業者の対応に不満
『業者に一戸建てマイホームを新築してもらって入居しました。入居して10日後に雨が降ったのですが、かなりの雨漏りがありました。業者に連絡したら見に来て、補修すると快く言ってくれたのですが、なかなかやってくれません。既に何度も電話したのですが、「わかってます。今、忙しいから、もう少ししたらやります。」というばかりで、もう2か月経ちます。どうしたらよいでしょうか。』
上のような工事の瑕疵(かし)に関する問題はよくあります。
通常、これは「請負人がある仕事を完成することを約し、注文者がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを内容とする契約」と思われます。請負契約といいます。工事が完成してから完工検査をして、不具合があるようなら補修させてから引渡を受けることになります。
請負とは
請負契約の法的性質は諾成・有償・双務契約です。つまり、
- 請負は当事者間の合意のみによって成立しますので、契約書を作らなくてもよいことになります。ただ、常識的に考えて、紛争防止のために一定の重要事項を記載した書面がないと心配です。そこで、建設業法19条に「請負契約につき一定の重要事項を記載した書面の交付」をするよう定めてあります。つまり、通常は契約書があることになります。
- 請負には報酬を支払う必要があります。当然だと思われるでしょうが、「無償」で他人のためにする契約もあります。報酬は金銭で支払われると思いますが、民法上、報酬は金銭でなくてもかまいません。また、工事に着手する前にいくらかのお金を支払い、あとは分割とか、完成後に支払うと思っている人も多いでしょうが、報酬は後払いが原則であることも重要です。
- 報酬支払い義務と仕事完成義務では、仕事完成義務が先です。つまり報酬をもらわなくても仕事は完成させなければなりません。しかし、引渡しと報酬支払いは、同時履行の関係にあり、引渡しを受けなければ、報酬を支払う必要はなく、報酬を貰わなければ引渡す必要はありません。
無償補修
引渡しのときには完成していて、瑕疵のないものを受け取ることができることになっていますが、雨漏りは、雨が降ってみなければ気づかないのが普通です。
この場合、請負の業者は、もともと完全なものを引渡さなければならなかったのですから、無償で補修を行わなければなりません。
ただし、「無償で補修する期間」を大雑把に言いますと、
- 特別な法律では、重要な部分の瑕疵については引渡しの時から10年
- 木造住宅では5年
- 鉄筋コンクリート製などなら10年
つまり、一般には10年と考えられますが、契約内容を確認しなければなりません。
(主要な部分でなければ特約による。特約がなければ1年。しかも、重要でなく、補修に過分な費用がかかるようなら、補修の請求はできず、損害賠償請求だけが可能です。)
修補の請求
上に『請負の業者は、もともと完全なものを引渡さなければならなかったのですから、無償で補修を行わなければなりません。』と書きましたが、
「雨漏りがします。」
と電話をして、すぐに直してくれれば問題はありませんが、対応してくれないことがあります。その場合、
- 工事代金の未払い分があれば、該当する工事部分の代金を差し引いて支払う
- 他の業者に瑕疵部分の修補を依頼し、その費用は相手方業者に請求する
- 民事調停・建設工事紛争審議会の調停・裁判で対応する
などの方法が考えられますが、現実には上の3つとも非常に困難でしょう。
修補の請求と内容証明
瑕疵があることを業者に連絡したにもかかわらず、後になって、業者から「そのような連絡も請求もなかった。今日、初めて聞いた。」と言われるかもしれません。そういう場合に備えて使用するのが内容証明郵便です。
内容証明の重要な働きのひとつですが、「何があったか・何を知らせたかを公的に記録する。」ということがあります。特に行政書士の作成する内容証明は、これが重要だと思います。ですから、彩行政書士事務所では、事実関係の記述が不十分で、損害賠償としていくら請求します、というようなことばかり書いてある内容証明を作成することはありません。彩行政書士事務所は法律で争うのではなく、事実を積み上げます。
安い内容証明郵便
上記以外の内容証明の書き方としては、「○○をいつまでに補修してください。そうでなければ訴訟をします。」という趣旨のことだけを記載する方法もあります。この内容証明郵便は簡単に書けますが、物件の何がどう悪くて、注文主は義務を果たしたのだから、業者は何をすべきだというのかがわかりません。
つまり、こういう内容証明郵便を送るということは、訴訟をするという前提です。協議をする予定はほとんどないのでしょう。業者が適切に義務を果たさないのであれば、早速、弁護士事務所に依頼しなければなりません。こういう内容証明郵便でよければ、彩行政書士事務所では1万円もかからずに(本当にこれでよければ数千円で)作成するのですが、これでは役に立たないでしょう。
武蔵小杉の行政書士
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