宿泊客の感想

ホテルの宿泊客の感想をご紹介します。実際の話を改変してあります。

客室に置いてある湯沸かしポットに異臭があるので、フロントへ電話で交換を依頼しました。なかなか持ってきてくれないので、30分後、自分でフロントへ行ってみると、スタッフは忙しいわけではなくスタッフ同士でおしゃべりをしていました。電話連絡をしたことを告げると、すぐに「はい、承知しました」と言って代わりのポットを手渡され、さらにどういうわけか客室のポットは自分でプロントに戻すことになりました。オプションで借りた物は自分で戻すものだと思いますが、不備があった物はホテル側で運ぶものではないでしょうか。

ドライヤーを借りたいと電話すると、「取りに来てください」ときつい口調。渡されるときも、「フロントに返却してください」とこれも命令口調です。話し方が素っ気ないだけかもしれないのですが、よい気分ではありませんでした。

朝食のとき、ポットのコーヒーがきれていたので、少し離れたところにいるスタッフさんに「コーヒーがきれているんですけど」とポットを少し持ち上げて声を掛けました。こちらを向いてくれたので理解してくれたのかと思ったのですが、しばらくしてから私の席に来て「どうかしましたか」と聞くので、「コーヒーがきれているんですけど」と繰り返すと、「あ、そういうこと」という反応。

特に間違った対応ではないでしょうが、安ホテルではないのですから、もう少し宿泊客に柔らかな対応をしてもらえないでしょうか。

感想は以上です。

もし上記の状況で、この後スタッフに何らかの不手際があった場合に、この客は怒り出すかもしれません。すでに積み重ねがあるからです。

そして、スタッフは上司に、「特に間違った対応はしていないのに客が怒っている。クレーマーではないか」と報告すると、上司は客が些細なことに大げさにクレームを付けてきたと認識するかもしれません。

納得できないことがあったという相談を受けて、事情を整理してみると、上のようなことがよくあります。

誰もわかってくれない

具体的な不手際やトラブルだけをみていると全体像がわからず、それほど問題のある事態にはみえません。「法的に」考えると(客観的に責任を問えるような問題だけに絞れば)、問題の生じる前の段階・積み重ねはほとんど問題にならないので、苦情を言うほうが非常識にみえるかもしれません。

第三者がちょっとみると些細なことに思えたり、解決は簡単そうにみえることがあります。第三者が仲に入っても、全体の経過を説明しようとする宿泊客の発言をさえぎって、「その話と今問題になっていることとは直接の関係はありません」という調子です。誰もわかってくれないのですが、そもそも話を聞いてもらえません。

損害賠償請求

このようなことは、損害賠償請求のための内容証明郵便を作成してほしいというようなご依頼のときにも重要な問題となります。根本原因は、損害賠償請求の内容よりも、実は問題の起きる前後に重要な点があるケースがよくあります。

相続手続きの際の遺産分割協議でも似たようなものです。上で紹介したホテルの宿泊客よりももっと「それまでの積み重ね」にこだわるのが相続人です。相続を相続開始時の「点」でみるのか、相続にいたるまでの時間的な「線」でみるのかの違いです。

相続人同士で解決しなければ裁判所で客観的に決めてもらうことになりますが、「聞いてもらえない、わかってもらえない」というもどかしさを抱えたまま結論を迎えることがよくあるようです。

もし、わかってもらいたいとなれば、わかってもらえる工夫が必要でしょう。確実な方法はありませんが、面と向かうと言い争いになったり、話が逸れっぱなしでいつまでたってもまとまらないかもしれませんので、書面・メール等を使う方がよいのではないでしょうか。

ここに実際の出来事を書くわけにはいかないのですが、相談者さんが現実に同じ状況ということはありませんので多少なりとも参考になればよいと思います。

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