不倫の慰謝料請求
連帯債務というのは普通の売買にもありますが、慰謝料請求、特に不倫の慰謝料請求などの基礎知識となるので重要です。基本はご存じの方も多いと思いますが、実務となると意外と複雑ですし、勘違いをしている人もよくおられます。
以下、学問的ではありませんが、概略をお話ししますので、ご存じでない方は参考になさってください。
連帯債務とは
たとえば3千万円の小型飛行機が欲しいけれども高くて買えないとします。ひとりでは買えなくても、同じような事情の人が3人集まって共同購入するとします。現実にはいろいろな購入手段がありますが、ここでは便宜上、Aさんから、甲・乙・丙が共同で買うとします。しかも、3千万円は3人で連帯して返済することにします。
共同購入ですが、甲・乙・丙が「連帯」していると、Aさんは少し安心です。甲・乙・丙の負っているのが連帯債務です。
連帯債務のメリット
連帯債務の場合、Aさんは、3千万円を甲さんひとりにでも請求できます。甲さんは、自分の分は1千万円だけだから、それ以上は払わないとはいえません。これが連帯債務です。
もし、甲さんが3千万円払えば、Aさんとしては何も文句はないはずです。
ですから、Aさんは、さらに乙さんにも丙さんにも請求することはできません。Aさんは満足したのです。(「満足した」とうのも法律的な言い方です。)
もし、Aさんが、甲さんに請求しても、甲さんが支払えるのはせいぜい500万円だと思うなら、Aさんは、
甲に500万円
乙に2千500万円
を請求しても差し支えありません。丙には請求しなくても構いません。要するに、3千万円を、甲・乙・丙にどのような割合で請求しても構いません。
支払ってもらえそうな人とか、請求しやすい人に請求すればよいのです。
Aさんは、甲さんに3千万の債権を持ち、
また乙さんにも3千万の債権を持ち、
さらに丙さんにも3千万の債権を持っています。
このように、Aさんは、この小型飛行機の売買で3つの債権(請求権)を持っています。
ただし、甲・乙・丙の誰かが弁済した分については、他の人に対する債権もその分減少します。これが連帯です。
負担部分
3千万円を3人で支払う約束なら、Aさんはそれで構いませんが、3人の間で決めておかなければならないことがあります。それが「負担部分」「負担割合」「負担額」です。
3千万円を3人で支払うとしても、その飛行機を使用するのが、甲は週に4回、乙と丙は1回だとすると、甲が乙・丙よりたくさん支払うのは自然なことでしょう。
そうすると、甲・乙・丙の3人で3千万円支払うとしても、
甲は2千万円
乙は500万円
丙も500万円
という支払い約束でもいいでしょう。とにかく、負担額の約束(特約)が必要です。
求償権
上の例のように、
甲が2千万円
乙が500万円
丙も500万円
という約束でも、Aは、
丙に3千万円全額の支払いを請求する
ことができます。これが、連帯債務のメリットなので、それでいいのです。
丙はAに対しては、3千万円支払いますが、これでは、甲・乙・丙の間では初めの約束と違ってしまいます。
丙は3千万円のうちの500万円だけを支払う約束でした。
そこで、丙は初めの約束どおりにするために、
甲には2千万円、
乙には500万円
を請求できます。このように請求することを「求償する」「求償権の行使」といいます。
このやりとりは、甲・乙・丙の間だけの問題で、「内部関係」といいます。Aに対しては「外部関係」といいますが、ここで、Aはもう関係ありません。丙が支払った3千万円を、甲・乙・丙で調整するうえで喧嘩になっても、Aには関係ありません。
Aは連帯債務にしておいてよかったということになります。債権の効力を強化する働きがあったわけです。
よく保証人をたてるとか、担保を供することがありますが、債権の効力を強化するという点では似ています。
連帯債務の相対効・絶対効についてはここでは触れません。
川崎市中原区の行政書士
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