不貞行為は民法上、不法行為であり、その場合、慰謝料請求権(損害賠償請求権)が生じます。慰謝料は被害者の受けた精神的苦痛を慰謝するのに相当の額・ふさわしい額であるべきですが、精神的な苦痛を計測して、さらにそれを金銭に換算するというのは困難です。
誠意の問題が、お金の問題に
不倫の慰謝料にかぎらず、いろいろな問題を解決するのに、「正義」「人情」「人の道」も問題なのですが、いつのまにか最後は「お金の問題」になります。はじめは、本当に「お金の問題」ではなく、「相手の誠意の問題」のことが多いのですが、協議をするうちに結局「金額の多寡・慰謝料の額」の問題になっていきます。
ペットの犬が轢かれて死亡したとすると悲しいでしょう。お金はいらないからペットを返してほしいのです。そうもいかないので、その悲しみを癒やしてもらうためにお見舞金を支払うことはあるでしょう。場合によっては、その悲しみが(やり場のない)怒りに変わると、加害者から少しでも多くの金銭を支払わせたいという気持ちに変わることがあります。
加害者としても誠意をみせるつもりはあるものの、「適正額があるでしょう。」といいたくなるのはもっともです。また、いくら反省しているとはいえ、社会秩序を考えると、法外な額を支払うべきではありません。
このときの「請求される側」と「請求する側」の態度などが非常に問題になります。(話し方が悪いとか、すぐに「法律では・・・」と言うとか、「保険金が出るでしょ。」などです。)
こうしてお互いに一歩も引かずに対立すると、訴訟しか方法がなくなります。おそらく訴訟の用意をし始めると、お互いにいっそう傷つくことが多いと思います。
不倫の慰謝料算定の要素
机上の空論かもしれませんが、一般に、不倫の慰謝料算定の要素として考えられるものとしては以下のようなものがあるといわれています。
ここでは、甲と乙が夫婦、丙が相姦者、甲と丙との不倫が問題となっているとします。甲・乙・丙の立場がわかりづらいですが、大雑把に読んでいただければよいでしょう。
☆ 甲と乙の状況
- 年齢
- 婚姻期間(結婚式の日、婚姻届出の日、同居開始の日)
- 子の年齢、養育状況
- 学歴
- 職業、地位
- 収入
- 資産の額
☆ 甲が丙と不倫を始めた時点での甲乙の婚姻状況
☆ 甲と丙との不倫が始まった経緯
- 丙が婚姻の意思があると偽って甲に接近した
- 甲が丙に「乙と離婚する」と告げ、丙がこれを信じた
- 甲が自分に乙(配偶者)の存在あるいは子の存在を丙に告げなかった
- 丙が積極的に甲を誘惑した
- 甲が、部下である丙の立場を利用して接近した
☆ 甲と丙の不倫の内容
- 期間
- 回数
- どちらが主導的であったか
- 甲と丙は同棲、あるいは甲が丙の住居を借り受けていたか
- 甲と丙との間に子が生まれたか、甲はその子を認知しているか
- 丙は、甲の配偶者として振舞っていたか
☆ 乙が、甲と丙との不倫を知ってからの態度
- 乙は、丙に対して甲との関係を断つよう申し入れたか
- 乙は、甲に対して丙との関係を断つよう申し入れたか
- 甲や丙は、乙に対して不倫をやめる旨の念書を交付しているか
- 丙は甲に対して離婚の申し入れをしたか
- 乙は甲を許しているか
- 乙の丙に対する報復行為の有無・内容
- 乙が丙を提訴するに至るまでの期間と事情
☆ 甲と丙との不倫によって、甲乙夫婦と子に与えた影響
☆ 丙の身分関係等
- 年齢
- 配偶者の有無
- 子の有無
- 子の年齢
- 学歴
- 職業、地位
- 収入
- 資産の額
上記のデータを実際にどうやって手に入れるのか、データを集めて不倫の慰謝料額の増額の要素とするのか、減額の要素とするのかも簡単ではありません。
上記事項と不倫の慰謝料額がどのように関連するかは、ここには書ききれませんので、当サイトの他のページをご参照ください。
不倫の慰謝料の協議
不倫の慰謝料は、内容証明郵便で額も振込口座も指定して請求するのが一般です。一切の反論をせずに全額振り込む人も少なくありませんが、「反省もしているし、誠意もみせたいが、その額には同意できない。」というケースも多いものです。
不倫の慰謝料の額についての協議は、毎回、内容証明郵便でしてもよいのですが、普通はそこまでしなくても大丈夫でしょう。内容証明郵便に始まり、示談書・合意書・和解契約書などで終了します。
不倫の慰謝料が1500万円を超えるとか、毎月5万円を一生支払うというような示談書を作成してほしいという依頼を受けて驚いたことが何度もあります。示談書は一般常識からしても法的にもきちんとしたものにしましょう。
川崎 不倫の慰謝料
武蔵小杉・元住吉を活動拠点として、内容証明郵便、示談書、合意書、和解協議書などの業務をお引き受けしています。
東急東横線、JR南武線、JR横須賀線、田園都市線、小田急線などをご利用の皆様にはアクセスがよいと思います。
面談は
- 就業後の19時、20時からでも
- 土曜・日曜・休日でも
以上の時間帯にも可能なようにしています。まずメールやお電話をください。
行政書士業務かどうか、相談の概略をおうかがいしますが、その際、メールや電話で簡単にお答えできることでしたら相談料金は発生しません。
簡単そうに思えても実は簡単にお答えするのは難しいという事例も多くありますので、その場合は面談してのご相談となります。
面談を一度はするのが普通ですが、多くの業務は全国対応も可能です。まずは、相談の内容をうかがって、面談でなければ受任できない場合はそのように申し上げます。
全国対応可能の場合でも、お電話だけでの業務依頼はお引き受けできません。電話・メール・郵便を組み合わせることになります。
電話の場合は、聞き間違い・勘違いがあったりすることがありますから、後ほど訂正の連絡が必要なことがあります。そのため「電話番号ツウチ」でおかけください。こちらから勧誘することはありません。
電話に出られないとか、長くは話せないこともありますので、その場合はなるべく早く折り返しのお電話を差し上げます。
留守電になっている場合、「慰謝料請求の件」とか「内容証明の件」のように、ひとことご用件を入れていただけると、迷惑電話との区別がつくので助かります。
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