お金を貸すとき

お金を貸してほしいと言われることがあるでしょう。お小遣い程度ならともかく結構な額のことがあります。「貸してもいいけど、返してくれるのかな」と心配でしょう。「必ず返してくれる保証がなければ貸さない」といえるならよいのですが、なかなかそうはいかないことがあります。

「信じてあてにしない」ことにしているという人がいました。

完全に信じられないからといって貸し借りなどがなくなると、人間関係とか世の中が成り立たない、ということのようです。以前、親しかった頃は誠実な人だったのに、年月が経って人柄が変わってしまうこともあるかもしれません。一応、返してくれると信じて貸すけれども、返済されることを当てにはしないのだそうです。

お金に余裕があるとか、どうしてもその人に貸した方がよい事情があればそれでよいでしょう。

たいていは義理人情で貸しているので、せめて返してもらえる可能性を高めておきましょう。

銀行のように不動産などの担保を取ればよいのですが、手間も費用もかかります。他には、公正証書を作成しておく方法もあります。不動産担保を使うより簡易とはいえ、これもお手軽な方法ではありません。また確実に返済されるとはかぎりません。

知人からであろうと友人からであろうと、人からお金を借りるときには、安心して貸せるような工夫を、借りる人がするべきだと思います。

しっかりした借用書(金銭消費貸借契約証書)を作ったり、返済計画などを立ててもらいましょう。

返済されない

100万円くらいを借りるのに、きちんと公正証書(強制執行認諾文言の入ったもの)を作って、そして約束どおりにきちんと返済します。

これを数回繰り返します。

毎回、手間と時間と費用をかけて公正証書を作成し、毎回、遅延することなくきちんと返済されます。

そして、「額は大きいけど、公正証書作成の費用がもったいないから作らなくていいよね」ということになるくらい信頼関係ができてから、簡易に貸したとします。そうしたら今回は返済されない、どうしよう!ということもありますからお気を付けください。

こういうケースで、ちょっと気の利いた(?)人ですと、男女の関係を絡めてあったりするので、簡単に「訴訟だ!」というわけにはいかなかったりします。

こういう場合に内容証明郵便で請求するかどうかはよく検討してからにしましょう。

お金を借りて「返す」という約束をしたのだから、必ず返してほしいと電話やメール・訪問などを何度もすると、相手が先手を打って、ストーカー被害に遭っているとして警察に通報することもあります。

その結果、警察に呼ばれて説教され、「二度と△△さんには近づきません」という誓約書を書かされたという話も聞いています。

もし返済されなくても悔いはないという覚悟をして貸すのならよいと思いますが、貸すときにカドが立たない範囲の対策をしておきたいものです。上にも書きましたが、借りる人が自分から法的手続きの申し出をすべきですし、そういう人になら貸しても安心度は高いでしょう。

借用書

金銭借用書

金銭消費貸借契約をするならやはり契約書(金銭借用書)を作りましょう。貸し借りの金額によっては、ネット上にあるひな形集や書店で売っているひな形集などを利用してください。

ただし、ひな形の文面を変えて、自分たちで考えた条件を付けたりしないことをお勧めします。自分たちのケースに合わせて雛形を修正するのではなく、雛形に自分たちのケースを当てはめる方が無難です。

「安易にお金を貸したために損害を被った、考えてみれば自分がお人好しすぎた」と後悔し、「恥ずかしくて人に言えない」という人がいますが、そんなことはありません。だまされるとか利用されるということはよくあります。けっこう多くの人がそういう経験をしています。安心してご相談ください。

ひな形をいくつか組み合わせたり修正したために、内容に矛盾が生じて無効になってしまうこともあります。用語などを勘違いして使った場合にも書面の効力が疑わしくなります。ひとたび書面を作成してしまうと、人間関係の良い人同士なら簡単に修正できるのですが、立場の違いなどによっては非常に困難です。