人間関係は

自分ひとりではどうにもできないことも

会社、地域、家族・・・もともと自分で選んだわけではなく、「運命」のように人間関係は生じてきます。
たとえば、このようなことがあったら、どうでしょうか。

川崎 内容証明

☆ ☆ ☆
さて、夕飯時。お嫁さんと姑、そして子供が夕食を食べ始めました。
孫のA太郎君は幼稚園くらいとしましょう。

孫:「ぼく、カレーじゃなくて、オムレツがいい。」

母:「うーん、じゃあ、今度ね。カレーをかけたから、オムレツは今日は無理ね。」

まだ幼いとはいえ、母親の言うことが論理的だと何となくわかっている様子。
母のB子さんに、姑が言います。

姑:「B子さん、A太郎はオムレツが食べたいと言っているんだから、食べさせてあげれば。私が若い頃は、ご飯の途中で子供が餅が食べたいと言えば、ご飯をついて、餅にしてあげたものよ。」

母:「そんなこと言ったって、ご飯にかけたカレーを取って、オムレツに作り直すんですか? 無理に決まっているでしょう。A太郎、今日は我慢ねっ!」

姑:「食べ盛りの子がオムレツがいいと言っているのに。大きくなれないわよ。」

この頃になると、母の言うことに納得しかけていたA太郎も、おばあさんという援軍を得て、

「やっぱりオムレツじゃないと嫌だ。」

とゴネて泣き出します。

B子さんとすれば、「おかあさん、おかしなこと言わないで」ということになります。
姑とB子さんの関係がギクシャクするのはもっともです。
ざっと考えても、以下のようなことが懸念されます。

  • 姑のもともとの性格に問題はないか、
  • 判断力・記憶力の低下などがないか、(ご飯をついても餅になるでしょうか?)
  • 姑がいたのでは孫の教育に支障をきたす、
  • 姑と母が、このように言い合いをすると家庭内がギスギスする

もっとも、この話は事実を元にしたフィクションです。

  • 姑さんは若い頃、とても激しい性格で、人との争いが絶えなかった。
  • 年を取って、少し気弱になってくると、昔の自分の行動がとても恥ずかしくなるようで、それを反省して、今ではトラウマではないかと思うほど気にしています。
  • ここで、老人性の判断力低下や勘違いが加わって、とにかく孫の希望を叶えてあげなければという優しい気持ちで一杯です。
  • また、B子さんにも、人(子)に厳しくするのではないと諭す〈さとす〉というまさに老婆心がある。


こうなると、ひとつ屋根の下にみんなで円満に暮らすのが非常に難しいでしょう。
上の例で、悪いのは誰でしょうか?
あえて問題があるとすれば姑ですが、性格と年齢を考えると、一概に悪いともいえません。
では、この一家はどうすればいいのか?
大問題だと思います。

おそらく、ここまでくると、『私からみると』もうこの姑さんは遺言・遺言書を書く能力はありません。
法的にはきっと問題なく遺言書が書けます。遺言書を書く能力がないと公式に判定されるというのは余程のことです。

私心を捨てて遺言を書きなさいとまではいいませんが、遺言書は戦国武将がお家安泰のために、公正無私に書くようなものであってほしいと思います。そうでなければ、自分に優しくしてくれた人にたくさんの財産をあげるという内容になります。子供(推定相続人)にもそれぞれ事情がありますから、どれだけ親の面倒をみることができるかには差があるでしょう。その差を考慮した上で、公平な指示が出せるかどうかが問題です。
将来の相続人たちが、この姑さんのご存命のうちから仲が悪くなならいように気をつけたいものです。

そして、孫の教育(福祉)を考えれば、姑さんと別居した方が、姑さんの息子とお嫁さんとA太郎くんは、平穏な環境で毎日が送れるでしょう。それがいいのか、悪いのか。

子供の養育、介護などが問題ですし、もしかするとB子さん夫婦は、これが元で喧嘩しないでしょうか。さらに発展して離婚等があるかもしれません。
ギスギスしてくると、些細なことで揉めやすくなります。DVの問題などは大丈夫でしょうか。B子さんもA太郎くんを叩いたりしないでしょうか。いや、姑さんを叩くかもしれません。
リストラなどで、経済的に苦しくなると、ストレスは一層たかまります。
いろいろと心配ですね。

親子 家族 老後 行政書士

法に照らして、誰が違反行為をしているのかは簡単と言えば簡単にわかります。
しかし、現実はそんなことでは解決しません。ただ「仲良くせよ」といってもそれは無理です。
「一大事」になる前に、「事件」が起きる前に、少しでも良い方向へもっていけないでしょうか。

それには第三者の助けや、行政による対策も重要だと思います。
「泥棒をなくしたければ、まず貧困をなくせ」といったのは、英国の作家でしたか。「朱に交われば赤くなる」という言葉もあります。
人間に強い意志だけを要求するのは酷だと私は思います。
「街の法律家」は、その点をいつも考えています。

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