督促状と催告書

「お金を渡す義務がある」とか「お金を受け取る権利がある」という状況はたくさんあります。そのときに「督促」とか「催告」という言葉を使うことがあります。

督促状

借金の返済、管理費の未払い、税金、ローンなどが期限内に支払われないと、督促状が届くだろうと思います。

最初の督促の後で、すぐに支払えば何の問題もないことがほとんどでしょう。「すぐに」といっても、督促状にいつまでに支払ってくださいと書いてあるでしょうから、その期限内に支払えば利息(遅延損害金)もつかないでしょう。

「忘れているなら思い出してもらおう。」というお知らせだったり「こちらはお金を受け取る権利がありますからね。」という確認や主張ですから、督促状には「重要」とか「親展」と書いてあるかもしれません。

ちなみに、「重要」「親展」というハンコ(印刷)を付けるのに特別なルールがあるわけではないので、重要でも何でもないのにこういう印刷をする業者もいます。気にしなければよいことですが、「重要」「親展」という言葉をむやみに使うと、「オオカミ少年」の教訓のようになってしまって、本当に大切な手紙を見落としてしまうかもしれません。単なるお知らせに「重要」「親展」と書くのはやめてもらいたいものです。

それでも支払わないと

督促状が来ても支払わないと、再度、督促状が来ると思います。ずっと支払わないと何度来るのかわかりませんが、数度は来るでしょう。たいていは、請求の文言が次第に強い調子になっていくでしょう。

強い文言

貸金返還請求や不倫の慰謝料請求などで、はじめから非常に強い文言・厳しい口調で内容証明郵便を作成してほしいというご要望がよくあります。ご自分で「たとえばこういう内容で。」と、文案を作成してこられる人もいます。

強い文言で書面を送る人は、そのときはスッキリするかもしれませんが、場合によっては相手が頑なになることがあります。そうすると後々、かえってストレスが増す可能性があります。それは解決が難しくなるばかりか「紛争」となって、お互いに傷つき、損害を大きくするかもしれません。まずは理解と努力を求める文章を作成するとよいと思いますので、そのような提案は差し上げています。

手遅れになる前に

強い文言、厳しい内容でもよいのですが、厳しくしようとするあまり、手続等が間違っていたり、違法だったりすることがあります。これは修正しなければなりません。

また、相談に来られる前に既に自分で内容証明を発送し、この続きを依頼されても手遅れの場合があります。

「怒り心頭」なのはわかりますが、まずご相談ください。そして、今後の展望と手続きを考えましょう。ですから、ご自分で今後の方針と作成する書面の内容を決めてからでなくてよいのでご相談ください。「愚痴を聞く」ことからはじまって、最善と思われる書類の作成までお手伝いするつもりです。

 

 

催告書

「約束の期限を過ぎましたが、お支払いの確認がとれていないので、このようにお知らせの手紙を出しました。」という意味なら、タイトルが督促状でも催告書でも事実上、相違はありません。

督促状も催告書も、普通郵便でも書留郵便でも内容証明郵便でも構いません。はじめから内容証明郵便で送るかどうかはケースによりますが、事情により、「何度通知したか」という記録があるとよいケースでしたらはじめから内容証明郵便を使うことになります。

相手に何度もお知らせしたのに、誠実な対応をしてもらえなかったという記録を残したいなら、書留郵便で何度送ったとしても、手紙の内容がわからないので、何を主張し、何をお知らせしたの証拠とならないからです。そこで内容証明郵便を使うことになります。このように内容証明郵便では、「内容」「相手方(受取人)」「発送の日」が公的に証明されます。いつ配達されたかを証明したければオプションで「配達証明付き」にしてください。また内容証明郵便で「送り主」が証明されるわけではありませんが、結局は誰が誰に通知したという効果は発生するでしょう。

いきなり内容証明郵便で送って、相手に心理的プレッシャーを与えようという人もいますが、彩行政書士事務所では原則としてそういうことはお勧めしていません。

法的な請求

貸金債権などがあるとき「法的に時効を止める効果」を持たせるなら、内容証明郵便で催告書を送るのが一般的です。理論上は口頭でもよいのですが、実務では内容証明郵便を使ってきちんと催告することで、消滅時効を一時的にストップさせることができます。ただし、「催告書」というタイトルがなくても催告書のことがありますからお気をつけください。

ほかにも、履行遅滞が原因で契約を解除するために「催告および相当期間の経過」が必要となることがあります。

このように「催告」は法的に重要なことがあります。

支払督促

「督促」という名称のものは軽いのかというとそうでもありません。たとえば支払督促です。

支払督促とは、かなり大雑把に言うと、お金を請求する権利があるのに相手が支払わない場合、簡易裁判所の裁判所書記官が債務者の意見を聴かないで、きちんと支払いなさいという書面を作ることになるものです。支払督促が裁判所からきたら、期間内の対応しないと裁判に負けたのと同じようなことになってしまいます。

 

 

内容証明で

督促状も催告書も内容証明郵便で送ることがよくあります。近頃は、住所や氏名は個人情報だから一切人に教えない、教えてはいけないと思っている人もおられます。相手の住所がわからなければ督促状も催告書も送りようがありません。契約どおりにお金を払わなかったからといって、それが犯罪でなければ警察に行ってもどうにもなりません。

いくつかの情報と条件が揃えば、行政書士が内容証明郵便の送り先である相手方の住民票等を取得することができます。行政書士が相手の住民票等を入手できるとはいえ、

  • 単に、昔の交際相手を探してほしい
  • 結婚しているかどうかを戸籍や住民票で確認してほしい
  • 交際相手に、最近子どもが生まれたかもしれないので、戸籍や住民票を見たい

というようなことは業務違反なのでお引き受けできません。

内容証明郵便をはじめから出すかどうかはともかく、内容証明郵便で、事態の悪化を予防したり、解決に近づけることがよくあります。督促状・催告書をお考えの方は早めにご相談ください。