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故人は資産家でしたか
うちの親はたいした資産家ではなかったから、相続の問題など起きないと考えておられる方は多いです。しかし、不動産や預金の名義書換などはどうしてもしなければなりません。相続税の多寡とは関係ないのです。そのときに遺産分割協議書をたいてい作成します。
こんな場面があったら
さて、ある病院の会計で、係の人があるご老人に
「保険証をお持ちでしたら見せてください。」
と言っている場面があるとします。
そのご老人は見せていましたが、「私は正直にずっと保険料を払っているんだ。どうして文句を言うんだ。」と怒っています。
係の人は、
「苦情を言っているのではなくて、新しい保険証が来ていると、3割負担から1割負担になっている人も多いので、念のため見せてもらったんですよ。その方が料金がお得ですよ。」
と説明するのですが、そのご老人は、さらに文句を言われたと勘違いして一層ヒートアップ。
よくある光景ですが、親がかなりの高齢で亡くなり、相続人もかなりの高齢となると、遺産分割協議などで上の例のように、まったく言っていることが行き違って混乱することがあります。
ご老人の中には認知症の疑いなどまったくないのに、理解力・判断力に問題のある方がかなりおられます。理解力が落ちているとしても、穏やかに、朗らかに年をとられる人もいますが、そういう人は比較的少なく、イライラしている人が多いようです。このご老人も係の人から何か言われるたびに、「文句を言われた」と感じるようです。
遺産分割協議は
家族、親族だけで集合して協議をすると、遠慮がないだけにこのようになりやすいといえます。あるいは遠慮し合って協議が進まないかもしれません。(結局、言いたいことが言えないまま決着して不満が残るかもしれません。)
また、上にご紹介したご老人のように、話の通じない人が相続人の中にいると、揉める原因がなく、法律上の争いもないのに、遺産分割協議が難航するでしょう。遺産分割協議書をどのように作成するかという問題以前の話です。
そういう心配がある方は、初めから専門家に相談しておいた方がよいと思います。上の例のような場合、専門家に任せてもすべてうまくゆくとはかぎりませんが、相続人だけで混乱するよりはよいと思います。家族にはわがままな態度でも、第三者(専門家)の言うことにはきちんと耳を傾ける方もおられます。