証拠がない
お金を返してくださいという貸金返還請求は、契約書も証拠もなくても可能ですが、相手が納得してくれなければ、証拠が必要です。
AさんからBさんがお金を借りたときに、「私は、Aさんからいくら借りて、どのようにいつ返すか、利息はいくらか」というような記載をした借用書・念書などを貸主に渡すのが普通です。
貸金返還請求などどのときに、Aさんが「ほら、あなたが書いたこういう書面があるでしょ。」と差し出したところ、Bさんは、それを細かく破って、川に投げ捨ててしまったとするとどうでしょうか。
Bさんは、「自分で作成した書類を、自分が捨てただけなのだから、Aさんには関係ない」などということがあります。常識的に考えて、その理屈は違うと思うでしょうが、とっさに反論できないかもしれません。
これは私用文書毀棄罪となると思われます。
事情によっては、警察に届け出て、弁護士に相談しましょう。弁護士ではなく、告訴状という方法もあるかもしれません。
私用文書毀棄罪とは、権利義務の存否、得喪、変更、消滅等を証明するための文書で、(作成者以外の)他人が持っているものです。
一般に、このような書面を受け取った人は、コピーをして保管しておくとよいでしょう。用心のためです。相手が知人友人の場合、借用証書のようなものを書いてもらうことも遠慮してしまうかもしれません。その証書をコピーして保存するということもないかもしれません。
証拠がない場合
後日、告訴状を出したり、弁護士に相談したり、訴訟をすればなんとかなるかもしれませんが、そのための費用が、取り返すものの費用を上回るからあきらめるということがよくあります。そういうことをなるべく防止するための工夫があります。
そういう工夫をするときりがありませんが、内容証明郵便をそのような用心のために使用することもあります。