不倫と学歴

学歴

不倫の慰謝料の額を算定する際に、不倫の当事者の学歴まで関係ないでしょう。

昭和30年頃には、「当事者は小学校卒業程度の学歴を有していた」のだから、不倫の慰謝料額が・・・」という裁判例があるようです。
これがどういう意味なのかはっきりしませんが、「善悪を判断する能力があったはずだから・・・」ということなのだと思います。

江戸時代ですと、町民よりも武士に厳しかったそうです。武士は農民や商人よりも「偉い」のだというイメージがあるかもしれませんが、実際は、武士からみて農民・商人は「人として発展途上にある」と考えられていたようです。

ですから、たとえば農民が武士に無礼をはたらいても、武士はムキになって怒るわけにはいきません。教養などが乏しいから、そのような無礼な振る舞いをしたのであって、武士はそのことを教え諭すべきということになります。

ドラマや映画で描かれるように、武士に無礼をはたらいた農民を「切り捨てる」というのはとんでもないことで、実際にはその武士はかなりの重い刑罰を受けたようです。(武士が町人を切り捨てることは理論上は可能なのですが、条件が厳しいため、実際は切り捨てることなどはよほどのことがない限りできなかったようです。ですから、「斬れるものなら斬ってみろ」と武士をからかう町人までいたそうです。)

不倫・不貞行為は武士にも町人にもありました。
たいていは示談で収拾し、示談金の相場まで決まっていたようですが、武士の場合には、不倫の慰謝料だけの問題ではなく、武士としての資格・品格を問われたでしょうから、単なる男女問題では済まなくなってしまうのだと思います。

「学歴」が判断力の有無や、責任の重さと関連するなら、学歴を「武士の心得」にたとえてもよいかもしれません。

ただ、現在では不倫の慰謝料の増減には関係ないでしょう。
「物事の判断能力が不足している」なら慰謝料にも影響するかもしれませんが、一般の学歴は無関係だと思われます。

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