宗教の勧誘

「宗教に入信させられた」というご相談はよくあります。

退会するのは可能なはずですが、後に問題を残さないためにも、結果だけをみるのではなく、一度は相手(勧誘する人)の心情を考えてみるとよいと思います。

リストカット?

実際に私に起きたことです。

私の小学校時代、忘れ物が多い子でした。

小学校3年4年のときは、担任の先生の方針で、忘れ物をすると朝のホームルーム時間の間、腕立て伏せをすることになっていました。

だから私はほぼ毎日、学校へ行くとまず腕立て伏せだったのです。私の一日は朝の腕立て伏せから始まると言ってよい状態だったのです。

たぶんこの腕立て伏せのおかげなのですが、小学校4年生くらいのとき懸垂が10回以上できました。小学6年生でだいたい15回くらいだったと思います。それで、私が懸垂をすると周囲から一目置かれるのです。

それが嬉しくて、その後も腕立て伏せと懸垂は毎日欠かさずやりました。腕立て伏せという体罰で「忘れ物防止」には何ら役に立ちませんでしたが、「日課として、毎日欠かさずやると、ある程度の結果が得られる」と実感できたことは、私の人生に大きな影響を与えました。

私の懸垂のピークは大学生の頃でした。もっと鍛えようとして間違ったトレーニングをしたせいだと思いますが、手首を痛めました。それにもかかわらず頑張ったので、手を机に突けないほど悪化しました。押して開けるドアがあると、手首が痛くてドアが押せないのです。病院へ通って、薬を塗り、湿布をしていました。手首の湿布薬が剥がれないように包帯をしていました。

すると、なぜか街中で人から声を掛けられるようになったのです。

「私の仲間が今この近所で集まっているんですけど、あなたも一緒に来て、お話ししながらお茶でも飲みませんか?」

これが私の宗教との出会いでした。私が「根性」を出しすぎ、間違ったトレーニングをしたために手首を痛めて湿布していただけなのですが、左手首に白い包帯を巻いていたせいもあって、どうも世間では「リストカット」だと思われたようです。思いもよらないことだったので驚きました。

誘われて行ってみると(なぜ行ったかというと暇だったからですが)、そこは要するに新興宗教の集会所でした。

そこでは皆さんが「勉強」していて、内容はたいてい、これは宗教ではなく科学だ。通常では理解できないような不思議なことがこの世にはたくさんある。これまで人間が知らなかった大きな力がある。その力の加護を受ければ自分はもちろん周囲の人も幸福になるという説明のような気がしました。私の受けた印象をひと言でいうとそんな感じです。宗教と真剣に向かい合っている人からみると、大間違いかもしれませんが、私はこの程度にしか理解できなかったのでご容赦ください。

 

 

入信・入会?

私たちには日常、悩みもありますし、トラブルもあります。そんなとき、人に話したり、相談したりするでしょう。ただの愚痴の場合もありますが。

そして、話した相手が宗教の信者だったりすると、もう少し詳しい、先輩格の信者と接触するよう勧められます。初めのうちは宗教関係者だとは知らされないでしょう。

そして、その教会とか神社仏閣のような本拠地へ行くことになると思います。

そこで丁寧に対応され、お守りとかお札とか会員証などをもらったり、購入したりするようです。

その時に、自分の氏名住所を書き込むと、これが入会届のようなものになるのかもしれません。システムはそれぞれ異なっています。

その後、参加料・賽銭・寄付・お布施など名目はいろいろですが、結果的にかなりのお金を渡すことになるのが通例でしょう。

熱心な信者になる気のない人は、このあたりで「この人たちと縁を切ろう」と思うようです。

自分の本心ではないからと感じる人も、だまされて入会させられたと感じる人もいるようです。詐欺に遭ったという人もいます。

「お金」と「心」

話が逸れますが、お金というのは他の物品とは違った働きがあります。人の気持ちをお金に換算するのです。宗教を信じていたらその気持ちを金額で表すことがある、その教え(宗教)が発展し、多くの人が幸せになれるようにお金を提供するというお金の使い方です。

お金の使い方としては他にも、自分の誠意を表すためにお金を渡す、お詫びのしるしにお金を払うというようなことです。慰謝料というお金が有名です。ですから、お金を取るから悪いとは一概には言えません。

退会

退会したい、信者をやめたい、もう関わりたくないという人はそれなりの手続きをすることになりますすが、どうしたらよいかわからないという方が大勢おられます。

紹介してくれた人や、説明をしてくれた人に自分で話すと、長くなったり複雑化したりしがちなので、専門家に依頼したほうが気持ちが楽でしょう。

内容証明郵便

どうすればよいかはケースバイケースとしか言いようがありませんが、たいていは内容証明郵便を使っています。

口頭で直接の説明はしにくいので書面にするのですが、書面を提出すればすべて証拠として残るというものではありません。

書留郵便で送っても、「確かに手紙は受け取ったが、退会したいというような内容ではなかったと思う。その手紙はもう手元にはない。」といわれるとどうしようもありません。そこで役に立つのが内容証明郵便です。

内容証明を拒否

内容証明が届けられた際に、受取拒否をした場合には「受け取った」のと同じ効果がありますが、宗教施設の集会所には人が住んでいないこともよくあります。配達時に人がいないと、「不在連絡票」が入りますが、再配達の申し込みもしない人がいます。

そうすると、よほどタイミング良く内容証明郵便が届かないかぎり、内容証明が役に立ちません。そういう場合は、ケースバイケースで対応策を考えます。

お札や会員証はどうする

お札・お守り・会員証などをもらったり購入したりして、手元に持っていることがあります。

会員証やお守りなどがあると、退会した気持ちにならないでしょう。返納したくても、内容証明郵便に物品を同封するわけにはいきません。これをどうするか・・・。

これもケースによってさまざまなので、個別に対応方法を考えます。

 

 

勧誘する人の気持ち

世の中で何かの活動するにはたいてい「資金」「費用」が必要です。

昔からある伝統的宗教でも、信者・檀家・氏子等から何らかの方法でお金を集めます。もちろん悪いことではありません。

また、布教活動も必要です。良いものを少しでも多くの人に知ってもらいたい、それによって幸福や善が拡大してもらいたいと考えるのは当然です。

 

毎日毎日、偏った食事をしている人がいたら、バランスの良い食事に変えるよう勧めるでしょう。それでも改まらない人にはサプリを勧めるかもしれません。

どうしても改まらない人を助けようと思えば、だましてでもバランスの良い食事をさせれば、その人の健康と命を守れるかもしれません。

そう考えると、勧誘が強引だったとか、詐欺だったという非難をすべきではないという考え方もまったく成り立たないわけではなさそうです。ただ、これについては断言できませんので、ケースに応じて考えてください。

ありがた迷惑ということもありますし、どうしても自分が退会したいなら、もちろんやめる手続きをすればよいのです。そのようなご相談はけっこうあります。大抵は内容証明郵便が役に立つと思います。

それまでに渡したお金を取り戻したいということになると大抵は非常に難しくなります。まずは早く辞めることが重要でしょう。内容証明郵便の書き方に工夫が必要になる場合もありますのでご相談ください。

彩行政書士事務所の受付

ちなみに、彩行政書士事務所から勧誘の電話等をすることはありません。

メールの場合はある程度時間をかけてご返事しますが、電話の場合、その場での受け答えですので質問の意味を勘違いすることもあります。電話終了後、間違いに気づいて訂正したり、もっと良い方法についてご連絡をすることはあります。

後になって、電話での会話を思い出し、もしかすると誤解なさっているかもしれないと感じる場合に、念のためもう一度お話ししようと思うこともあります。

そのようなことも考慮して、「番号非通知」の電話ではつながらないようになっていますので、ご了承ください。

 

質問内容をうまく伝えられるかどうか不安な方は、メールで事情をいくつか箇条書きにしてお送りください。メールでのご連絡には、まずメールでご返事します。さらにお尋ねしたいことがあれば、必要と思われる事項をこちらから質問させていただきます。