知識は十分か

雪が降ってから数日経ちましたが、まだ日陰には雪が残っていました。

子供の頃、雪が降れば雪だるまを作ったのを思い出します。

漫画に出てくるような、まん丸くてきれいな雪だるまを作りたかったのですが、それはかなり難しいことでした。結局、そのようなものは作れませんでした。

マンガ・ドラマ・小説などの世界と現実は違うのだと感じたのを覚えています。そのときは、ただそれだけの感想だったのですが、なぜか大人になっても忘れられない記憶です。

現実は違う

ドラマ、映画、小説と現実は違う。さらにいうと教科書や学校で習うこととと現実も違う(このように言うとカドが立つかもしれないので)、教科書や学校で習うこととと現実は必ずしも一致しない、と書いておきます。

なぜこのようなことを書くかというと、彩行政書士事務所では話し合いによる解決法を考えている人のお力になれると考えているからです。

話し合いで解決できることは身の回りにたくさんあります。

実際、人間関係で不愉快なことはよく起こりますが、たいていの場合はそのまま放っておくか、話し合って、そして多少は我慢して解決しているでしょう。あるいは、一応解決したことにしているでしょう。

話し合うときに、「どういう状態になれば解決したことになり、一応の満足ができるのか」というイメージを探すことは大切かもしれません。

そのイメージが、ドラマ、映画、小説、教科書などの世界と同じでなければならないと信じていると、現実的な解決はできないことがあると思います。

冒頭に紹介した雪だるまの例ですと、まん丸い頭と体、黒々とした眼、きれいな枝の両腕、そしてバケツの帽子と襟巻きのようなものをイメージして、そうならなければ「雪だるま」とはいえない、それでなければ「雪だるま」は失敗だと思っていると、多くの場合、雪だるまは完成しません。

具体的な解決

つまり法律書の説明のように解決しなければ、自分のトラブルも解決しないと考えていると、現実の問題は解決しないかもしれません。

もっと具体的にいうと、離婚の仕方・離婚条件が法律書の解説のようにならないと離婚できないとか、あるいは、自分が希望している離婚条件が民法の解説書にあるような離婚協議書の内容と異なるので、相手に言い出せないという人がおられます。

無理難題だから、言ったら怒るだろうと思って遠慮するのは良いことだと思いますが、この程度なら言うだけ言ってみようというのは必要なことだと思います。

また、相手が風変わりな提案をしてきても一応は聞いてみるとよいでしょう。それが当事者同士の話し合いだと思います。

その際、ただ話し合っていると次第に「経過」と「内容」がわからなくなりがちです。だからメールなどで記録が残るようにしましょう。場合によっては、非常に大事なことを最初に内容証明郵便で通知しておくことも必要かもしれません。

知識は完全ではない

ただし、「あなたは何月何日のメールで△△と言ったのだから変更は許さない」「あのときのメールは嘘だったのか」などと言わず、「前に△△と言ったけれども、あのときは××のことを考慮していなかったからやはり変更したい」と説明されたら、とりあえず再考してみるとよいでしょう。

「当事者同士で協議して合意書を作ったのだけれども内容が適切ではなかったので困っている」というご相談をいただくこともあります。このとき、相手の方はどういうお考えなのか尋ねてみると、やはり同様に困っているとのこと。

一度作って双方で署名した合意書は取り消すことができないのではないかということなので、「ふたりとも変更した方がよいのなら、もう一度合意書を作り直せばよいのでは?」とお話しします。

これは極端なケースですが、似たようなことはよくあります。真剣に夢中で協議していると、極端に視野が狭くなることがあるので、根本に戻って、全体を見回して考えてみる余裕がなくなるのかもしれません。

「知識よりも感覚」でしょうか。とにかく自分の持っている知識や見聞きした知識は完全ではない、というのもまた逆に極端で、誤解されそうな表現です。ひとことで言えませんので、具体的にご相談いただければお力になれると思います。弁護士事務所に依頼した方がよいという場合は、そのようにお知らせします。

ドラマや映画で、些細なことでも弁護士に依頼ということがよくあります。西洋では昔からすぐに弁護士事務所に依頼するとも聞いています。(西洋に「行政書士」は存在しないらしいです。)また、格安で引き受けてもらえる弁護士事務所もあります。ただ、当事者同士で協議し合意書を作成するメリットもきっとありますので、お問い合せください。