近隣のペット

猫を何匹も飼っている人がいて、近所の人が迷惑をしているということはよくありそうです。
猫を自分の敷地に入れないようにする工夫はいくつも考えられますが、絶対的な良い方法はないでしょう。
実例はこのページの最後にリンクを張っておきます。

猫の飼い主に相談しに行ったり、お願いをしたり、内容証明郵便で注意したりということはあっても、訴訟になることは多くはないでしょう。誰が猫の飼い主なのかわからないかもしれません。

訴訟になったという例を挙げますが、通常、そう簡単に訴訟になるものではありません。訴訟にすれば何とかなるというものではないこともご紹介したいと思います。

猫の悪臭

まず、猫の糞尿に悩まされた例です。
猫を何匹も飼っていて、近隣住人がその糞尿の悪臭に悩まされるということは、飼い主の管理が十分ではないということもあるでしょうが、猫を閉じ込めておくのは難しいのでしょう。

近隣の人が保健所、警察及び区役所などに相談に行っても解決はしませんでした。
そして臭気を専門家に測定してもらいました。臭気が基準値を超えていることを確認したうえで、不法行為に基づく損害賠償と人格権に基づく悪臭の発生の差止めを求めて訴訟をしました。

こういう事案では、相手方(猫の飼い主)の対応が悪いことが多いです。
この例でも、消臭炭シートと記載された段ボールを購入した以外、その買主が猫が自宅から出ないようにする工夫も、糞尿の処理をする努力もほとんどしなかったようです。

損害賠償請求は一部認容

判決では、猫の悪臭が受忍限度を超えていると認定されました。
隣地で住宅の賃貸業をしている人に対しては、猫の悪臭で入居希望者がいなかった分の家賃相当額が損害として認められ、他に慰謝料と弁護士費用の一部の請求が認められました。
賃貸業と関係のない住人に対しては、慰謝料と弁護士費用の一部が認められました。

隣地の住人にとっては、訴訟をしてよかった例だと思いますが、訴訟を起こした人の中に、住宅賃貸業をしていた人がいたことがポイントだと思います。営業上の利益を損なったという事実があったので、訴訟を起こすメリットが大きかったといえると思います。

それなら、ペットによって被害を受けている人は訴訟を起こすとよいのかということですが、次の例を挙げます。今度は犬です。

犬の鳴き声

マンションを賃借して住んでいましたが、隣家は長年にわたって犬の繁殖をおこなっているので、犬の鳴き声がうるさいとのことです。犬の繁殖をしている家では、苦情を受けて、犬のいる部屋を二重窓とする防音工事をしました。

マンションの住人は、賃貸人が居住に適した環境を確保しておく義務があるのに、これを怠っているとして賃料の減額を申し出ました。さらに、このマンションを仲介した業者が犬の鳴き声のことを知らせなかったことは仲介業務に債務不履行があるから契約を解除し、仲介手数料を返還するよう請求しました。

騒音被害は認められず

判決は、隣家との境界で午前8時から午後8時までの時間帯において、犬の鳴き声は健康と安全を確保する環境基準を超えたものの、犬が一斉に吠え続ける時間は限定的であるし、部屋の中での聞こえ方は外とは異なる。また、そもそもここは商業地域であるから他の騒音もある場所である。さらに、犬の繁殖は長年おこなってきたが、マンション賃借人から苦情はほとんどなかった。隣家の犬の飼い主は、苦情を受けて防音工事をしたこともあり、騒音は当初より減っている。犬の鳴き声は全体としては受忍限度を超えるものではない、というような内容です。訴訟を提起した人の主張は認められませんでした。

猫の例と犬の例ですが、どこが似ていて、どこが異なるのか、微妙なところですが興味深いと思います。
猫の飼い主と、犬の飼い主の対応もかなり異なっています。
似たような問題はあちこちで発生しているので、申し入れをきちんとしておくこと、きちんと対応し協議することが大切だと思います。

きちんと申しれや通知をしたことは、後で重要になるかもしれませんし、そのような申し入れを受けたことがないと言われないように、内容証明郵便を使って通知しておくべき場合もあるでしょう。

 

猫対策の一例です。【ニャンコと勝負!