相続開始
どなたかが亡くなると、その人が「被相続人」であり、その人に関して「相続が開始する」といいます。葬儀なども忙しいのですが、悲しんでいる暇がないほど手続きがあります。
なかでも相続財産を調べたり、相続人で財産の分け方を相談したり(遺産分割協議)するのが大変なことがあります。銀行の預貯金を相続人が均等に相続するとはいっても、結局は誰かが代表して銀行とのやりとりをしなければならないでしょう。
相続人特定
相続人は「法定」されていますから、相続人となるのが誰なのかを書類で確定する必要があります。
亡くなった方の財産を友人知人などに譲りたい場合、友人知人は相続人ではありませんが、生前に遺言書作成するなどしておけば譲ることができます。
とにかく、被相続人の生まれてから死亡するまでの、すべての戸籍謄本を集めます。本籍地を何度も変えている場合は、すべての役所から戸籍謄本を取寄せますので、時間のかかる作業です。
そのために行政書士は、お亡くなりになった方の配偶者や子などから業務依頼を受けますと、職権で各地の役所から被相続人(死亡した人)の戸籍謄本を取り寄せることができますので、手続がスムーズです。
戸籍謄本が必要
なぜ生まれてから死亡までのすべての戸籍謄本を集めるかというと、戸籍に配偶者や子について記載されているからです。結婚・離婚についても記載されていますが、離婚した配偶者は相続人ではありませんので、離婚した人の情報は必要ありませんが、その人との子については情報が必要です。
自分の子であっても、認知も何もされていなければ記載はありませんし、相続人でもありませんから、遺言書の中で認知がされたりしなければ、その人は相続手続きでは無視することになります。
要するに、死亡人の配偶者と、法的に相続人として認められる子が何人いるかを調べます。離婚経験がある場合、知らない人物(子)が浮上することもあります。
また、婚姻関係になかった人との間に子がいて、認知しているかもしれません。
それらのことを戸籍謄本で証明しなければなりません。
配偶者を亡くされた方に、以上の話をして、戸籍謄本を集めようとしたところ、
「私の夫がそういう人だと思うのですか? 私意外の人との間に子がいるというのですか?」
と、詰め寄られた(?)ことがあります。
私の言い方が悪かったかもしれませんが、法律も役所も杓子定規にならざるをえません。もっとも、その人は夫を失って動転しているところ、かなりの高齢だったので、判断力が鈍っていたのだと思います。
このようになると、お子さん方や、周囲の人が助力してあげないと、相続の協議も相続手続きも難しいはずです。
遺言書作成など、若いうちからできるものは、なるべく早くから始めた方がよいと、皆さんにお勧めする所以です。
特に、離婚する前に子がいるとか、認知した子がいる場合、その子にどのように財産をわけるかなどを遺言書で指示しておくと、相続人の協議が円滑に進むでしょう。