そんな年はない

平成は大正の倍以上の期間なのに、私はあっという間に走り抜けてしまいました。
昭和・平成・令和へと移り変わり、置き時計の元号と西暦の表示切替が役に立たなくなりました。私の置き時計の表示では、今年は平成34年と表示されています。

正式な文書の日付は元号を使うのが普通です。現在持っている文書に「平成42年の3月まで毎月振り込んで支払う」のように記載されていることもあります。

相談者さんに、例えばお子さんの生年月日を尋ねると、西暦でお答えになる人が多くなりました。実際、養育費に関する事項などは期間が長いので、西暦の方が計算しやすいだろうと思います。

 

年号

 

 

真面目なので・・・

いつになっても「平成42年」という年がおとずれることはないので、この契約のとおりに履行することができず、結局、この契約書は無効と同じであるというような主張をする人がおられます。しかし、そのような考え方は通用しません。屁理屈なら通用しないのは当然なのですが、それよりも困るのは、これが法的に正しいと信じている人がいることです。悪気はなさそうです。

これがまっとうな理屈・法秩序だと本気で考えるような人は、大抵とても真面目な人なのだと思います。自分が正しいという前提でスタートするので、その結果、当事者同士で協議をしてもまとまらず、さらに専門家の事務所を何か所も回っていることがあります。

 

第三者の意見は信じる

年号の問題ではありませんが、「ネットにそのような情報があった」という場合も似たようなもので、ネットに書いてあることを信じる人は大勢います。ネットに書き込んでいる人は第三者であることと、利害関係もないので信じやすいのももっともです。
実際、ネットの情報は役に立つことが多いのですが、自分の状況とネットで扱っているケースが同じかどうかが問題です。また、複数の異なる事案が混ざっていることがありますので、それらの整合性の問題もあります。
ネット情報を元に、書面を作成し、当事者間で署名した後、一方当事者がなんとなくおかしいと感じて相談に来られる。そして内容に不備があるので、相手方に書き直しを提案したけれども、「正しいものを変更する必要はない」と断られる、というケースがあります。このような場合、協議や手続きが難航しがちです。

 

様子をみながら

結論を考えてから相談に来られるのでなくても、どういう経緯で困っているかをお知らせいただき、どのように対処するかは事実関係とお気持ちを総合して答えを出していくのもよいでしょう。

合意書示談書を作成するには相手方も納得しなければなりません。相手方がどのような人か、どのように考えているかということも非常に重要です。