離婚、親権者、親権者の死亡
次のようなケースでは、親権者は誰になるでしょうか?
未成年の子がいたのですが、両親が離婚したとします。
子の親権者は父親としました。監護権も父が持ち、実際に同居し、養育していました。
しかし、父が突然死亡しました。
親権者(一般には未成年の保護者といわれる人)がいなくなってしまったので、その場合は、親権を持たずに離婚した母親が親権者(保護者)になるのでしょうか。
親権者の死亡
親権者だった父の死後、子の「保護者」は離婚した妻、つまり実の母が自動的に保護者になることはありません。
広い意味で使う「親権」は
- 「財産管理権」と
- 「監護権」
を両方をまとめたものですが、
財産管理権と監護権を別々にすることもあります。監護権を誰が持つかは離婚届に記載する必要はありません。離婚協議書には書いた方がいいでしょう。
財産管理権とは、子の法律行為などを代わっておこなうので、法的に強い権限を指します。狭い意味での親権です。
監護権とは、実際に子の生活の面倒をみることです。
このケースでの母には狭い意味での親権(つまり財産管理権)もなく、監護権もありませんでした。父が亡くなった後は親権者がいなくなってしまいます。
それなら母が親権を受け継ぐのかというと、そういうわけではありません。離婚時に母が親権を持たずに、父が持ったのには理由があるかもしれません。ですから、父が死亡したから、自動的に母が親権を受け継ぐというわけにはいきません。
ただ、父は遺言で後のことを考えておくことはできたのです。
管理権とは財産管理権のことです。
父も急に自分が死亡するとは思っていなかったでしょうから、子が成人する前に自分が死亡したら、親権者を△△さんにする、という遺言書を作成していなくても不思議ではありません。
死亡した親権者の叔母・叔父が法定代理人になれるのか
法定相続人とはいいませんが、遺言書で、兄弟姉妹を未成年後見人に指定しておけば、事実上、親権者と似た立場になることができます。「似た立場」とは、未成年後見人のことです。未成年者の監護養育したり、未成年者の財産を管理したり、未成年者に代わって契約等の法律行為を行います。この権限は子の利益のために行使する義務も負うものです。
第840条
1,前条の規定により未成年後見人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求によって、未成年後見人を選任する。未成年後見人が欠けたときも、同様とする。
2,未成年後見人がある場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に規定する者若しくは未成年後見人の請求により又は職権で、更に未成年後見人を選任することができる。
3,未成年後見人を選任するには、未成年被後見人の年齢、心身の状態並びに生活及び財産の状況、未成年後見人となる者の職業及び経歴並びに未成年被後見人との利害関係の有無(未成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と未成年被後見人との利害関係の有無)、未成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。
実の母は、未成年後見人になれるのか
親権者であった父が死亡した後、親権者がいなくなってしまった場合、家庭裁判所が未成年後見人を選任します。
場合によっては、実の母が未成年後見人に選任され、親権者のようになることがあるかもしれません。
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