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内容証明では、「道理を通し、情けも忘れない」
あくまでも私が内容証明郵便を発送する場合の心がけなのですが、私は内容証明郵便で、相手に心理的プレッシャーという一種の脅し(?)をかけようとは考えていません。
よく、内容証明郵便の送付によって「心理的プレッシャーをかける」「行政書士の職印付きでプレッシャーの効果を上げる」「弁護士からきた内容証明なら、応じなければ法的措置に移行することが明らか」ということを耳にします。
よく耳にすることについて、少々ご説明いたします。
内容証明と心理的プレッシャー
どうしても何とかしたいことがあるから「労力と時間と費用」をかけて内容証明郵便を出すのです。それを「心理的プレッシャー」というかどうかはともかく、それなりに相手に決意が伝わるでしょう。私はこの決意こそが重要だと思います。決意が固く、毅然とした人には、自分勝手なことは言いにくいと感じるからです。
行政書士の職印付きの内容証明
行政書士は行政書士会に登録した「職務上使用する印鑑」を持っています。「職印」です。依頼者の印鑑を押して内容証明郵便を発送することもありますし、職印を押すこともあります。
しかし、専門家が事情を聞いて作成した内容証明であれば、職印の効果よりも「内容」の効果の方が大きいと思います。法律と事情を考慮して、工夫して書いてあるはずです。
また、「彩行政書士事務所」という名称や「職印」を入れないことで、多少、ソフトな内容証明になるでしょう。ソフトな方が効果的な場合もあります。
弁護士からきた内容証明に応じなければ裁判
内容証明郵便が弁護士から届くこともあるでしょうし、行政書士から届くこともあります。弁護士に依頼しても行政書士に依頼してもよいのですが、行政書士に依頼するほとんどの人は「労力と時間と費用」を総合判断しているのだと思います。
弁護士と行政書士では、似たような業務もしますが、もともと異なる士業ですから、作成する内容証明も異なることが多いでしょう。
何か困ったことがあったら、とにかく弁護士に相談してよいのです。風邪を引いたかなと思ったら大学病院へ行っても構わないのと同じ理屈です。しかし、弁護士さんに内容証明郵便を依頼した場合、内容証明郵便で効果が上がらなければ、裁判に移行して、望みを叶えてくれるというほど単純なものではありません。
弁護士でなければ、和解交渉・示談交渉ができない
これは本当です。ここでいう和解交渉・示談交渉とは、依頼人から「どのような条件を相手に提示するか、どういう条件で和解するかなど、いちいち依頼人本人に聞かずに相手と意見交換する」ことです。依頼人からすれば、「私にとって最も良いと思うように、自由にやってください。お任せします」ということになります。
ですから、相手が内容証明を受け取って、△△という条件で示談にしてほしいというような内容の電話がかかってきたとしても、それを行政書士が判断して、本人の了承もなく返事はしません。まして勝手に条件を考えません。
しかし、内容証明郵便の作成以外に、回答を受け取ることを行政書士に委任にしていただければ、あなたは相手と直接話さなくて済みます。(たいてい、直接話すのは嫌ですね?) 行政書士は、相手から来た回答をあなたに伝えますので、あなたはまたゆっくり考えてよいのです。
弁護士からきた内容証明に従わないと裁判か
弁護士から持ちかけられた示談条件を呑まなければ、ほぼ自動的に裁判に移行すると思っている人もおられるようですが、そんなことはありません。裁判には、「労力と時間と費用」のかかりかたが半端でなく大きいのです。裁判はそう簡単にするものではありません。
風邪のように、大学病院へ行かなくて済むものは、近所の医院・薬局(行政書士)でよいのです。医院・薬局で手に負えなければ、大学病院(つまり弁護士)をご紹介します。弁護士とは、それくらい大きな仕事をする人で、そのために、一般世間の社会人なら「中堅・ベテラン」といわれるような年齢まで、法律の修行を続けた人なのです。
彩行政書士事務所の目指すもの
一般に、学校を卒業してすぐに行政書士になる人は少ないと思います。専門家になる前に、それなりの人生経験を背負っているのが行政書士でしょう。法律とは別の世界で生活してきて、そこで何かを感じ、専門職となったのが行政書士だといえると思います。
まず、依頼者の相談内容をよく聴いて、総合的に判断します。法や道理・一般常識に則って内容証明郵便をお作りします。しかし、総合的判断の際に、相手の事情もできるだけ考慮しなければ、いくら正論を言っても解決しません。また、一方的に無理難題を押しつけても、状況が良くなるはずもなく、それでは内容証明郵便を出す意味がありません。道理も、感情・情けも考慮して、依頼者の主張が受け入れられるようにできる限りの工夫をしています。