話し合い・協議・示談のあと、示談書・契約書などを作成するとなると実印と印鑑証明書が必要になることがよくあります。
印鑑証明書は大抵の人がすぐに用意してくれますが、有効期限がわからないと言われることがよくあります。ハンコのことなども書いていますが、ここでは印鑑証明(印鑑登録証明書)について簡単にご紹介します。
ハンコは押印者の証明になるのか
そもそもハンコの起源はメソポタミアだという話があります。粘土板に絵などを描いた場合に、自分の名前やマークをいちいち描かず、ハンコを押せば済むのならとても便利だったことでしょう。ハンコの作成は手間のかかることですから、一部の有力者しか持てなかったようです。
私の考えですが、このようなハンコは、
1,何度も手描きしなくていいから便利
2,やたらと誰でも所有できないから身分証明になる
という2つの効用があったと思われます。
ハンコは唯一無二
西洋では書類にサインをします。我が国では昔からハンコを用います。自分のハンコは唯一無二という前提です。同じような素材で同じように彫れば、同じハンコができそうですが、そうは考えなかったのでしょう。
現実には、偽造印鑑とか、印影だけを真似るなどする犯罪は多いようです。
「同じ印影をだすハンコはこの世にひとつしかない」(ということになっている)のですから、契約書・示談書などにハンコを押せば、誰が当事者かは明らかなはずです。
そのハンコを誰かに勝手に持ち出されたりして使用されると、本人以外の人が本人になりすますことができるでしょう。これも現実にあるようです。
第三者としての役所
そこで、信頼できる第三者(役所)に、自分のハンコの印影を登録します。この時のハンコが実印です。登録のときには本人確認をします。その本人確認は確実なのかということになりますが、基本的に「役所は正しい。」と考えることになっています。
そして、契約などの前に、役所で自分が誰であるかを証明して、来庁者が役所に登録してあるハンコの印影を発行してもらいます。これが印鑑証明書です。以前は、役所で自分が誰であるかを証明するのに、登録したハンコを役所へ持参したそうですが、今では、自分の実印を持参せず、また身分証を提示せず、印鑑登録カードを提示します。
契約などのときに、役所に保管してある印影と、契約書に押したハンコの印影が同じなら、契約者本人が押印した可能性が非常に高いということになります。
印鑑証明とハンコのことなど
話が前後しますが、印鑑登録するハンコには規定があります。大きさやデザインの制限があったり、100円の印鑑ではダメという自治体もありますが、大丈夫な自治体もあります。役所で「このような量産品では実印にできません。」と断られた人がいるのでしょうか。【ハンコのことなど】に関連事項があります。
印鑑証明書の有効期限
たとえば、1年前の健康診断引書では、現在でも健康なのかどうか心配です。5年前、10年前と古くなるにつれて信頼性は薄れるでしょう。がん予防のためにがん検診をするなら、1年に1度では足りないそうです。少なくとも3か月に一度、できれば毎月がよいそうですが、現実にそれは無理でしょう。
印鑑は簡単にいますと無期限に有効です。「生鮮食品」などとは違って時間の経過によって腐るようなもものではありませんから、いつまで置いておいてもよいのです。健康診断書は検査時の状態は翌日になれば変わっているかもしれないわけですが、印鑑証明書も実印も腐ったりしません。しかし、実印は変更することができます。昨日、登録して、今日、変更しているかもしれません。そうすると、印鑑証明書はやはり新しい方が信頼できるでしょう。
不動産取引や自動車の購入などの場合、真実性を強化するために発行されてからの有効期間を独自に制限しています。
発行日から1か月、1か月より1週間、1週間より前日、前日より当日発行のものの方が安心です。「契約日と同じ日に発行された印鑑登録証明書を添付しなければならない。」とした方が安全ですが、それでは手続き上、不便ですから、3か月間有効と決める場合が多いのです。本来は契約の当事者同士で決めることでしょう。
「3か月過ぎたら無効なので安心」だと思っている方がおられますので、契約書・示談書・遺産分割協議書・特別受益証明書などに関係するときには気をつけましょう。
ある程度は人を信用しないと契約はできません。まったく信用できない人と契約はしない方がいいです。信頼できる人を選んで契約をすればよいわけですが、たとえば相続(遺産分割協議)では相手を選ぶことができません。だから苦労があるのです。
“印鑑証明” への7件のフィードバック