婚姻費用

婚姻費用

婚姻費用というと、一般的には「婚姻のための費用」「婚姻生活に必要な費用」のことだと思うかもしれませんが、法的には、特に離婚等がからんでくると、婚姻費用という言葉が少し違った意味を持ってきます。

婚姻費用 内容証明 川崎

 

夫婦には互いに扶助義務がある

「義務がある」といわれると少し複雑な気分ですが、法では、夫婦には互い扶助義務があると規定しています。夫婦間には他にも協力義務、同居義務、貞操義務などがあります。

扶助義務と協力義務は同じような内容です。「扶養」という言葉もありますが、扶養が一方的だとすると、「扶助」というのは双方が互いに同程度の生活を送れるようにするものです。

夫婦が婚姻生活を送っていくうえで、いろいろな費用がかかります。衣食住の費用・子供の養育費・交際費・医療費などがみんな婚姻費用で、これについても、互いに分担する義務があることになります。夫婦が一蓮托生・一心同体のものと考えるなら当然のことですが、現代の法律では、それぞれ別の個性であることが強調されています。そうなると、次第に夫婦という関係の説明が難しくなります。

 

別々の人間だけれども、夫婦となると、助け合う義務を負う。だから、一方だけが良い生活をすることはなく、互いに同等の生活レベルであることを要する。これを生活保持義務といいます。

「夫婦は一体なのではないが、生活保持義務によって、助け合い、同じレベルの生活を送るよう義務付けられている。」ことになります。夫婦の一方が無収入とか収入が低い場合でも、夫婦が同じレベルの生活を送れるように、家計を工夫しなければなりません。

自分の交際費が足りないから、自分に金銭を渡すように請求できるのかというような細かな議論になるかもしれません。

別居した場合

円満に暮らしている限りは問題になりませんが、

「一方が生活費を家計に入れない。」

などのように、夫婦の円満な状態が崩れると生活保持義務や婚姻費用が問題になってきます。

また、婚姻中の夫婦である「A男」と「B子」が不仲となり、1年間別居していたとします。別々に暮らすので、家賃をはじめとして生活費は余計にかかります。A男は、別居によってかさんだ生活費の分をまったく支払っていません。B子は、A男に対し、この費用の精算を求めることができると考えられます。

法的に「婚姻費用」といえば、結婚している間の諸々の費用というだけの意味ではなく、

  • 別居を解消し、同居するまで
  • 別居をして、離婚するまで

の費用を指します。

もし、「婚姻費用」について夫婦で協議する事態となれば、法律用語に詳しくない人も多いわけですから、言葉の意味を確認するか、あるいは使い慣れない言葉はなるべく使わずに、実質だけを協議しておいて専門家に協議の経過をみてもらうとよいと思います。(遺産分割のことを財産分与と言う相談者さんもおられるので、用語ではなく、お話の全体像をつかむように気を付けています。)

 

仲が悪くなって別居したから、「もうそれぞれ自分で生活し、自分のことは自分でする。」ということにはなりません。離婚するまでは、 生活保持義務や婚姻費用分担の義務があります。

 

こういうことになると、結婚がばからしくなるかもしれませんが、未成年の子供がいたりすると、生活保持義務や婚姻費用の分担義務の重要さはお分かりいただけるでしょう。(事実婚だったり、同棲だったりすると、こういうときに子供の福祉に影響がでるかもしれません。)

婚姻費用の算定

婚姻費用の分担額は、双方が同じレベルの生活ができるようにという目安で、夫婦が協議して決めればよいことです。特に厳密な決まりはありません。

婚姻関係が円満でなければ、円満な協議で決まらないことがよくありますから、裁判所の「婚姻費用算定表」を参考にできます。「夫婦の間の費用」であり、子供の養育費まで含んでの計算です。

 

夫婦の一方だけの名義で住宅ローンを支払っている場合とか、子供に特別な教育費とか医療費などがかかっている場合に配慮が必要でしょう。

 

また、夫婦の一方が婚姻中に消費者金融などから借金をしていた場合、この借金が

  • 生活費の不足のためであれば、婚姻費用の分担の問題となりますが、
  • 夫(または妻)の個人的な使途のためであれば、分担せずに夫(または妻)がひとりで支払う可能性が高いでしょう。

婚姻費用の分担と精算が問題になっているくらいですから、おそらくこのあと離婚協議に進む可能性も高いと思われます。別居などがあった場合には、その点を離婚協議書等にきちんと反映させてください。

婚姻費用の減免

ただし、「請求する側が正当な理由なく別居を開始した場合」には、婚姻費用が減免されることがあります。

たとえば、一方が勝手に家を出て、不倫相手と暮らしているというような場合です。これは正当な理由なしに別居をはじめたといわれても仕方がないでしょう。たとえ生活費に困っても、「同等の生活をするための生活費を渡すように。」とは言えないでしょう。

正当な理由なく別居を開始しても、子供を連れて家を出ていったような場合には、子供が生活できるようにしなければなりません。どこにいても、誰といても「自分の子供」なのですから。しかし、婚姻費用(子供の生活費)として支払っても、子供のために使うかどうか疑わしいと思います。こうなると容易に解決できない問題となりそうです。

内容証明郵便を使う

婚姻費用の額については夫婦できめればよいのですが、決め方が問題です。そもそも円満ではなくなってしまった夫婦なのでしょうから、直接合って協議するよりも、メールなどの文章がよいと思います。落ち着いて書けますし、記録に残ります。

自分で書いた場合、一部の SNS でのやりとりのように、「バカ」とか「ア・ホ」とか書いてしまってはせっかく文章にした意味がありません。それが心配でしたら、行政書士に文書(メールの原案)作成を依頼してはいかがでしょうか。

 

何を主張したかを正確に記録する必要があれば内容証明郵便がよいでしょうし、重要な「まとめ・結論」も内容証明や合意書などの書面で残すべきでしょう。強制執行できるものは公正証書にしておくことも大切だと思います。

 

調停・訴訟という方法もありますが、婚姻費用はたいてい「算定表」でわかってしまいます。しかし算定表には数万円の幅がありますので、この幅の中でどのように決めるか難しいことがあります。特殊な事情があれば、もちろん考慮されることになります。

離婚協議書など

彩行政書士事務所では、遺言書・相続・遺産分割・戸籍取り寄せ、離婚協議書の作成などをしています。その際、内容証明郵便なども必要になることがよくあります。

婚姻費用の精算や請求をするとなると、離婚も視野に入っているのだと思います。
離婚の条件は将来の生活に大きく関わりますから、きちんと作成しておきましょう。

直接、夫婦だけで話をすると協議がまとまらないことがありますので、第三者が事情を聞きながら協議書にまとめていくとよいと思います。

彩行政書士事務所の相談

まず電話・メールでお問い合わせください。
だいたいのご用件をうかがい、その場でお答えできるものはお答えしています。一般的なこと・ひとことで済むような説明でしたら、相談料はかかりません。

しかし、たとえば

  • 示談書の書き方を教えてください。」
  • 誓約書の書き方を教えてください。」

というように、いくら「一般的」「普通のもの」でいいといわれても、事情と当事者の意向をうかがわないと答えようがありません。誓約書に法的効力を持たせるのか、それとも「約束だけ」でよいのかなど、非常に重要な問題がありますので面談しながら進めましょう。

協議書 内容証明 川崎

川崎市中原区の行政書士

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