回りくどくなりました。
内容証明郵便が家庭ではなく職場に届いた場合、受け取った担当者のせいで、本当に本人に届いたかどうかの確証が持てないこともあるというところから、話が逸れてしまいました。

別の例ですと、△△さん宛に届いた郵便物が隠されるという可能性もなくはありません。いわゆるブラックな企業では、上から下へも厳しく、下から上にも厳しいので、良くないことが悪循環のように起こりそうです。

内容証明郵便を出した人としては、大切な通知内容だからわざわざ内容証明郵便にしたのに、本人に届いていないとは普通は思いません。
ですから、もし上記のような事情が考えられるのでしたら、本人限定受取郵便を使ってみる価値はあるでしょう。

本人限定受取郵便とは、配達員あるいは郵便窓口で、受取人本人の提示する身分証明書を確認して渡す郵便です。

本人限定受取郵便はこのようにゴム印が押され、赤い線が引かれています

 

本人限定受取郵便は本人が自分で身分証を提示して受け取るというかなり手間のかかる手続きですから、受け取る人の労力が増えますし、場合によっては失礼な手紙の出し方だと思います。かえって関係が悪化することのないように、慎重にご使用ください。

本人限定受取郵便は、上に紹介した例以外にもいろいろと使い道があります。「本人限定受取郵便はどういうときに使うのか」という考え方はせずに、事情をうかがって、こういう場合に効果的なのはどういう方法かを提案させていただいています。

 

(記事の中の例は、実際に起こったことを題材にしていますが、改変してあります。)