夫婦の義務
民法上、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」(民法第752条)とあります。夫婦は
- 同居
- 協力
- 扶助
の三つの義務を課せられているように聞こえるかもしれません。
そのように命令されれば反発したくなるのが人情(?)でしょうか。
風俗・習慣・昔からの知恵
私は上記の「夫婦の義務」とは、このように心がければ夫婦が円満に暮らせる、夫婦になった実益があるという昔からの知恵なのだと思います。
私自身の話ですが、未成年者の飲酒・喫煙が禁止される理由も大人になってから素直に納得できました。18歳未満立入禁止などもあります。中高生が夜間、特に繁華街を出歩いてはいけないというのも賛成です。
何が言いたいかというと、昔からの習慣や年長者の言うことがすべて正しいということはないとしても、ないがしろにすべきではないと思うということです。
夫婦には同居する義務があるというより、さしたる理由もなく夫婦が別居したままではいけないということではないでしょうか。遠く離れて、協力も助け合いもしない夫婦が認められるべきかということです。
ただし、将来的には、遠く離れて、普段は助けなくても、いざとなれば協力し合い、助け合うというような夫婦のカタチができるかもしれません。
同棲・週末婚は現在のところ夫婦とは認められないと思いますが、事実婚(内縁関係)は多くの場合、婚姻届を出している夫婦とほとんど変わらない扱いです。これは「同居、協力、扶助」などの条件を満たしているからでしょう。離婚届にも「同居の期間(同居を始めたときから別居したとき)を記入するようになっています。
また、どのような夫婦、婚姻関係であろうと各人の自由だと言ってしまうと、「自分たちは『一夫多妻』『一妻多夫』がいいんです。」という人たちも現れるかもしれません。そういう国もありますが、それでは現在のところ日本では共同体、世の中が成り立ちません。
婚姻関係の破綻
婚姻関係が破綻していれば、事実上、夫婦でないのと同じことです。夫婦関係が破綻している状態であれば、不倫の慰謝料の問題は生じないとされています。
配偶者以外の異性と付き合うときに、夫婦仲が冷え切っているとか、離婚を考えていると言われても、不貞行為による損害賠償請求権は発生するのが通常と思われます。
婚姻が破綻しているかどうかは、同居しているかどうかがひとつの目安となるようですから、一緒に暮らす・同居するというのは重要です。
同棲3年
夫婦別姓とか各人の自立(尊厳)などのために、あえて婚姻届をしない人もおられるようです。
同棲と事実婚は見分けがつきにくいですが、事実婚は基本的には夫婦と変わらない実体があり、「将来的に結婚する意思(意志)がある」ことが前提とされているようです。(将来的に結婚するつもりはないという強い意志の人もおられると思うのですが。)単に同居しているカップルは同棲でしょう。
3年間同棲することにより、内縁関係が認められるという話もあるようですが、これは単なる噂話の可能性があります。
偽装結婚
同居することもなく、助け合うこともなく、国家や社会から夫婦や家族に与えられる権利や保護だけを不当に享受することにつながる偽装結婚は犯罪です。外国人が不正に日本国内に滞在したり、不法に利益を享受する手段として使われる犯罪です。
偽装結婚は、国家の安寧と秩序を脅かし、国民の生活を危うくする可能性があります。偽装結婚の防止のためにも、「同居、協力、扶助」の実態が必要との意見もあります。
同居している人
夫婦だけでなく、未成年の子とか年老いた親も誰かと同居していることが多いです。親子の場合、
- 血のつながりがあって、同居している
- 血のつながりがあって、同居していない
- 血のつながりはなく、同居している
- 血のつながりはなく、同居もしていない
などがありますが、どういう関係だと情が湧くでしょうか。
同居と遺言書
同居義務の話からは逸れますが、連れ子などのように、血のつながりのない子と長い間、同居している親子がいます。
血のつながりはあるけれども、出生前とか出生後まもなく離婚などして、同居もしていないし、何十年も一度も会っていない親子もいます。
こういう場合、どちらが「家族」なのかというと、人それぞれ感覚が違うようです。
法的には明らかでも、自分の心の中での重要さが異なることはあるでしょう。
自分亡き後、財産をどのように遺すかは遺言書で指定しておくことができます。【詳しくは「遺言書」をご参照ください】
遺言書がない場合に、遺産分割の手続きをしていると、「亡くなった人本人が、もし、遺産分割協議を見ていたとしたら、どのような感想を持つのだろうか」と思うことがあります。
遺された人たちも、なんとなくしっくりこない気分のまま相続手続きをしていることがありそうです。
この「しっくりこない」という感覚は、同居と大きく関係しているように思います。
そのくらい「同居している」「一緒にいる」ということは重要かもしれません。
親子の同居義務ということはありません(未成年の子は話が別です)が、親子には(例外はありますが)血のつながりがありますが、夫婦には血のつながりがないので、夫婦にとって同居が「義務」かどうかはともかく、なおさら重要ではないでしょうか。長期間の別居があると離婚が認められやすくなるのももっともでしょう。
夫婦・親子問題の行政書士
離婚協議書・不倫の慰謝料・遺産分割協議などでは、夫婦や親子の問題がクローズアップされます。単に、法的知識に頼るとかえって複雑化するのではないでしょうか。
当事者全員が「譲り合いの精神」で協議できればよいですが、なかなかそうはいきません。協議と話し合いはいくらしてもかまいませんが、法的トラブルに発展させないようにしましょう。ある程度の調整は必ずといってよいほど必要だと思います。
離婚・不倫・相続などがありましたら、まずご相談いただけるとよいと思います。
仕事が忙しくて会社を休めないという人も多いので、
- 午後7時・8時からでも面談可能
- 土曜・日曜・祝日でも面談可能
なようにしています。まずメール・電話でご連絡ください。
簡単に事案をうかがって、ひとことでお答えできるもの、一般論程度のことでしたら相談料金は発生しません。
(ご本人は簡単な質問だと思っていても、一言で断言できないものもありますので、ご了承ください。また、補足事項をお伝えしないと誤解のおそれがあるような場合、こちらから追加・訂正のご連絡をすることがあります。そのため、非通知でのお電話はお受けできません。)
遠方にお住まいの方、お忙しい方であれば、事案によっては、メールだけでお引き受けできる場合もあります。千葉・埼玉・横浜などからのご依頼も少なくありません。ご相談ください。(電話だけではお引き受けできません。)
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相続の場合はこちらから出張したほうが、必要に応じて書類などを拝見できますので便利なことが多いです。
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