家賃滞納と契約書

滞納した・滞納された

家賃の滞納は、賃貸人(家主)としてはもちろん、賃借人(借主)にとっても重大な問題です。
家賃を決められた期日までに支払わないだけでなく、未払いの家賃がたまった場合、契約を守っていないので、契約解除の問題が生じます。

一般的に、契約解除は滞納があったときに、
「まだお支払いいただいていないから、速やかにお支払いください。」
という内容の催告をします。

催告をしてから、支払いまでに適切な期間をおいて、なお支払いがなければ契約解除ができます。支払いまでに適切な期間とは、
「しまった。忘れていた。時間を見つけて支払い手続きをしよう」
といって支払えるくらいの期間です。通常、1週間とか10日でしょう。

(ちなみに、内容証明郵便で相手に行動を求めるとき、「△△日以内に△△してください。」と書いたりしますが、これも1週間とか10日、あるいは少し余裕をもって2週間くらいが一般的なようです。もちろん事案によります。早すぎても遅すぎてもよくありません。こういうことは、法的観点から、あるいは業務経験から、さらにその事案の性質を考えて、期間の提案をします。)

催告期間を過ぎても支払いがなければ、
「催告期間が過ぎたのに支払いがないから契約解除します。」
という内容証明郵便を出してから解除すればよいのですが、これでは家主にとって手間がかかり過ぎて気の毒ですから、催告のときに、
「△△日以内に支払いがなければ、あらためて解除の通知は発せずに契約解除します。」
と、初めから内容証明郵便での通知に書き込んでおけば解除通知は不要です。内容証明郵便の発送時に「配達証明付き」と指定しましょう。

また、契約を解除されても当然だというような事情があれば、催告すら不要な場合があります。たとえば、あまりにも長く滞納しているとか、賃借人が犯罪を犯したなど、
「とてもこの人に自分の不動産を貸してはおけない。」
と思うのが普通であるというような事情です。

不動産賃貸借契約書に、「1か月でも滞納したら即座に契約解除する。」と書かれていたりしますが、滞納以外に何も問題がないのなら、この契約条項は無効となる可能性が高いと思われます。

このような文言を契約書に入れることは構いませんし、賃借人(入居者)としては、
「1か月の滞納だけで解除とは酷である。」
と言ってみる、それでもだめなら内容証明郵便などで反論してみてもよいでしょう。

「ひとこと言っただけ」「1回言っただけ」では解決しないことは多いです。根気よく、譲歩も含めて提案と調整をしましょう。

 

内容証明 滞納 川崎

忍耐は必要

それで解決しなければ、あきらめるか、それとも費用と時間と気力・体力を使って訴訟をするかということになってしまいます。そうならないようにするには、我慢と忍耐が必要です。自分に非がない場合には、はなはだ迷惑ですが、人の社会で暮らしていくうちにはそういう不幸が降りかかることは何度かあるでしょう。ひとりではストレスが大きいので、専門家が協力します。

滞納による契約解除は、通常、3か月くらいを目安とするようです。不動産は、家主が苦労して建設費用を工面して、やっと家賃収入が得られるようになった大切な資産かもしれませんので、信頼の置けない人に貸しておきたくはないと考えても不思議ではありません。だから解除が認められるのです。

解除したら、賃借人は退去すべきですが、いきなりホームレスになっても困るので、そう簡単には退去が実現するわけではないでしょう。そういうことに備えて、家主はいろいろな手段を講じておきます。

家賃を払いたくても払えない借主、家賃を払ってもらわないと収入が減る家主、双方が困っているはずです。

公的援助が受けられるのか、法的手段を取るのか、事情が複雑にならないうちに、きちんと協議しましょう。

協議・口約束では不十分のこともありますので、内容証明郵便をお勧めします。口頭での会話では論点がずれたり、後日、違うことを言い始めるかもしれません。どうするか決まった時点で、示談書合意書を作成して、新たな支払い計画を立てることが多いようです。

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