離婚時に未成年の子がいる場合、「親権者」と「養育費」を定めるでしょう。
協議離婚の場合は、離婚する夫婦(子の父母)が協議して、離婚届に記載するだけですから、手続き自体は簡単です。(事実婚・内縁関係の場合は、離婚届を出すことができないので、別途、書面を作成するとよいでしょう。)
未成年と成年
未成年から成年に達すると、
- 契約締結などの法律行為がひとりでできる
- 親権に服することがなくなる
ことになります。簡単に言うと、「大人になる」ので、法律行為も自己責任でできますし、理屈の上では、親が養う必要もなくなります。もちろん、実際には成年になってもそのようなことが自分でしっかりできない人はいますが、それをいうと、30歳ならできるのか、40歳ならできるのかということになってしまいますし、人によっては15歳でもしっかりできるかもしれません。
しかし、法律では社会の中のルールとして「一律に決める」ことが重要です。特別に保護が必要であれば、個別に対応することになります。
平成34年4月1日から
成年年齢は明治9年の太政官布告、明治29年の民法において20歳とされていましたが、2022年4月1日から18歳とされます。法務省のサイトをご参照ください。
この記事を書いているのが平成31年1月ですから、まだ何年も先のことなので、通常は特に気にする必要はありません。
離婚と養育費
たとえば子供が生まれたばかりで離婚する場合、
「子が成年に達するまで、養育費として毎月5万円を支払う。」
と離婚協議書に定めたとすると、20歳まで払うのか、18歳まで支払うのか混乱しないでしょうか。この子は20歳になる前に成年(18歳)に達してしまいます。
結論から言うと、成年に達するのが20歳と規定されている時に作成した書面であれば、養育費の支払期間は20歳までと解釈すべきでしょう。
養育費の期間
「養育費」とは、子が未成熟であって経済的自立が困難である場合に支払われるものと考えられますから、子が「成年」に達しても、経済的に「未成熟」である場合には、養育費を支払う義務を負うという考え方もあります。現在でも、子が20歳を過ぎても学生である間は養育費を支払うと定めることがよくあります。
いずれにしても、成年年齢が変更されたときに養育費の支払期間も連動して変更されるということはないと思います。
上に、子が20歳を過ぎても学生である間は養育費の支払い義務があるという考え方があると書きましたが、たとえば大学に入学するのに3年間浪人し、卒業までに4年間留年したとすると、養育費の支払期間はどうなるでしょうか。あるいは、高校を卒業して働き始めたけれどもやはり大学に進学するとか、大学1年で中退したけれども、やはり復学するとか、大学院に進学するとか、いろいろな事例が考えられます。それは父母の協議次第です。
成年年齢がこれから変わるので、今後、養育費等を定める場合に
- 「△△年△△月まで」
- 「△△歳の誕生日を含む月まで」
- 「△△歳に達した後の3月まで」
というように、具体的な数字で支払期間を定めることを推奨いたします。
平成34年はキリスト暦の2022年
平成30年はキリスト教文化では2018年です。公正証書などの正式な書面は通常、元号を用います。たとえば「平成50年の12月まで毎月△円を支払う。」という公正証書などが実際にあります。かつては「昭和70年12月まで・・・」というような書面がありました。
成年年齢が「平成34年4月1日」から変更されますが、平成という元号は31年(4月30日)までと決まっています。これから養育費の算定や養育費の支払期間の取り決めをするのでしたら、次の元号が決まるまではキリスト暦(西暦)を使うのもよいかもしれません。今後はもうずっと西暦を使うという人もおられるでしょうし、すでに西暦しか使っていないという人もおられるでしょう。
(平成31年は西暦2019年で、皇紀二六七九年です。示談書・合意書・契約書等で皇紀を使う人はおられないと思いますが、それはトラブルの元になりそうだからです。明治維新の際にも、西洋との外交交渉で混乱を避けるため西暦を用いました。)
婚姻適齢も
成年とは直接の関係がありませんが、親権者(親)の許可なしに婚姻できる年齢(婚姻適齢)も変更されます。従来の
- 男18歳
- 女16歳
が、どちらも18歳と変更されます。いろいろとご意見があるかもしれませんが、この変更で実際に困る人は非常に少ないでしょう。
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