金融機関からクレジットカードが自宅に届くとき書留郵便になっていると思います。クレジットカードを受け取っていないというクレームを避ける(確実に届ける)ためです。配達人が宛所に持参して、手渡し、そして認印とかサインをもらい、配達年月日・時間が記録されます。
しかし、書留郵便は受け取ったが、そのような書面は入っていなかったとか、中に入っていた書類にそのようなことは書いていなかったと言われる可能性はあります。
実際、手紙を書留便で送ったけれども、封書の中に何も入れずに送ったという例はあるようです。そういうことを避けるなら内容証明郵便にしましょう。(ただし内容証明郵便に物品を同封することはできません。)
内容が明らか
内容証明郵便は基本的には手紙ですが、書いた内容が公的な記録として残る特殊な手紙です。
当事者同士で対話をしていると、後日、言ったのか言わなかったのかが分からなくなることがよくあります。覚えていないだけなのか、本当にそのような発言がなかったのか、あるいは、そのような発言はあったけれどもニュアンスが違うのか、わからなくなります。
主張の内容を確実に記録するという意味で内容証明郵便は信頼できます。
内容証明郵便で質問
内容証明郵便で、たとえば
「10日以内に100万円の損害賠償金を支払いなさい」
と請求することはできますが、実際に支払うかどうかはわかりません。そのように通知しても、もし相手方が払わないのには理由があると考えていれば支払わないでしょう。このように、言いっぱなし(単に要求するだけ)ではよくないかもしれません。もちろん事案によります。
しかし、相手の対応を求める内容にすると内容証明郵便の効果が違ってくることがあります。
- 「貴殿には損害賠償義務があると考えるが、貴殿の意見を聞きたい」
- 「損害賠償金を請求するが、いくらなら支払うか、いつなら支払えるか」
相手方が支払わないのには理由があると考えているのなら、このような内容証明郵便を送れば反論したくなるかもしれません。返事をしないのは、自分の態度や考えに自信がないからかもしれません。少なくとも、問題解決への誠意がないことは推測されるでしょう。
相手方から返事が来たら、それについての意見を返す・・・というように何度か繰り返すと、この手紙のやり取りが協議書の下書きで、全体として話し合いになっていることがあります。そうすると最終的な解決策が見えてきそうです。なお、最初の手紙は内容証明郵便で、2回目以降はメールのやりとりで大丈夫なことが多いです。
内容証明郵便の工夫
「10日以内に100万円の損害賠償金を払わなければ法的措置をとる」
事情によっては、このように強硬な内容のものもあります。もうお互いにあとには引けない感じです。しかし、そこまで決意が固いならと、かえって相手方の態度が軟化することもあります。
内容証明郵便の効果的な使い方を考えずに送付すると、内容の薄いものになってしまうことが多く、残念です。インターネットで内容証明郵便の書き方を調べたり、損害賠償についての記事を読んで、ご自分で作成するとか、ご自身で内容を決めて内容証明郵便の作成依頼に来られる方がおられます。ご自身で考えると失敗するから私に依頼するとよいと言いたいのではありません。少々やり方がうまくなくても、紆余曲折を経て、結果的には解決するということもよくあります。しかし、拝見していて、もう少し工夫すると円滑に進むかもしれないと感じることもよくあります。
結論を出す前にご相談ください。そして早めに対策を考えることが大切だと思います。