不倫の慰謝料

慰謝料は自分のためだけでなく

不倫の慰謝料請求(不貞行為による損害賠償請求)ができる理由は、

  • 不倫が「婚姻共同生活を侵害・破壊に導く可能性がある行為」とされていて、
  • 円満な婚姻共同生活をする権利を侵害することは不法行為であり、
  • 不法行為に対して損害賠償請求できる、

からです。

円満というのは、破綻していない状態のことですが、「破綻していない」の意味はここでは触れません。【婚姻関係が破綻】をご参照ください。

子供はどうなる

「婚姻共同生活」というものは、家庭生活とか家族生活とは多少異なるかもしれません。
婚姻共同生活が破綻すると、子供がいる場合は子供にも影響が及ぶのだろうと考える人が多いでしょう。子供が慰謝料請求をすることはできるのかという疑問があります。

未成年の子がいるのに、父母の一方が相姦者(不倫相手)の元へ走るようなことがあった場合、その未成年の子が両親から受ける愛情等に変化があるだろうから、その子の損害を相姦者が賠償すべきであるという考え方があります。

一方、父母の一方が相姦者の元へ走ろうとも、親子であることに変わりはなく、どちらの親も、従前と同様に子に愛情を注げばよいのであって、親の一方が子の養育・監護をおろそかにした責任を、相姦者にまで負わせる理由はないという考え方もあります。この考え方がおかしいと思う人も多いと思いますが、婚姻共同生活・家族をさしおいて他の者との交際を選んだ者に直接の責任があり、その相手方である相姦者は間接的な責任しかないのに不法行為責任を負わせることはできないということのようです。

子は不倫の慰謝料請求できるのか

通常は、子供からの請求は認められず、未成年の子がいると不倫の慰謝料の増額要因になるようです。
理由は簡単ではありません。

そもそも婚姻する理由ですが、「いろいろなものを守る」制度でしょう。特に子育て・子の養育・子の福祉のためということはかなり重視されていると思います。『家族の復権』(林義道 著:このブログを書いている時点では版元ドットコムから購入できそうです。)によりますと、人間はペア型だそうです。夫婦がペアを組んで子育てに携わる生物なのだそうです。子からみると両親の一方が、「他の人との間に子が生まれ、そちらの方が重要・楽しい・幸せ」というような理由で去って行くことを避けたい生物のようです。
かなり昔から一夫一婦制、重婚禁止なのも、これが子を養育するのに適しているという判断ではないでしょうか。

婚姻関係は、コミュニケーションと思いやりを大事にして、ふたりでつくりあげていくものだとすると、そのためには、婚姻生活・家族生活を送るうえでの約束事を守ることが必要でしょう。ゴミを捨てる、お風呂を洗う、シャンプーがなくなったら補充しておくなど、日常生活の些細なことですら(場合によってはケンカになるくらい)重要ですから、不倫をしてはいけませんというようなことは、社会常識なのかもしれません。しかし、常識だと思っていることでも意外と他の人は常識だと思っていないことがあります。それなら原則を民法で定めておいてもらった方が助かります。(いろいろな主義主張があって、これを変更したい人は当人同士で決めて納得していればよいことです。)
婚姻生活上の約束事を守るために、時には我慢が必要かと思われます。(我慢は必要ない。我慢は自分を大切にしていないことになる。人生を有意義に過ごすためには我慢していけないというような考え方の人には、また別の問題が生じそうです。)

 

 

永遠の命

元気で長生きしたいと思う人は多いでしょう。古代においては、永遠の命を求めて祈祷やら研究やらをしたそうです。
結局、自分自身が永遠に生きることはできず、自分が親から引き継いだ遺伝子が、子の中で生き延び、結果的に遺伝子が後世に生き延びます。子へのバトンタッチです。子がいない人はどうするのかという点は【不倫の慰謝料と婚姻期間】という記事の後半をご参照ください。

子にバトンタッチして、その子が無事に成長してもらわなければ困るので、それには家庭・家族を保護する必要がありそうだと昔の人が考えたのではないでしょうか。

人間の子育ては時間がかかり、動物や昆虫たちの子育てとは比べものになりません。時間だけでなく、非常に多くの手間も必要です。子育ての悩みは非常に多くの人が抱えています。

子育ては一生の間に何度できるのでしょうか。数人の子をほぼ同時に育てることはできるでしょうが、ひとりを育てて、大人(成人)にしてから、また新たに子を育てるのは不可能ではないとしても、あまり現実的ではないと思われます。子供を産む年齢が上がっている現代においては一層難しいでしょう。

そうなると、子供を育てるのは一生に一度であり、家庭を作り直して(配偶者を替えて)新たに子供を育てることは原則として避けようと考えるのは昔からの生活の知恵ではなかったでしょうか。

家庭を守る知恵として「不倫の慰謝料請求」という制度を考えると納得できる点が多々ありそうです。自分だけのためにするのでなく、子や孫たちなど親族全体のことを考えているのではないでしょうか。人の生活・命などを考えるとき、個体(ひとりだけ)に注目するのではなく、その個体の前後(祖先や子孫)も総合的にみなければならないと思います。

以上のことからすると、不倫があっても、もし家庭を守れるのであれば、必ず慰謝料を請求しなければならないというものではなさそうです。その場合、示談書誓約書・念書等の作成は必須かと思われます。事情によりますので、ご相談ください。