ここでは内容証明を書くのに直接必要ではないけれども、雑学として、関連事項を書いていきます。
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内容証明での「線」
内容証明郵便ではお勧めしませんが、普通に文を書いていると、段落の切れ目に「線」を入れることがあります。
内容証明郵便ではカッコや句読点も1字ですから、上の点線は25字です。(携帯電話でご覧になっている場合や、ブラウザーによっては、改行されて表示されているかもしれません。)
1行に25字あっても、文字数・行数の要件をクリアーしていれば構いません。しかし、これを切れ目のない「線」にすれば、線が長くても1字です。定規を使ってもフリーハンドでも、とにかくつながった線にしてしまえばよいのです。
(特殊な例で、私は内容証明郵便でそのように書いて送ったことがありますが、お出しになる際は郵便局にご確認ください。)
内容証明のタイトル
内容証明郵便を書くときに、タイトル(標題)をどうするのか気になさる方がおられます。
「催告書」「異議申述書」「申入書」「承諾願」「警告書」など、内容に応じて考えてもよいですが、「通知書」「回答書」のどちらかが多いようです。
内容証明郵便は「内容」が重要なので、タイトルはなくても構いません。しかし、一般的には体裁の都合もあって、たいていは付けるようです。とにかく、見当違いなタイトルを付けない限りは、それほど気にしなくてよいのです。
内容証明は弁護士さんに頼みたいですか
内証証明郵便ではきちんと主張や事実を伝えることが重要です。
とはいえ、たとえば1千万円とか1億円が問題になっていると、何かと心配でしょう。もしそれだけの金額を取り返すことができるというのなら、弁護士さんに取り返してもらって、200万円とか500円を報酬として支払っても、十分その価値があるでしょう。
医師の世界に「ゴッドハンド(神の手)」と呼ばれる名医がいるそうです。標準的な医師であれば助けられないとしても、ゴッドハンドは数々の命を救ってきたという実績があるようです。
弁護士というのは、法律の世界のゴッドハンドと言ってもよいかもしれません。法律の勉強のために、青春を犠牲にしたといっている人もいます。
ですから、普通、弁護士さんは大きな仕事をするのです。10万円を取り返したいから、弁護士に内容証明郵便を依頼するということはあり得ないのではないでしょうか。少なくとも、私はそのような内容証明郵便を弁護士さんに依頼しません。10万円を取り返すのに、弁護士さんに9万円支払っても(実際にはもっと安いでしょうが)、1万円の得です。しかし、これでは世界的に有名な医師のところへ行って、風邪薬を処方してもらうようなものです。
「そういう極端なことを言ってはいけません」という声が聞こえてきそうですが、では、10万円取り返すのに7万円かけるならよいのか、5万円ならよいのか、3万円ならよいのか、と考えるときりがありません。そもそも事情によって難易度が異なりますので、いくら費用をかける価値があるか、ゴッドハンドに依頼すべき事案かを検討してみましょう。弁護士さんはスケールの大きな仕事をする「法曹の最高峰」であり、行政書士は「街の法律家」なのです。
とはいえ、当事者には「難易度」がわかりにくいので、まずは街の開業医のような行政書士にご相談ください。弁護士さんに相談が必要でしたらご紹介します。
行政書士には身近な心配事から、気軽にお問い合せ下さい。
「支払わないと法的手段に訴えますよ」
内容証明郵便では、文面の最後の方に、「もし誠意ある対応をいただけないのでしたら、不本意ながら法的手段に訴える用意があります」などと書くことがよくあります。
しかし、たとえば支払いを強く求めるあまり、「支払わないと裁判をしますが、それでもいいのですか」というようなことを書いて、その表現が脅迫を帯びてくると、内容証明郵便を出した人に刑法上の脅迫罪あるいは恐喝罪が成立するようなことがあります。
世の中には腹の立つことが山ほどありますから、怒鳴ることも罵ることもこともあるでしょう。どうすると脅迫罪だと言われてしまうのか、内容証明を書くときには注意しましょう。本題に触れずに「あなたの書いた文章は脅迫だ」という人は、本題をきちんと議論できない場合が多いです。正攻法で勝てないから、話題をそらしているのかもしれません。
私は、内容証明郵便は相手に心理的プレッシャーを与える効果を期待して発送するものだとは、あまり考えていません。
案件にもよりますが、「事実と法に基づいて、正論を熱心に主張」することが重要かと思います。
内容証明郵便を送ったのは誰?
内容証明郵便は発送した内容を郵便局で証明してくれるものですが、送付するときに、差出人の確認(身分証等による確認)はしません。ですから、AさんがBさんの振りをして、「差出人 B」としても、郵便局で発送を断られるわけではありません。
また、内容証明郵便には通常、差出人の印を押しますが、実印でなくても構いませんし、そもそも印(ハンコ)は必須ではありません。
そうすると、誰でも、どんな内容でも勝手に書けてしまいます。
受け取った人は、内容がトンチンカンなら放っておいても構いませんし、内容証明郵便で「事実無根」として反論するのも自由です。
結局、意味のない内容証明郵便を送っても、「いたずらメール」程度のものでしかありません。
実際、そのようなイタズラをする人はいないのでしょう。
捺印は任意ですが
内容証明郵便には実印を押すものと思っておられる方もいますが、捺印するかしないかは自由です。捺印するとしても、実印でも認印でも構いません。「気持ちの問題」が大きいと思いますが、とにかく「実印なら万能」という考え方もよくないと思います。
彩行政書士事務所で業務をお引き受けした場合には、その都度、ご説明・ご相談します。
ただし、内容証明郵便を発送する前に、内容を訂正する場合は必ず訂正印が必要です。また内容証明郵便の枚数が2枚以上になった場合には「契印」を押します。このときのハンコにも決まりはありません。
内容証明郵便の差出人
内容証明郵便に限らず、法的なことはすべて本人ができるのが原則です。成人した人は通常、「行為能力者」といわれ、自分の判断で法律的な行為をすることができるのです。
完全な行為能力の認められないのは、未成年者(例外があります)や、判断能力が不十分だと裁判所で認定された人です。
内容証明郵便を出す場合、自分の名前かそれとも行政書士の名前も同時に書くのかということですが、どちらでも構いません。
また、本人に代わって内容証明郵便で通知し、相手からの回答を受け取ることまで受任することができます。
私の経験では、相手からの返事も受け取ってもらいたいという人がほとんどですが、事案によってこちらからふさわしい方法を提案しています。
いずれにしても、内容証明郵便の内容、使い方のアドバイスはいたします。
内容証明と「職印」
事情を伺い、内容証明を起案し、内容を確認していただいてからの発送となります。
行政書士は内容証明郵便を代理作成することができる国家資格者です。そして、行政書士が職務上作成した書類には「職印」を押すのが通常です。
しかし、ご要望と、その時の状況判断で職印を押さないこともあります。一般には、行政書士の職印のついた内容証明の方が、相手もきちんと対応してくれることが多いようです。
不毛な議論や訴訟を避けることが内容証明の役割のひとつですが、同じことを主張しても、本人が言うのと、専門家が言うのでは、相手の受取り方が違うようです。これが良いことかどうかは別として、現実にはそうだと思います。
内容証明郵便を書く「筆記具」
内容証明郵便を作成するときの筆記具には規定がありません。常識的にみて「鉛筆」はまずいでしょう。同様に「消せるボールペン」も使いませんが、消せるボールペンだとは知らずに使用してしまう人がいてもおかしくありません。
しかし、内容証明郵便は、郵便局に控えをとっておくのです。差出人が保持しているものや、相手方が持っているものを書き換えても、郵便局の控えは書き換えられません。ですから鉛筆で書いてはいけない、という決まりはないのでしょう。
内容証明郵便を発送する場合、最低でも同じものが3通必要ですから、用紙を3枚重ねて、間にカーボン紙を入れ、上から鉛筆で書いても構わないはずです。3通とも鉛筆書きでもよいでしょう。
そういうこともあるからですが、郵便局で内容証明郵便を出すときには、郵便認証司さんが縦横の文字数だけでなく、内容が全部同じかどうかを確認します。結構、時間がかかります。
内容証明の枚数(文字数)にもよるのですが、慣れた郵便認証司さんに受付けていただくと、10分から15分で終わることもありますが、不慣れな人ですと40分とか50分とかかかるようです。需要の多い郵便局ですと、機械化も進んでいるので尚更早いのでしょう。
内容証明での「請求書」
「請求書」と聞いて、すぐ思い浮かぶのは「お金を払ってください。」というものです。
内容証明郵便では、もちろんお金の請求もありますが、たとえば、「うちの子が、学校で△△をされるなどのいじめを受けているので、予防措置を講じてください」とか、「毎晩遅くまで大勢で騒ぐ音がしてとても寝ていられません。度を超えた大騒ぎは慎んでください。誠意ある対応をいただけなければ賠償金を請求します」というように、単にお金を請求するのではなく、大騒ぎをやめることを主な請求するときにも使える表現です。
相手に何かをすること・しないことを求めるなら、「要望書」ということもあるでしょう。他にも、要求書、警告書、催告書、申入書、通告書、などいろいろあります。
もっとも多いのは、「通知書」を出し、「回答書」を受け取るというパターンでしょうか。
内容証明郵便は短い方がお得?
他のページでも書きましたが、弁護士の書く内容証明郵便と、行政書士の書く内容証明郵便は基本的に違います。行政書士の書く内容証明郵便の方が大抵は分量的に長いと思います。少なくとも彩行政書士事務所では、長文の内容証明郵便を作成しています。
内容証明郵便は1ページの字数が決まっていますから、文が長いと何ページにも渡って、その分、郵送料が高くなります。高くなると言っても、2枚目以降は250円増しなので、それほど気にしなくてもよいでしょう。(それでも、弁護士さんに「短い内容証明郵便」を書いてもらうより、かなりお安いです。)
なぜ彩行政書士事務所の書く内容証明郵便は長いのかについては、複雑な話になりますので、また別の機会にご紹介したいと思います。
裁判所内から内容証明を送る(1)
内容証明郵便を裁判所中にある郵便局から送ると、内容証明郵便の効果がアップするという話をむかし聞いたことがあります。
裁判所の建物に出入りしているから、内容証明郵便に誠実に対応しないと、裁判所を利用する準備ができていると印象づけるためでしょうか。
内容証明郵便を受け取る側が、真面目な人で、内容証明郵便を受け取るのが初めて、というのなら、ある程度は、そういう効果があるかもしれません。
しかし、内容証明郵便の知識がある人にそういう送り方をすれば、逆に幼稚な印象を与えると思いますがいかがでしょうか。
実際に内容証明郵便を発送する場合には、相手方の立場や経歴等も参考にして、送り方を考えます。
裁判所内から内容証明を送る(2)
裁判所内の郵便局から内容証明郵便を送ると効果がある、という説があることは上にも書きました。
どこの裁判所にも郵便局があるわけではなく、「最高裁判所内郵便局」「東京高等裁判所内郵便局」「大阪中央郵便局高等裁判所内分室」くらいしかないのではないでしょうか。
内容証明の証明局印に裁判所の名前が入っていると、何か効果があるかについては私は疑問ですし、実際、それで驚くような小心な方にそのようなことをするのはいかがなものかと思います。
内容証明は、相手に応じて差し出すもので、真面目な人には理を説き、不誠実な人には厳しくするものだと考えます。
彩行政書士事務所は川崎市中原区にあり、武蔵小杉駅から東横線、横須賀線・湘南新宿ライン、目黒線、南北線、都営三田線を利用して、東京へのアクセスはよいので、東京高等裁判所内の郵便局から内容証明を出すことも大変ではありません。
しかし、わざわざ裁判所という名称を含んだ郵便局から内容証明郵便を発送するというのは、法律のわかっている人にとっては、かなり幼稚に見えるでしょう。むしろ逆効果の場合があるかもしれません。波風が立つだけで、解決の道は遠ざかるのではないかと心配です。
「最高裁判所内郵便局」もありますが、内容証明郵便の取り扱いはありません。
電子内容証明サービス
内容証明郵便と類似の制度で、電子内容証明サービスがあります。
以下のパソコン環境であれば使えるようです。内容証明郵便ですと、同じものを3通作成して、封筒も用意し、さらに郵便局窓口で結構時間がかかるのですが、電子内容証明サービスですと、そのような手間が緩和されます。
利用するには、まず下記の環境を揃えてください。
組み合わせ1
- WindowsVista(SP2)(32ビット版)、64ビット版はサポート対象外
Windows7(32ビット版) 64ビット版はサポート対象外
- Microsoft Word 2003、2007、2010
JIS第一水準、JIS第二水準以外の文字をサポートしていません。
- Internet Explorer7、8
組み合わせ2
- WindowsXP(SP3)
(32ビット版) 64ビット版はサポート対象外
- Microsoft Word 2003
- Internet Explorer6
組み合わせ3
- Windows95,98,98(SE)、
WindowNT4.0、
Windows2000
- Microsoft Word 95、97、98、2000
JustSystem一太郎 Ver.8,9,10
- Internet Explorer4.01、5、6
Netscape Communicator4.6、4.7
その他
- 2011年9月現在です。
- 利用者登録と同時に、決済方法を登録します。そして専用ソフトウェアをダウンロードしてインストールします。
- パソコンですから、具体的に目に見えないトラブルもあるようです。トラブルがあった場合、パソコン・ワープロメーカー・郵便局にはサポートの責任はありません。
- 用紙は5枚が限度です。
- 余白の設定を間違えると送れません。
- JIS第1、2水準の文字しか使えないので、人名など本名で書けないことがあります。
内容証明郵便の規則
随分いろいろと内容証明について書いてきましたが、規則上、どうなっているのかご紹介します。「郵便法施行規則」の引用です。
郵便法施行規則
(平成十五年一月十四日総務省令第五号)
最終改正:平成二〇年一一月二八日総務省令第一二七号
(内容証明の取扱いに係る認証の方法)
第十四条 法第五十八条第一号 の認証は、次に掲げるところにより行うものとする。
一 内容証明の取扱いをする郵便物の内容である文書(以下この項において「内容文書」という。)及び内容文書の内容を証明するために必要な手続(以下この条において「証明手続」という。)に従って作成された内容文書の謄本(証明手続において当該内容に係る情報が電子計算機により記録される場合にあっては、当該情報を含む。以下この項並びに次条第一項及び第四項において「謄本等」という。)により内容文書と謄本等の内容が符合することを確認することその他の証明手続が適正に行われたことを確認すること。
二 内容文書及び謄本等に、次に掲げる方法により当該郵便物が差し出された年月日(以下「差出年月日」という。)を記載すること。
イ 別記様式第一による印章のいずれかを押す方法(電子計算機その他の機器を使用して当該印章の印影を表示する方法を含む。)
ロ 差出年月日及び「郵便認証司」の文字を記載し、これに署名し、又は記名押印する方法
2 郵便認証司は、前項第一号の確認をする場合において、証明手続が適正に行われたことについて疑いがあるときは、当該証明手続を行った者からの説明の聴取その他の当該確認をするために必要な措置を講じなければならない。
(内容証明認証簿)
第十五条 会社は、その営業所(内容証明の取扱いをする郵便物の引受けの業務を行うものに限る。)に、別記様式第二による内容証明認証簿を備えて置かなければならない。ただし、会社が、当該郵便物の引受けを記録するための文字、番号、記号その他の符号(次項において「引受記録符号」という。)、差出年月日、差出人及び受取人の氏名及び住所又は居所(次項において「差出人氏名等」という。)並びに「郵便認証司」の文字が記載され、かつ、郵便認証司の署名又は記名押印(謄本等が電子計算機により記録される場合にあっては、郵便認証司の氏名の記録を含む。)がなされた謄本等を第三項に規定する期間以上保存することとしている場合には、当該謄本等をもって内容証明認証簿に代えることができる。
2 郵便認証司は、前条第一項の規定による認証をしたときは、前項ただし書に規定する場合を除き、内容証明認証簿に引受記録符号、差出年月日及び差出人氏名等を記載し、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
3 内容証明認証簿は、会社において当該内容証明認証簿に記載されている認証に係る郵便物の差出年月日のうち直近の日から五年間保存しなければならない。
4 会社は、前項の規定により保存されている内容証明認証簿(第一項ただし書の規定により謄本等をもって代える場合の当該謄本等を含む。)を亡失したときは、遅滞なく、その状況を総務大臣に報告しなければならない。
以上ですが、ご参考になりましたでしょうか。