不倫の慰謝料請求とは別の問題
自分の配偶者が不倫をした場合、
- 「自分の配偶者」と
- 「不貞行為のあった相手方(不倫相手)」に
損害賠償請求(不倫の慰謝料請求)ができることはご存知でしょう。現在の法律ではそうなっています。例外もありますが、ここでは触れません。また、不倫の慰謝料請求ができるという法律が間違っているという法律家もいます。
とにかく、「自分の配偶者」と「不貞行為のあった相手方(不倫相手)」に請求できるのですが、この人たちだけの間の法律関係も知っておかないと、慰謝料請求全体に影響することがあります。
不倫相手同士の慰謝料請求
不貞行為のあった場合、被害者である配偶者から不倫の慰謝料請求をされる人は通常2人います。
- 「夫または妻」(ここでは「甲」とします)と
- その相手方(「相姦者」といいますが、ここでは「乙」とします)がいます。
甲と乙が不法行為をした人です。
慰謝料請求とは、精神的苦痛等に対する損害賠償ですが、たとえば「乙」が「甲」に慰謝料請求できることはあるでしょうか。
甲も乙も、配偶者から不倫の慰謝料請求をされる立場ですが、甲と乙の間で、精神的苦痛やその他の損害があった場合、慰謝料請求ができるのかということです。
たとえば、
- 不倫相手が一方的に関係を断ったために、悲しい思いをした。
- 20歳代・30歳代の(特に)女性が、不倫のために婚期を逸した。
- 堕胎などをしたために、将来の妊娠が難しく(不可能に)なった。
以上のような事情ですと、損害賠償請求・慰謝料請求はできないというのが一般的です。慰謝料請求権という権利があるのは、法によって保護される理由があるからです。そもそも不倫・不貞行為という不法行為によるものなので、不法行為をした人同士の間で、不法行為によって生じた苦痛を賠償させることはできないとされています。
しかし、不倫によって中絶があったり、中絶によって健康を害した、暴力を受けた、というような事情があれば、「不倫の慰謝料請求」としてではなく、別の慰謝料請求・損害賠償請求が考えられるでしょう。
不倫の清算
自分が不法行為の当事者である場合、上のような損害賠償請求をすることによって、配偶者に不倫関係が知られてしまうことを心配して、黙っているということもあるようです。
「身から出た錆」「自業自得」と言っていないで、きちんと損害賠償請求し、関係を精算したほうがよいかもしれません。
損害賠償に関して、協議がまとまったなら、示談書・合意書(合意契約書)・協議書などきちんと作成しておいてください。そうでないと、後日、(当事者双方とも悪気がなくても、)この問題が蒸し返されるおそれがあります。
不倫の示談書作成
いきなり妙な話をしますが、
もし、頭痛がしたら、あなたはどうしますか?
- 1)我慢する
- 2)痛み止めの薬を飲む
- 3)風邪薬を飲む
- 4)薬店で相談して「痛みの種類」を相談する
- 5)近所の開業医の診察を受ける
- 6)大学病院で検査を受ける
どれが正しいとはいいませんが、これを不倫の問題に置き直して、ある程度法的に解決するなら、上の4番〜6番でしょう。自分の判断だけでなく専門家に相談するということです。
「こういう痛みの場合はどうすればよいかわかっている」のであれば、多分1番〜3番でよいでしょう。
しかし、頭痛には大きく分けると2通りの痛みがあるそうです。対処法も正反対の2通りがあることになります。薬を間違えると、逆に悪化するわけです。
胃の具合が悪い場合も、胃液が多すぎて具合が悪い場合と、胃液が少なすぎて具合が悪い場合があります。胃液が多すぎるときに「消化促進」効果のある薬を飲むと、更に症状は悪化します。
「痛み止めの薬」も「風邪薬」も飲まず、高価な検査機器のない開業医にも行かずに、いきなり大学病院を予約してもかまいません。(が、受け付けてくれるでしょうか。)
もし、脳腫瘍で頭痛がするなら、一刻も早く、大病院で最新設備を使って検査と手術などをしてもらうべきです。すぐに6番です。
実際には、薬剤師に相談してからとか、検査機器もあまりない開業医へ行くでしょう。
不倫の慰謝料請求というのは、協議をきちんとすれば、行政書士の作成する示談書・合意書でほとんどは解決します。話し合う気がまったくないとなれば、弁護士しかありません。「大学病院」とか「手術」です。
手術というのは裁判に相当すると思います。裁判・訴訟は「一刀両断」といわれます。「取っ組み合いの喧嘩」をしているのを、無理やり引き裂くので、一刀両断なのです。たいていは、原告・被告双方が傷つきます。(たくさんの時間・精神的負担・費用がかかります。)しかし、それしか方法がなければやむを得ません。
行政書士でよいのですか?
相談のご連絡が来て話しているうちに、
「そちらは弁護士事務所ではないのですか?」と確認されることがあります。
「私は行政書士です。」と答えます。そうすると、
「すいません。間違えました。弁護士さんに依頼しようと思ったので。」ということで、話は終わります。
ところが、数日して、その人から連絡があり、「そちらに相談に行ってよろしいですか?」ということがよくあります。
弁護士事務所に相談したり、訪ねてみたりなさったのですが、行政書士の方がこの相談に向いているとお考えになったのでしょう。たいていの人にとっては初めての経験なので、どういう状況だと誰に相談してよいのかわからないのだと思います。弁護士事務所で「そういうことは行政書士事務所で依頼してください。」といわれたという人もおられます。
逆に、こちらから弁護士事務所を紹介することもあります。話し合い・協議ができなくなって、行政書士が内容証明郵便を作成したり、示談書・合意書などを作成しても解決できないとなると弁護士さんに依頼するしかないでしょう。ご紹介します。
川崎市 武蔵小杉の行政書士の業務
彩行政書士事務所は、川崎市中原区に本拠を置き、東急東横線とJR南武線の交差する武蔵小杉(あるいは、その隣の元住吉)で面談をしています。
武蔵小杉は、
- JR南武線・東急東横線・東京メトロ副都心線・東武東上線・西武有楽町線・西武池袋線・みなとみらい線・東急目黒線・東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道・都営三田線・JR横須賀線・JR新宿湘南ライン
の乗り入れている駅ですから、
- 川崎市中原区・川崎市幸区・川崎市高津区・川崎市宮前区・川崎市麻生区・川崎市多摩区 ・川崎市川崎区の皆様、
- 横浜市港北区、東京都大田区・世田谷区・目黒区・渋谷区・新宿区、の皆様、
- 東横線・南武線沿線をご利用の方、武蔵小杉・元住吉・武蔵中原・武蔵新城・溝の口に近い方には特に便利です。
内容証明郵便の作成、示談書・合意書の作成などを中心的業務としています。
問題が生じたらすぐに「法律で決着」をつけるのではなく、まず「大人の対応」を考えてください。起こってしまったことを「なかったこと」にして過去には戻れませんが、「修復」は可能でしょう。なるべく冷静に協議してください。「大人の対応」というと悪いイメージがあるかもしれませんが、裁判官や裁判所という税金を使わずに「自分(たち)で解決」ということです。
内容証明が届いた場合、きちんと読むと、大抵は解決方法の提案があるでしょう。内容証明は手紙ですから、反論してはいけないということはありません。むしろ、意見を言ってほしい、誠実に対応してほしいと書いてあると思います。
内容証明郵便を受け取ったけれども、どう回答してよいかわからない場合にもご相談ください。なるべく早く回答をすることも大切です。法律だけを指針にすることはお勧めしませんが、ある程度のルールを知らないと困るかもしれません。
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