不倫問題を解決するときに、
- どのように謝罪するのか
- 慰謝料を払うのか払わないのか
- 払うのならいくらなのか
というようなことが問題になります。
また、起きてしまった不倫問題の清算に特化して、
- こういう事情でいくら支払う
- 今後、離婚にいたっても、更なる慰謝料支払い等一切の義務はない
というような合意書・念書・誓約書を作ることも多いです。この場合、今後についての約束を入れる場合もあるし入れない場合もあります。
もしそのような内容を記載するとすれば、
- 今後は連絡も交際もしない
- もし、連絡や交際をしたら違約金のようなものを支払う
という約束でしょう。
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今後の約束
このホームページで【交際したら500万円】という記事を書きました。
今後は交際等をしないという誓約書の例が載っています。(私の考案した内容ではなく、テレビドラマでそうなっていました。不倫の話ではありません。)
「今後、交際しない。もし交際したら違約金として500万円支払う。」
という内容です。
盗まなければ、ご褒美をあげる
民法上は、
「不法な条件を付した法律行為は、無効とする。不法な行為をしないことを条件とするものも、同様とする。」
という条文があります。(民法132条)
たとえば、「あの家の居間にある絵画を盗んできたら100万円あげる」という約束をしても無効だということです。これは納得できるでしょう。
では、あの家の居間にある絵画を1年間盗まなければ100万円あげる」という約束は有効でしょうか。良いような気がするかもしれませんが、その100万円をあきらめれば絵画を盗んでよいとも受け取れるかもしれませんので、こういう約束はできない、約束しても無効だというのが132条です。
不倫は法律違反か
不倫をしてはいけないという規定は民法の中にあります、というと、結構多くの人がそんなはずはないといいます。不倫はよいことではないというのが原則だろうけど、そんなプライベートなことをわざわざ条文にしないでしょう、といいます。
ここでは簡単に書きますが、不倫(不貞行為)は不法行為であり、不法行為による損害賠償(慰謝料・不倫の慰謝料)の問題が生じるとお考えください。
(不倫は不法ではないという人もおられるかと思います。価値観と社会情勢の変化によって、将来的には変わるかもしれませんが、現在は不法行為です。ただ刑法に抵触するようなことではないので、不倫をしたからといって逮捕されることはありません。)
話を戻しますと、「交際・不倫を再開したら500万円の支払い義務発生」という約束についても、500万円支払えば不法行為をしてよい、と解釈できないことはないかもしれません。
そこで、この約束は民法132条により無効となるのかということですが、ならないようです。裁判例によると、これは不法な条件なのではなく、「慰謝料の予約」「慰謝料額の予定」とみるべきとしているようです。詳しくは専門書等をご参照ください。個別の事情はいろいろありますから、どうしても納得できなければ訴訟をすることになるでしょう。