品格の一年

以前はよく12月に忠臣蔵、つまり赤穂浪士の討ち入りのドラマがテレビ放映されていました。私は時間がゆるすかぎり、いろいろなバージョンのものを観ていました。

一番好きなのは、松本幸四郎さんが大石内蔵助、松坂慶子さんが瑤泉院を演じるもので、テレビ東京のドラマです。時間がたくさんあったからでしょうが、講談に出てくる話も盛りだくさんでした。

ここ数年は私がテレビを観ていないので気づきませんでしたが、忠臣蔵は放映されていないのだとか。

YouTube で次の動画があることを知りました。

学校では教えない忠臣蔵の真実 赤穂浪士が討ち入りをした本当の理由

赤穂浪士の評価はいろいろですが、この動画によると、赤穂浪士がとにかく立派に見えてきます。

何かの感想を述べる場合には、客観的にどうなのかというより、感想を述べる人の考え方や生きる姿勢が反映されるのではないでしょうか。

料簡

かなり以前、重鎮の落語家さんがある若い落語家さんを評して「才能はあるが料簡が悪い」と言っていました。

料簡は了簡・了見とも書き、考えをめぐらすこと・思案・対策などの意味だそうです。仏教では「仏の教えを丁寧に学び取っていくこと、道理を推し量ること、問答によって詳しく論議すること」などの意味とのことですが、難しくてよくわかりません。

私の感覚では、料簡が悪いとは「頭はいいが、態度・生きる姿勢・考え方が悪い」というように聞こえました。もし間違っていたら教えていただけると助かります。

「頭はいいが、態度・生きる姿勢・考え方が悪い」ということなら思い当たる経験はたくさんあります。学生時代にも、そして社会でも、自分をみたり、周囲をみたりすると心当たりはたくさんあります。上の YouTube 動画で、それを思い出しました。

品格

師走に入って、今年一年を総括しようなどと思ったことはありませんでした。

今年も特に総括する気はありませんでしたが、上の YouTube 動画を観て何となく浮かんだ言葉が「品格」でした。

赤穂浪士の討ち入り事件は、ちょっとした事実が明らかなものの、詳細はわからないので解釈が多様です。小さな事実をもとにして、こういう話なら感動できるとか、その時代の人々の生き方の見本としての創作ストーリーを織り交ぜた結果、こういう物語になったのでしょう。その時代の人々の最大公約数のような「人のあるべき道」「料簡」が描かれたのではないでしょうか。また、それをどう受け取るか、解釈するかというところに人それぞれの人柄が現れるのかもしれません。忠臣蔵にかぎりませんが、物事を見聞して何を思うかで、自分を測ることができそうです。

忠臣蔵を観ながら自分を振り返ってみると、まっとうな人の道にはずれそうなことがなかったかと考えます。(いえ、あったのですけどね。^^; )

 

一年を振り返って

そういえば、今年(令和3年)を振り返ってみると、「品格」の一年であったかもしれないと思いました。

日本だけでなく海外でも知られるところとなった「KK問題」がありました。この件では多くの人が不快感・嫌悪感をいだいたのではないでしょうか。皇室・皇族の品格も問われるような事態でした。皇室・皇族の方々は皇籍を離れても特別扱いを受けるのが当然だと私は思っていますが、特別扱いでないように装いながら、違法でない範囲で、ルールを曲げて運用するのは品格に欠けると思います。

国会中継をみると、今年が特別ではありませんが、一部の政治家の質疑内容等は到底国民の代表といえるようなものではないでしょう。態度が悪い、口が悪いというよりも、「料簡が悪い」と思います。

新型コロナの対策にみる専門家・政治家の態度にも品格が疑われるようなものが多々あったと思います。

品格を保つ

普通に暮らしていても、何かの拍子に当事者となり、問題解決に臨まなければならないことがあります。

交通事故とか、買った品物が不良品だったとか、人のものをうっかり壊したとか。損害賠償の協議・示談の相談になるかもしれません。損害賠償にまでならなくても、何らかの形で謝罪しなければならないこともありそうです。

法を形式的に当てはめ、権利を主張し、型どおりに義務を果たすことに集中して、誠意・思いやりに欠けることはなかっただろうか、また相手がまるで輩なのに譲歩ばかりしていることはなかっただろうか(人の言いなりになって、とにかく穏便に済ませるのが上品とは思えません)と考えると、どちらの態度も品格に欠けると思います。「品格」がとても気になった一年でした。

協議は書面で

上に書きましたが、協議が必要なことはよくあります。通常は協議書・示談書合意書の形にしておくべきです。その際、お互いに品格を保って、口頭できちんと話し合えるのならよいのですが、押しの強い方が有利に事を運ぶということががよくあります。そういうことを考えると、口頭ではなく書面による協議が無難だと思います。書面といっても、今の時代ですからメール等でかまいません。ただし、要所はきちんと内容証明郵便等で押さえておく必要はあると思います。

急ぐからといって電話をして、良い結果になることもあるし、逆にかえって悪くなることもありますので注意したほうがよいでしょう。

彩行政書士事務所では、主として書面を作成するので、ご本人に代わって相手に電話をすることはありません。事実関係・意向・将来などを総合的に勘案しながら書面を作成していきます。