不倫の法律関係
このホームページでは、「不倫の慰謝料」といっていますが、正しくは「不貞行為の慰謝料」です。浮気もまとめて同じように考える人もいるでしょう。
ここでは、感情面はちょっと置いておいて、手続面を中心に、ざっと流れを紹介してみます。
不倫の慰謝料問題の例
妻あるいは夫から、不倫相手に慰謝料請求できるということはよく知られていますが、請求について誤解していたり、手続き的に妥当でないこともあるようです。
まず、状況設定です。
- A男とB子が夫婦で、
- A男とC子が不倫した。
という設定で説明します。
- (2)夫であるA男とC子が、不倫・浮気という不法行為を犯した加害者です。共同不法行為ですが、一般的には、C子よりも夫であるA男の方が責任が重いようです。
B子からの300万円の慰謝料請求を認めるとして、この300万円は、AとCが共同で払うので、とにかく、A男とC子で300万円支払います。
- (3)夫のAとCが300万円支払って、「これで、今回の不倫については解決した。」という示談書を作るとよいでしょう。
- (4)夫のA男とC子は、ふたりで連帯して300万円支払いました。不真正連帯債務といいます。AとCの間で、300万円の内訳(負担割合)を決めます。共同不法行為ですが、ふたりの責任の重さに応じて支払額を決めます。一概に2分の1で、ひとりが150万円とは限りません。C子は断り続けたのに、A男の強引さに負けて、不倫に応じたかもしれません。そこで、たとえば、その300万円を、Aが200万、Cが100万支払うというように決めます。この分け方は、妻のB子には関係ありません。
- (5)A男とB子が離婚するなら、以上で終了してもよいでしょう。
- (6)しかし、A男とB子が離婚しないなら、B子は腑に落ちないかもしれません。
夫が貯金から200万円引き出し、C子の出した100万円と合わせて、B子に300万円支払っていたとすると、B子としては、「自分たち」の口座(夫婦の家計)から200万円出して、C子の100万円を合わせて、300万円入ると、差し引き100万円のような気がしないでしょうか。それなら、慰謝料は実質100万円のような感じです。
もしかすると、A男が250万円、C子が50万円かもしれません。そうすると、慰謝料は50万円のような感じかもしれません。
- (注意1)もしA男がB子に慰謝料を支払わず、C子だけが支払うようにするなら、内容証明郵便も示談書もそのように工夫しなければなりません。
- (注意2)不倫についてネットやSNSで公表したりすると、犯罪になることがあります。
- (注意3)C子が、不倫ついてみだりに口外するなどして、A男が社会的・経済的損害を受けた場合には、C子に損害賠償義務が生じるかもしれません。
C子に損害が生じた場合も同様です。
- (注意4)C子に「慰謝料」という名目で妻のB子に金銭を支払わせるために、A男がC子と不倫関係になるという犯罪もあります。
- (注意5)A男とB子が、それぞれ仕事をして別々に収入があって、夫婦の共同生活に必要な費用は、協議の上、毎月、または特別にその都度協議して支出している(つまり夫婦の家計が別)とすると、上の(6)があまり問題にならないケースもあるようです。
不倫の違法性と慰謝料の分担(負担額)
不倫は違法かどうか疑問があるという人もいるので、裁判の例だけを書いておきます。
この裁判では、不貞配偶者と第三者(不貞をした相手方)との間に、不貞行為における積極性(主と従の関係)も認めて、慰謝料全体のうち、各人が支払う額にも差を認めました。
不倫の慰謝料請求権
不倫は悪くないという人がいます。
- 「法的に・論理的に考えると悪くないはず」だという人と、
- 「不倫なんて、うちの職場ではみんなやってる」と開き直っていう人がいます。
とにかく、裁判では以上のようになっていますので、現在は、訴訟になれば慰謝料請求権は認められるのが基本です。
内容証明郵便等で、不倫の慰謝料請求があれば、額やその他の問題はあるとしても、支払いには誠意をもって応じるべきでしょう。
法律よりも大切なもの
法律を振り回すと、大切なものを失うと思います。
浮気があったとか、不倫の慰謝料請求とか、どう考えても気分のよいものではないので、トゲトゲしがちです。
話し合いでどうしようもないときに裁判で「一刀両断」にすれば、双方とも傷つくことにはなっても、とにかく争いは終了するでしょう。なるべくそれは避けたいだろうと思いますが、そうでない場合もあるようです。
できれば一刀両断にする前に解決したいものです。
そもそも、そんなに大きな問題にしないように、予防を心がけましょう。
ちょっと雲行きが怪しくなったときに、内容証明郵便などを効果的に使うとよいと思います。
不倫の慰謝料の相談
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