両親が婚姻中であれば、親権者は父と母ですが、離婚するときに親権者を定めます。協議離婚であれば、離婚届にちょっと記載するだけですから手続き自体は簡単です。
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親権者を変更しようと思うとき
ニュースなどによりますと、親としてふさわしくない親がかなりいるようです。
離婚するとき、通常は母が親権者になる例が多いですが、母の生活・行動に問題(著しい不行跡)があれば母を親権者にするのはよくないでしょう。
たとえば、母(妻)に問題があって、それが夫婦の離婚にまで発展したとします。
母が子を養育するのにふさわしくないのではないかと思っても、
「では、父が子供を養育できるのか。」
という問題もあります。仕事の関係で、まだ未成年の子を育てるのは難しいというケースは多いでしょう。
そこで、父(夫)は考えます。「離婚にあたって、ひとまず親権は母が持つが、離婚後も母の生活・行動が改善せず、母としてふさわしくないようなら、親権を自分(父)に変更する。」
この場合、母も父も子供がかわいくて、ぜひ自分が親権者となり、子供たちと一緒に暮らしたいと思っていることが前提です。
父としては、このように約束することで、母が生活・行動を改めてほしいという気持ちを込めているのでしょう。
家庭裁判所で
そして、親権者の変更が可能かどうかですが、民法816条6項に
『子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる』
とあります。
どういう事情なら親権の変更を認めるかは家庭裁判所が決めることですが、実際にはかなり難しいようです。
気持ちの伝わる離婚協議書
上の例で、「離婚後も母の生活・行動が改善せず、母としてふさわしくないようなら、親権を父に変更する。」と夫婦が同意して離婚協議書を作成しても、そのとおりにならない可能性は十分あります。
もしこのような離婚協議書を作成したいのであれば、たとえば「離婚後も母の生活・行動が改善せず、母としてふさわしくないと父が判断した場合には、親権者を父に変更するよう家庭裁判所に申し立てをすることに母も同意・協力する。」というような内容にしておくほうがよいかもしれません。
親権を変更した場合には、しばらくの間、子供は法的手続きと日常生活で混乱することも予想されますから、親権の変更は必ずしも子にとって喜ばしいことではないでしょう。
しかし、親権の変更が難しくとも、両親とも子供の親権者となりたがって、一緒に暮らし、子供の健やかな成長を願っているというのはすばらしいことだと思います。
家庭裁判所が実際に親権の変更を認めるかどうかはわかりませんが、父も母も少しでも子供と一緒に過ごしたいと願ってそのような協議書を作成するのはよいことだと思います。
法的にしっかりしていることも大切ですが、気持ちの伝わる離婚協議書を作りましょう。