示談書を作る理由
「示談書を作成する」というと、交通事故とか不倫の慰謝料を連想する人が多いと思います。
文書のタイトルは法的には重要でないので「示談書」と書いてある必要はありませんが、たとえば、
- 人のスマホを壊した
というような場合に、「どのようなことについて」「どういう示談が調ったのか」を記載した書面を作るでしょう。
スマホが壊れるに至った経緯を明らかにした結果、過失が100パーセント自分にあるとします。
当然、弁償するでしょう。
ただし、データの問題があります。
「スマホの修理」とか「スマホの買い替え」で済むならまだよいのですが、うまくデータを回復できないとか、失われたデータが非常に貴重なものだったという場合に、どこまで損害賠償責任はあるのか、どのように損害賠償するのかが気になります。
スマホに入っていた取引先の電話番号が消失したから、期限までに電話できなかった、だから商談ができなかった、商談で得られる予定だった△△円を賠償してほしい、ということになると大変です。
この場合、スマホを壊した人は、誠意を持って対応するつもりはあっても、無制限に賠償金を支払うわけにはいかないでしょう。
将来の安心のために
修理代・賠償金を支払う際に、「こういう条件で、いくら支払えば、本件について一切の清算が完了する」ということをきちんと決めておかないと、たとえ支払い終わっても安心できません。
「あの時には気づかなかったデータの滅失があったから、その分の損害賠償もしてほしい。」と言われるかもしれません。(なかには、「言いがかり」をつけてくる人もいますので。)
そこで、示談書・合意書のような書面には、事故の発生状況、損害の程度、損害賠償の条件、支払額など、かなり詳細に記載する方が無難でしょう。「事実証明」として別に報告書・明細書を添付したほうがわかりやすいこともあります。
またこの一連の協議で、「あなたが後で『ボッタクる』ことを阻止するために、このような書面を作成するのだ」という印象を与えない配慮も大切です。穏やかに書面作成を進める必要があります。
事実証明というもの
示談書・合意書等を作成する前提として、このようなことが起こった原因と結果、お互いの態度を記録する「事実証明」としての書類は、駆け引きも交渉も不要で、客観的に淡々とまとめていけばよい場合がほとんどです。しかし、結構こまかい作業です。
示談書・合意書・協議書・内容証明郵便などを作成する前段階として、事実証明書類を用意することも重要です。
このように事実関係をまとめて記録していく事実証明業務は彩行政書士事務所では実績の多い業務です。