結婚しない

結婚しない

ここでいう「結婚しない」というのは、「法律婚をしない」「婚姻届を提出しない」という意味です。それは、

  • 婚姻届という紙一枚ではなく、愛情による結びつきを重んじる
  • 夫婦別姓にしたいので婚姻届を提出できない(受理されない)

など、理由はさまざまでしょう。
内縁関係事実婚・準婚姻ということになっている場合に、不倫(不貞行為)の問題があると、不倫の慰謝料請求ができるのか、不倫の慰謝料請求に応じなければならないのか、という疑問が生じます。

世間一般、身の回りの出来事は、たいてい話し合い・協議で解決できます。私は「大人の解決」とよんでいますが、これができなければ裁判をすることになります。裁判では「納得」するのではなく、「一刀両断にされて諦める」という印象を受けることが多いですが、国家によるお裁きなので、不満をいだいてもどうしようもありません。だから、諦めがつくといえるでしょう。そういう意味ではスッキリします。

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内縁関係

内縁関係とは、

  • 婚姻届が提出されていない(受理されない)
  • 婚姻の実態を有する(社会通念上、夫婦と認められる関係にある)

という2つの条件が必要で、「婚姻の実態を有する男女間の関係であり、婚姻の届け出がないために法律上の婚姻が成立していない」状態ということになります。

婚姻届を提出し、法律婚と認められると、夫婦であるがゆえの制約を受けたり義務が生じたりします。たとえば、同居義務・協力義務とか貞操義務などです。
一方、生活費や相続では配偶者は保護されますし、不倫(不貞行為)からもある程度保護されます。また、子供がいる場合には、家庭の安定を守る意図があると考える人もいます。

事実上の夫婦とは

「婚姻の実態があるのかどうか」については基準が曖昧です。遊園地で「身長△△センチ以下の人は、このアトラクションを利用できません。」という安全上の明確なルールがある場合、使用できるのかできないのか断言できるのですが、夫婦といえるかどうかについては、遊園地のアトラクションと違って、そうはいきません。いくら当人が「自分たちは夫婦だと主張しても、それはこういう理由で事実上の夫婦とはいえない」という明確な基準がないからです。

そこで内縁関係・事実婚といえるのかどうかの話は迷走していきます。

  • 好きになった相手が婚姻適齢に達していないとか、
  • 好きになった相手が3親等内の親族だとか、
  • 当事者の双方が、自分の両親の苗字(氏・姓)を名乗りたいとか
  • 役所から夫婦と認めていただく必要はない

など理由はさまざまです。
法的な観点からすると、婚姻届をしていないということは、「自分たちは夫婦ではない」と宣言しているともいえることがあります。夫婦としての義務を課されることはないかわりに、夫婦として保護されることもなく、個人の尊重というのでしょうか、それでよければ何の問題もありません。

内縁関係は歴史的に正統性がある

歴史的な正統性とまでいっては言い過ぎかもしれませんが、わが国の歴史において、内縁関係はある程度「法的な夫婦ではないが、事実上の夫婦として社会から認められていたケース」が少なからずあります。農業後継者を確保するために、親族間の婚姻を黙認してしまおうというようなことはかなりあったようです。

内縁関係という言葉に「事情があって、法律婚ができない」というニュアンスが込められていることがあるというのも、そういう歴史的事情があるからだといわれています。

法律婚ができない理由があるわけではないが、婚姻届を出さないだけという場合に「事実婚」という言い方をしている例もあるようです。これは敢えて内縁関係と区別しているのでしょう。相手を「配偶者」ではなく「パートナー」と呼ぶのが特徴でしょうか。

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救済のため

夫婦同様に暮らしてきて、たとえば夫(のような人)が死亡したときに、妻(のような人)が、法律上の妻ではないからといって、給付金(遺族給付金・退職給付金など)がもらえないのでは、生活に困窮することも考えられるでしょう。

法律婚ができないけれども、社会的にも夫婦と認められるようなカップルがいた場合に、「婚姻届がなされていないから」という一点だけで、遺族給付が受けられないというはいかにも気の毒です。

もっとも、夫婦ともに働いていて、給付金・生命保険料などはまったく不要というケースもあります。互いに独立した存在であって、互いに依存していないのであれば、経済的救済の問題は生じません。

問題は、不貞行為があった場合、不倫の慰謝料を請求するのかどうかです。主義主張があって内縁関係・事実婚を選んでいるのであって、互いに独立したパートナーであれば、そのパートナーの行為の相手方に不倫の慰謝料請求をしようという発想はないようです。

婚約(婚姻予約)としての内縁関係

婚約とは、将来結婚するという契約とも考えられます。どうすると婚約が成立したのかという判断にも明確な規定はありませんが、婚姻に向けての真摯な約束があれば婚約が成立すると考えられます。
婚約中に、一方的に婚約破棄されるとか、他の異性と関係があった場合には契約違反ですから損害賠償慰謝料請求ができるとされています。

将来結婚するという了解・約束のもとで内縁関係が生じると考えられるなら、「まだ完全な夫婦とはいえない」としても、約束・契約はなるべく守られるべきと考えるのであり、「夫婦に近いもの」として保護されるべきです。

内縁関係にあれば、一方が死亡したときなどに、生存しているほうの補償を図るために「遺族給付金」を認めるというだけでなく、夫婦に近いものだから「婚姻に準ずる関係(準婚関係)」と認めるという考え方もあります。そうすると、内縁関係にあれば不倫の慰謝料請求も認められることになるでしょう。

夫婦となるのにもっとも重要なこと

ベアテ・シロタ・ゴードンさんの書いた憲法の草案の段階から、「婚姻は(略)両親の強要の代わりに相互同意の上に基礎付けられ」とされ、婚姻には男女の合意がに基づくことが肝心とされています。

婚姻にもっとも重要なのは本人同士の意思であって、役所に提出する婚姻届は手続上の問題にすぎず、婚姻(男女の共同生活)には当事者の意思さえ(?)あればよい、と解釈する人もいるでしょう。

そうすると事実上の婚姻関係にあれば夫婦なのだから、不倫があれば不倫の慰謝料請求ができるというのはもっともな主張だと思います。

愛情に法は不要

男女はあくまでも愛情と同意で結び付くとの信念から、法(国家)の介入を拒否する人もいます。

このようなカップルは、一方(たとえばA子さんという内縁の妻)に不貞行為(他の異性との関係)があっても、内縁の夫であるB男さんは、A子さんの相手方に不倫の慰謝料請求をすることはないでしょう。

愛情に法は不要であり、夫婦間に国家が介入することを拒んで、婚姻届けを出していないのなら、相続においても「配偶者が法定相続人で、共同相続人がいる場合には法定相続分が2分の1である。」という法律の適用も好まないと思われます。

法的にもそうなっていますので、もし、自分が亡くなった後、内縁の妻(夫)に財産を残したいのであれば、遺言書を作成しておきましょう。

内縁関係終了時の財産問題

内縁関係が終了した(たとえば、内縁の夫は内縁関係継続を希望していたが、内縁の妻が一方的に出て行った)場合に、慰謝料とか共有財産の精算はどうするのでしょうか。

法律婚の解消(離婚)であれば財産分与の手続きがあります。配偶者が死亡したのであれば配偶者相続があります。

しかし、敢えて婚姻関係に国家・法の関与は不要と考えて、法律婚を選ばなかったのであれば、当事者だけで解決することになるでしょう。

そうではなくて、法律婚をしたかったけれども事情があった場合とか、将来結婚しようと思いながら時間が経過してしまっていただけという場合には、内縁関係を法律婚に準じた扱いをしてもらいたい人もいるでしょう。

共同生活費用については、法的には個々に負担・分担するのが当然であり、不公平があれば不当利得等の問題になるようです。

相手方が死亡した場合、「相続(法的な地位・身分によって認められるもの)」と「契約(共同生活をするという約束)」という異なる考え方・制度を使うことになりますから、内縁関係終了後に内縁の夫(妻)が当然に財産の分与を受けることはありません。

それで不都合がある場合には訴訟を起こしてみてください。訴訟の結果どうなるかは、個々の事案で事情が異なるので、訴訟をしてみなければわからないでしょう。

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内縁関係にあるカップルは、法律関係が明確でないので問題の解決が複雑になりがちです。何か生じた場合には、トラブルになる前に書面・内容証明郵便等を利用することをお勧めします。

財産関係の清算もありますが、事実上の夫婦状態がどうなったのかが第三者にわかりにくいですから、後々のことが心配です。
婚姻届はしていないものの、結婚披露宴のようなものをした人の場合は、不倫の慰謝料も複雑になることがあります。複雑化すると、泣き寝入りであきらめたり、曖昧なまま放っておくことになりがちですから早く対処しましょう。
内容証明郵便・合意書示談書契約書など、状況に応じて上手に使いましょう。

面談はしやすいように、

  • 平日の18時・19時からでも
  • 土曜・日曜・祝日でも
  • 東急東横線・JR南武線の交差する武蔵小杉、または隣の元住吉で

おこなっています。電話・メールでご連絡ください。
時間外も携帯電話で可能な限り対応します。会議中・移動中などは、なるべく早くこちらからお電話しますので、しばらくお待ちください。

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