遺留分が問題になるとき

遺言書がなく、相続人たちが遺産分割協議で相続財産を分配する場合は、遺留分侵害額請求が問題になることはないでしょう。遺留分侵害額請求は令和元年7月1日からの規定で、それ以前に遺留分減殺請求と言われていましたものを改訂したものです。

全員の同意

どのように相続するかを決めるのが遺産分割協議ですから、あまりに少ない相続分を提示された相続人が

「私はそれでは納得できない。」

といえば遺産分割協議が成立しませんので、いつまでたっても相続手続き(遺産分割)が終了しません。ということは、名義変更等も何もできず全員が困りますので、特定の人だけが不利益をこうむることもないでしょう。

遺産分割協議のやり直し

遺産分割協議で遺留分を請求(遺留分侵害額請求)することはないと思うのですが、手続きに瑕疵(「かし」と読みます。欠陥とか不手際・妥当でない手続きのような意味です。)があって、本人がどういう法的状態に置かれているのかわからないまま相続関係手続きが進んでしまった、ということはあるかもしれません。
そうなってしまうと、実際には復旧(やり直し)ができないかもしれませんから、そうなる前にお早めにご相談ください。

協議には紆余曲折がある

協議にはたいていは調整が必要です。調整するうちには「紆余曲折」があると思います。話し合いの初期と最終段階ではかなり内容が異なっているかもしれません。

初期と最終段階の間に、誤解や感情的対立の起こることが多いです。よくあるのは、

「こないだ言ったことと違うじゃないか。前に言ったことは嘘だったのか?!」

というような対立です。嘘ではないけれども、考えが変わったとか、事情が変わったという場合がほとんどです。紆余曲折の間に、話が複雑化して、聞いたこと・言ったことがわからないくなるのです。

段階を追ってその経過がわかるように、協議には書面・メモ・メールを利用なさるとよいでしょう。お互いに協議書案を書いて持ち寄るとか、口頭では話さずに書面のやり取りをするだけというのもよいと思います。私は、「なるべく口頭ではなく、書面でのやり取り」をお勧めします。他人行儀に、失礼のないよう丁寧に書いてください。そして、新たな提案をする前、次回の提案の前に、その記録を読み直してください。

話し合いの録音

書面でなくても会話・話し合いの場面を録音しておけばよいと思われる方も多いのですが、実際には音声の録音は意外と役に立たないことが多いです。私はこのことを先輩から「録音は、カドは立っても役には立たない。」とアドバイスされたことを覚えています。ただ、何も記録がないよりは、録音があったほうがよいだろうとは思います。

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