嘆願書

嘆願書

官公署提出書類にも「嘆願書」「上申書」「申立書」など、いろいろな表題の書面があります。

嘆願書」でも「上申書」でも標題はどうでもよいという意見もありますが、嘆願書は提出すれば受け取ってもらえて、参考資料にしてもらえるかもしれないという書面といえましょう。
上申書はどちらかといえば、被害者が、加害者をもっと厳しく処罰してほしいとか、もう一度調査のやり直しをしてほしいという場合に提出するようです。

交通事故での責任

たとえば交通事故ですが、事故を起こした人に対する責任は3種類あります。

  • 行政上の責任
  • 刑事上の責任
  • 民事上の責任

です。
行政上の責任とは、道路交通法に基づく行政処分です。反則金の支払い・運転免許の停止・取消しなどがあります。反則金の支払いは刑罰ではありません。刑事上の処分ではないので、前科にはなりません。

刑事上の責任とは、交通事故によって人を死傷させた場合、刑法や道路交通法に基いて、加害者に刑罰(刑罰とは、死刑・懲役・禁錮・罰金・拘留・科料など)が科せられることがあります。「危険運転致死傷罪」「自動車運転過失致死傷罪」があります。刑務所に入ることもありうるわけです。

民事上の責任とは、交通事故によって損害賠償義務が生じます。

  • 人身損害
  • 財産的損害
  • 精神的損害
  • 物的損害
  • 積極損害
  • 消極損害

などがあります。

事故について警察を通じて検察庁が知ることとなれば、検察官の判断で当事者が呼び出されることがあります。
この際、加害者が被害者からもらった嘆願書を提出することができます。被害者が、加害者に対して悪い感情を持っていないことを伝えることで、事情を考慮してもらえることがります。どうなるかは検察官の判断次第です。

被害者から、「重い罪に問わないでほしい」と言われても、公共の安全を大きく脅かすような行為があれば罰則があるでしょうが、公共性の問題というより、個人同士の問題だということになれば、検察庁という役所が特別な措置をとるまでもない出来事だと判断してもらえるかもしれません。

交通事故の場合、たいていはケガをした人が被害者ですが、当事者の一方が100パーセント悪いとはかぎりませんから、被害者のようだけれども検察庁に呼ばれるかもしれません。

ここでいう嘆願書とは、被害者が加害者に対する処罰を軽くしてほしいという気持ちを検察官に伝えるものです。
事件と関係のない、知人・友人が嘆願書を提出してもいけないことはありませんが、あまり意味はない、といわれているようです。

万引き・窃盗

万引きというのは、額は小さいようですが、頻繁に被害に遭うことがあり、経営者としてはかなり苦しい立場にいるようです。

店のバックヤードで店長などが事情を聞いて、始末書・家族に連絡などで済むこともあるようですし、警察に通報することもあるようです。

検察庁へ送られるのか、裁判になるのかなどは断定できませんが、加害者としてはきちんと謝罪して示談書を作成しておき、もし送検されたら、嘆願書も書いてもらえると罪を減じてもらえる可能性もあると思います。

示談書が重要

嘆願書を出すには、被害者・加害者など当事者の間で協議等を経て問題が解決し、示談書などを作成していることが重要なようです。
示談金とか慰謝料の授受があったなら、そのこともきちんと記載しておきます。

嘆願書に特別な形式はありません。礼儀正しく、被害者の気持ちが検察官に伝わるものであることが重要でしょう。被害者が書く気はあっても書くのが面倒なら、事情を説明したうえであらかじめ作成しておき、被害者に署名捺印してもらえばよいでしょう。

嘆願書は、提出したければ提出してよいというだけの参考資料にすぎませんが、キーパソンである被害者が、加害者への寛大な処分を求めるので、かなり重要な資料でしょう。

本来、嘆願書を得ることを目的とするのではなく、被害者に適切な対応をすることが重要で、その結果、被害者が嘆願書を書いてくれるものです。費用負担や謝罪などをきちんとしておきましょう。

示談書作成・慰謝料

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