昔の印鑑
印章・ハンコウの歴史は長いです。印章にまつわる話題はたくさんあります。
江戸時代の「爪印(つめいん)」というのはご存知でしょうか。
印章を持っているのは特定の人です。印章のない人は、爪の先に墨を付けて、自分の爪をハンコウのようにして押したようです。
そういわれてもなかなかイメージできません。
自分でやってみると、爪の先ですから、少ししか跡がつきません。爪にベッタリ墨をつけて、爪の端から端まで押そうとすると、妙なカーブになってしまいます。
人によって、多少は爪の形や厚さに特徴がありますから、現代の「拇印」「指紋」のような意味もあったのかもしれません。(印章・爪印とは別に拇印もありました。)
男性は左の親指、女性は右の親指が一般的です。
爪の先に墨を付けようとしても、爪だけでなく指の腹の方まで(指紋の付いている方まで)墨が付いてしまうこともあります。そのまま紙に押せば、現代の拇印に近くなってしまいます。
そのように、かなりいい加減(?)なものなので、爪印の代わりに、ダイレクトに筆で(爪跡のようにカーブを)書いてしまうだけのものもあります。
江戸時代の離縁状、いわゆる三行半(みくだりはん)でも、そのようにしていました。
三行半は、離縁(離婚)したことと、再婚が可能であることを証明する文書です。
文字の書けない人は、筆で縦に三本と半分の線を引き、最後に爪の跡のようなカーブを書くだけでもよかったようです。
印章というのは、形式上のことで、何かを証明する力がどこまであるかというと、かなり不確実なものでしょう。
銀行の窓口から送金するときなど、ハンコウを押す欄はありますが、実務上はキャッシュカード等でハンコウに代えたりしているようです。
もちろん実印はもっと信頼性があることは確かですが、偽造も数多くなされていそうです。
西洋では昔から「サイン」ですが、偽サインもあります。
運転免許証、保険証、印鑑証明、パスポートなど、ほとんどすべてに偽物があると思っておいたほうがよいでしょう。
爪印というのも、「ハンコや拇印を押したことにしますからね。」という程度の意味で、単なる形式でしょう。現在の認印と似たようなものだと思います。
上に書いたことが本当に正しいかどうか確信はありませんので、訂正事項などあればお知らせください。