印鑑・印鑑証明

書面に押印は不要?

示談書・合意書などの書面を作成するときの押印については多くの人が心配しておられます。

  • 実印が押されていなければ正式には無効なのではないか
  • 押印すると、印影をスキャンされて悪用されるのではないか

というようなことをよく尋ねられます。示談書合意書誓約書遺産分割協議書などで多い質問ですが、内容証明郵便作成のときにも聞かれることがあります。

 

自動車を購入するときなど、ディーラーさんに数枚の印鑑登録証明書を渡すでしょうが、このときにあまり心配する人はいないようです。実際、この時の印鑑登録証明書で悪用されたという話を私は聞いたことがありません。(被害に遭ったことのある方がおられましたら参考までに教えてください。)

 

相続手続きの際に、遺産分割協議書の内容に不満はないけれども、他の相続人に実印の印影を見られたり、印鑑登録証明書を渡すことを避けるために、遺産相続手続き全体を行政書士に任せるという人も結構おられます。

ただ、遺産分割協議書の場合は作成前に、相続人の間で不信感の生じるようなできごとがあったから、印鑑登録証明書を渡すことや、実印の印影を見せたりすることが心配になるのでしょう。実印(印章自体)を誰かに渡す人は通常はいないと思いますが、家族が持ち出したとか、「恩義ある人」に預けてだまされたということは昔はあったかもしれません。

 

また、印影をスキャンするとか、3Dプリンタで印章を作成することもおそらく技術的には可能なのでしょう。

ですから、既に銀行では印章よりも各種の銀行カード(キャッシュカードなど)を信頼しているのではないでしょうか。

悪事を行うには

悪事を行うには、

  • 悪いことをしようという意思
  • 実際に違法行為を実現させる知識や技術

が必要でしょう。自分で知識と技術がなければ、その道のプロに依頼すればよいのかもしれませんが、そのようなプロは広告を出しているわけではないのですから普通は見つけられません。

やり慣れている人には簡単でしょうが、初めてする人によっては意外とハードルが高いと思います。示談書合意書誓約書遺産分割協議書などを作成する相手方がそういう人かどうか考えてみてください。

契約

契約は、一方当事者の申し込みの意思表示と相手方の承諾の意思表示で成立するのが原則です。例外はありますが、簡単に言うと、口約束で契約は成立します。

口約束で成立するのですから、押印どころか署名もいらないのですが、後日、「言った・言わない」の争いを避けるため、また訴訟に発展した場合の証拠のために、書面を作成するわけです。

その書面に押印が必要かどうかについて、「特段の定めがある場合を除き、押印しなくても契約の効力に影響は生じない」ということを、令和2年6月19日、内閣府・法務省・経済産業省が見解を発表しました。法律が変わったわけではありません。

ただし、契約が成立したことを証明できるように、メールの本文や送受信履歴、契約当事者の本人確認書類を保存するなどの対策は必要ということになります。

内容証明郵便

契約が成立していたかどうかが問題になる実例としては、見積もりをお願いしただけなのか、それとも契約が成立したので今やめるならキャンセル料(損害賠償費用)がかかるのかというようなことです。

一方当事者が契約未成立を主張しているのに対し、他方が契約の成立を信じる理由を、メールやファックスの内容を提示して説明すればきちんと解決するというような例があります。

それでも納得しない場合には訴訟になるかもしれませんが、とにかく、いきなり訴訟にする人はいないでしょう。

過去のメールやファックスのをきちんと保管しておくことがまず大切で、主張に違いがあると感じた場合には内容証明郵便で通知しておくことをお勧めします。

誓約書・謝罪文

不貞行為とか不倫の慰謝料に関連して、誓約書謝罪文を差し入れることがあります。これらの書面を作成することで、不倫の慰謝料が大幅に減額されるとか、不倫の慰謝料は請求しないということもよくあります。

これらはたいてい自筆で書いて署名もします。この場合には法的効力ではなくイメージ・雰囲気の問題ですから押印した方がよいだろうと思います。