示談と和解
示談とは、お互いに協議して、当事者間で納得のいく結果を導くことです。結果を「示談書」として書面に残すのが通常です。
「示談」という言葉にあまり良いイメージがないのは、示談の内容がどちらかといえば刑事事件と関わりがあるような場面で使われるからかもしれません。
書面の表題(タイトル)はあまり重要ではありませんが、「和解書」とすると民事的な印象が強くなるでしょうか。確かに、示談よりも和解の方が広い意味で使われるようです。
当事者同士で解決するなら「和解書」「示談書」「協議書」など、お互いに受け入れやすいタイトルにしてください。
参考までに申し上げますと、法的に「和解」という場合には、「裁判上の和解」と「裁判外の和解(訴訟外の和解)」があります。
裁判外の和解
裁判外の和解は、訴訟外の和解ともいいます。裁判所に関係なく、当事者による自治的な問題解決です。和解と示談は似ていますが、和解は、「当事者双方が互いに譲り合う」ものです。少しでもいいから、双方が譲るのであって、一方の主張がすべて盛り込まれるとか、一方の主張がまったく受け入れられないのでは、厳密には和解とはいえないとされています。
協議の上和解して、和解契約書を作成して終了させさます。
和解契約の性質は、
- 諾成契約:財物を引き渡さずに意思表示だけで成立する
- 有償契約:契約の中で「金銭」が動く(経済的出捐がある)
- 双務契約:当事者双方が公平に債務を負っている
です。和解契約の要件として、
- 争いがあること
- 互いに譲歩すること
- 問題を解決する合意をすること
が必要です。一方がこの契約を履行しないなら、他方は催告の上、和解契約を解除できます。合意解除もあり得ます。
和解契約は契約ですから、契約時に一方または双方に大きな勘違い(要素の錯誤)があれば無効であるはずですが、和解の確定効のため、和解契約にはこの点で例外があります。
裁判上の和解
裁判上の和解とは、訴訟がはじまって、双方が意見を述べているうちに、判決を待つまでもなく双方の納得できる結論がみえてきたときにするようです。訴えを提起しても、判決を得ることなく和解で終了する事案はかなりの数になります。それならば、初めから協議して、和解・示談とする方法を先に探るべきではないでしょうか。
和解は、双方が譲歩することが必要であり、そうでないものは「請求の認諾」「請求の放棄」となり、「裁判上の和解」とはいいません。
ここで和解が成立すると、和解調書が作成されます。この和解調書は裁判の判決と同一の効力があるという点が重要です。
「A氏はB氏に100万円を支払え」というような判決を債務名義といいますが、債務名義を持っていても、現実にA氏が支払うかどうかはわかりません。B氏が自分でA氏から取り上げることは許されませんから、もしA氏が自発的に支払わないなら、B氏は国家権力を借りてA氏から取ることになります。それが判決を得た後でする強制執行です。裁判上の和解での和解調書は債務名義となります。
起訴前和解
「起訴前の和解」「訴え提起前の和解」「即決和解」ともいいます。
もし訴訟をするなら民事訴訟となるような法律関係が生じているとき、当事者双方が揃って簡易裁判所へ行き、訴訟を予防するために和解しようというものです。
当事者双方が和解する気持ちがある場合に使うのですが、多くの場合、既に合意がなされていて、要するに簡単に債務名義を作成したい場合に使われているのが現実のようです。
金銭の貸し借りをするときに公証役場で公正証書を作成すると、これが債務名義となります。さらに強制執行認諾文言が入っていれば、簡易に強制執行ができます。
ただし、これは金銭に関するものに限定されることに注意が必要です。(彩行政書士事務所では、強制執行認諾文言付きの離婚協議書を公正証書で使うことが多いです。)
起訴前和解であれば金銭に限らず不動産等に関しても強制執行ができるので、とても便利です。
しかし、既に和解ができていて、訴訟をする気もないのに裁判所を使うのは、裁判所の使い方として間違っているのではないか、という声もあります。
中原区 武蔵小杉の行政書士
彩行政書士事務所では、内容証明郵便を多く扱っていますが、和解契約書の作成・示談の相談・示談書の作成業務もお引き受けしています。
和解契約書の意味について書き記しましたが、他にも協議によって当事者同士で問題解決する方法はいろいろありますから、示談書がよいのか、和解契約書がいいのかと考える必要はありません。ご相談をお寄せください。
彩行政書士事務所は川崎市中原区にあり、武蔵小杉または元住吉駅で面談しています。東急東横線・南武線ご利用の方には特に便利です。
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