フランスでの婚姻手続き(法律婚)が日本よりも手間がかかるらしいという記事を以前に書きました。では、離婚手続きはどうなのかということになりますが、先に日本のことを書きます。以下、離婚も離縁も同じ意味として使っています。
離婚協議書は必要か
彩行政書士事務所では離婚協議書作成のご依頼はよくあります。当事者間で離婚後の約束をするわけです。未成年の子供がいるとか、離婚時にお金の清算等があって、これを分割払いするような場合です。
しかし、離婚協議書はなくても、夫婦で納得して離婚届を提出すればとにかく離婚は成立します。それで何の支障もないケースもよくあります。
江戸時代なら
日本では離婚に際してその理由を明らかにせず、「とにかく離婚するから、今後、新たに婚姻しても重婚にならない」という証書を作成するだけのことがよくありました。時代によって、地域によって差はあるでしょうから、だいたい江戸時代の平均的なケースということで書いています。
作成といっても、夫から妻に交付するのです。これが三行半(みくだりはん)です。たいていは当事者の話し合いですが、双方の親や人望のある人などが間に入って調整することもよくありました。内済(ないさい)といいますが、だいたい現在の協議離婚に相当すると思います。
家庭外の(対外的な)ことについて書面を作成するのは男の役目で(権利であり義務でも)あったから夫が書きました。夫から妻に交付する形ですが、夫が婿養子だったりすると、夫から妻に三行半を渡し、夫が荷造りをして家を出て行くことになります。また妻の持参金を返すという手続きもありました。妻の持参金が高額で、そのお金を使ってしまったから返せないとなると、夫からの離婚はできないことになります。
諸事情はあるにしても、第三者の裁定を受けずに当事者の意思で離縁・離婚は成立したのです。
返り一札
江戸時代のことですが、離縁に妻が不満を持っていた場合、妻がこの三行半を破棄したり隠したりして、「自分は三行半(離縁状・離婚証明書・再婚許可証)をもらっていないのに、夫が別の女性と夫婦として暮らしている。夫は重婚である」と役所に訴え出ることがありました。嫌がらせでしょう。重婚はけっこう重い罪です。この嫌がらせ(えん罪)を防止するために「返り一札」という三行半の受領書のようなものを妻から受け取るケースも増えたようです。本来は当事者同士で同意すればよいのでしょうが、この同意を第三者にも示せるようにしておいたのでした。
離婚理由は「縁」
離婚に至った理由が性格の不一致なら特に問題はありませんが、夫や妻に不埒(重大な問題)があったとしても離婚理由を明らかにせず、たいていは「自分たちはもともと縁がなかった」のように記載しました。
その後の再婚や人生に支障がないようにと配慮したのかもしれませんし、「他の人となら」、「違う時期に出会っていれば」うまくいったのかもしれないという考え方をしたのかもしれません。男女間・家庭内のことで責任追及をするのは野暮だという考え方かもしれません。
協議離婚
我が国ではもともと当事者の同意と、同意の証明があればよかったから、現在のように誰にも審査されない協議離婚(離婚届の提出)という形になったのだと思いますが、日本の協議離婚を「離婚」と認める国は少ないようです。この記事を書いている時点で、日本の協議離婚を明確に正式な離婚と認める国は英国と韓国だそうです。
多くの国で、離婚は裁判所をとおさなければならないようです。第三者からみても離婚が妥当だと認めてもらわなければならないのでしょう。他には宗教上の組織から許可をもらわなければならないことも多いようです。
日本の協議離婚がその国・州などで離婚と認められるかどうかは確認しなければなりません。日本で協議離婚した後、他国で再婚したつもりが、重婚とみなされてしまうと大変です。たいてい重婚は大問題です。一夫多妻等の国もありますが、それなりに「しきたり」があるに違いありません。
やっとフランスでの離婚の話となります。他の多くの国と同様、裁判所(司法当局)の関与が必要なようです。ですからたいていは弁護士に依頼して手続きをするので費用もかかるそうです。
日本の感覚からすると、弁護士ではなく司法書士でよいのではないかという印象を私は持ちますがどうなのでしょう。(司法書士とか行政書士という職業が他国にあまり見当たらないのです。)
「外国での離婚は我が国とは結構違って・・・」という話題の中で、たまたまフランスが出てきただけなので、フランスの法律の詳しい解説をしているわけではありません。フランス限定で興味を持ってここまでお読みいただいたのでしたら申し訳ありません。
離婚調停
日本での離婚とはいえ外国に関係するなら協議離婚ではなく、家庭裁判所を使う調停離婚をするとよいようです。調停離婚でしたら、役所に離婚届を提出して完了というほど簡易ではありませんが、それほど難しくはありませんので弁護士さんに依頼するまでもなくご自分でできるでしょう。
書面作成相談
離婚協議書は自分で作成するという人もよくおられます。ネット上のひな形等を参考にしてみてください。
ただ、協議書・合意書・契約書・内容証明郵便・遺言書などすべてに共通なのですが、見本を参考にして自分のケースにあったように少しだけアレンジしただけでは済まないことがあります。アレンジしてしまったために、こじれたり無効になることもあります。
「自分で作成したのですが、これで大丈夫でしょうか?」という書面の確認もお受けしています。ほんの少し訂正して済むならよいのですが、何か所も修正したり、書面全体の構成を変えなければならないことがあります。そうしますと、お持ちいただいた書面を活かして修正するのはかえって大変なので、通常は初めから作成させていただいています。
とはいえ、ご自分で書面を作成していただくと、どういう内容の書面にしたかったのがわかりやすいので、まずはご自分で作っていただくと助かります。書式などにこだわらず、大雑把でかまいませんし、箇条書きでもよいのです。
離婚協議書のご相談の場合には、ご夫婦間で離婚の合意ができてからご連絡ください。離婚協議書作成後、離婚の公正証書作成の手配もいたします。ご相談ください。
相談・依頼は予約制とさせていただいております。メールで「こういう離婚協議書を作ってみました」というものを送っていただくとスムーズに進むと思います。
アドレスは(saicaps8㋐gmail.com です。㋐を@に変更して送信してください。)