示談書

近隣トラブルと示談書

トラブルはやってくる

生きていくかぎり、多少なりとも人との接触は避けられないわけで、トラブルに遭遇することもあります。我慢する程度であきらめのつく問題もありますし、もっと深刻な問題もあるでしょう。

「一応トラブルは当事者で協議が調いそうだけれども、書面作成について困っている。」という相談もよくあります。
以下、電話での無料相談をもとに改変してご紹介します。

年老いた父が近隣の住民を困らせました。実際には、嫌がらせのようなことをしたようです。
息子はかなり遠くに住んでいますが、息子がやってきて、その近隣住人と話し合って一応話し合いがつきそうです。
ただ、「今後、同じようなことをしたら、責任をとって引っ越しをする」と合意書示談書)に記載するのは妥当だろうか、というようなものでした。(実際の相談内容をかなり改変しています。)

実際、引っ越しが可能で、その覚悟があるならそれでも構いません。
簡単な電話相談なので、どの程度の迷惑をかけたのかはっきりしませんが、たとえば「騒音を出したら、引っ越す」というのは、原因(騒音)と結果(転居)のバランスが悪いかもしれません。
このバランスは大切なのですが、自分が当事者になると冷静な判断が難しいことがあります。

示談書の中の言葉

私は、引っ越しではなく、「1回につきいくら支払う」と定めてはどうかと提案しました。すると、
「罰金ですか? 私か父自身で罰金を払うと約束するのでしょうか?」
と、明らかに不満そうな口調でした。

自分が「罰金を支払う」という書面は作りたくないということのようです。
罰金という言葉は法的には間違いですし、イメージも悪いです。「違約金」「慰謝料」「損害賠償金」「迷惑料」ならよかったのかもしれませんが、私が言った「お金を払う」という言葉から、まず「罰金」と感じたのでしょう。

このように、ささいな言葉遣いだけで感情的にこじれて、当事者間での簡単な示談・合意ができなくなることがあります。

支払う金銭について、
「罰金」
と言うと(言われると)カドがたちます。
謝罪のための慰謝料・損害賠償だという冷静な用語を使いましょう。(ただ、相手が勝手な解釈をして怒り出すことがあるので困ります。) 通常、法律用語をやたらと使うのは避けたほうがよいと思いますが、場合によります。
そういう意味でも、書類作成を専門家に任せると、事務的に割りきって考えられると思います。

また、専門家としては、「事態を大きくしないように」する工夫が大切です。法的に可能なことをどんどんやっていくと、思いもかけない大事件になることがあります。法的に間違っているわけではない(むしろ法的な正攻法な)ので、その結果、人間関係が完全に終了したりもします。

印象の問題だと思いますが、「和解契約書」では気に入らないけれども、「合意契約書」ならよいといわれることがあります。
重要なのは内容で、どちらの表題でも実質的な影響はありません。

解決は「お金」

罰金ではありませんが、トラブル解決に金銭を使うことがよくあります。
「心から謝罪してもらえればお金は要らない。」という人は多いです。ただ、その誠意が見られない(本心からなのかどうかわからない)場合は、その「誠意」を「金銭」で評価するしかありません。

「謝って済むものではない」という場合も、結局、「お金の問題」となります。
「お金がほしいのではない」というのは本心でしょうが、お金で解決しないと、いつまでたっても終了しません。お金を受け取った時点で、腹の虫は収まらなくても、勝敗は決したので「終了」としてください。

トラブル再発防止

とりあえず問題は解決したとしても、問題再発の予防策として、違約金を定めておくことをお勧めします。
書面で再発防止の工夫をしておくと不要な摩擦を避けられることが多いということです。

できれば、当事者だけで決めるのではなく専門家に依頼すると、たいていはスムーズです。

人によっては、専門家を入れると、「そちらが『助っ人』を連れてきたなら、こちらはもっと強そうな助っ人を連れてくる。」と考えて、問題が大きくなることもありますので、その場合は、専門家は真正面から入らずに、アドバイスだけをする方法もあります。

書面の作り方

携帯電話の契約書や NHK の受信料金などでは、一般消費者はただ従うしかありません。契約に自分の意見が反映されることはありません。賃貸住宅や駐車場の賃貸借契約書でも、貸す側(賃貸人)が用意するでしょう。読む人の立場からすると、けっこう高飛車な書き方と読めなくもありません。

遺産分割協議書など、親子・兄弟姉妹・親戚などの間で作成するときに、その文面・文体だけをみて怒りだす人がいます。高齢の人に多いのが「生意気だ。」という感想です。カチンと来る言葉が入っていたのかもしれません。
他にも、「命令口調なのが気に入らない」という反応も多いです。「〜の場合は、〜とする。」と書いてあるだけで怒ります。

一般に、契約書はこういうように書いてありますという意味で、契約書のひな形も参考として添付してもダメなのです。そういう添付書類を読んでくれない人もいます。

そういう態度だから、何かにつけて問題に巻き込まれる(問題を起こす)のだろうと思いますが、こういう人と契約をするのは大変です。専門家に任せると、専門家はこういう表現をするのだろうと納得してもらえることもよくあります。

その場で示談書の作成

特に近隣トラブルですと、当事者間での協議が多いと思います。騒音問題・ゴミ問題等ですと、警察や行政に相談する人もいます。

警察官が示談書・合意契約書をその場で作ってくれることもあるようですが、後日、この契約書の内容をめぐってさらにトラブルになることがあります。

その場で急いで作成したので、双方の意見がきちんと反映されていないのです。当事者自身、本当にどのように解決したらよいのかわかっていなかったかもしれません。

その場で怒って、ケンカになる寸前で警察官を呼び、警察官もその場を収めるために極力双方の意見を聞いてくれたことがよくわかるのですが、やはり自己主張の強い人の意見が反映されやすいようです。

後日、自己主張の弱かった人から示談内容について相談を受けても、すでに双方の署名押印のある合意書ができていると、なかなか内容変更はむずかしいです。

とにかく、その場で「事実関係のメモ」「証拠写真」「目撃者の連絡先」などは集めたほうがよいですが、その場で示談書・合意契約書・和解契約書などを作成するのはやめましょう。

「徹夜で協議して、明け方になってようやく同意したので、気が変わらないうちに、今すぐ契約書を作ってほしい。」という早朝の依頼もありますが、あとで一層混乱する可能性が高いので、少し落ち着いてからにしたほうがいいでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください