残念ですが、誰でもいつかは人生を終えます。(「残念ですが」というのは不適切な表現かもしれませんが、古代から「不老不死」を夢見ていた人は多いらしいので、このように書きました。)そうしますと、法律では「相続開始」「相続が開始する」といいます。
相続人が相続すると、権利も義務も受け継がれることになります。相続しないことも可能です。その場合は負債も負わない代わりに、財産も受け取れません。
相続開始後の相続手続きとしては、まず相続人が誰なのかを特定・確定します。自分の知らない兄弟姉妹がいることもありますから、きちんと相続人調査、戸籍調査、戸籍集めをします。ご自分でするには、慣れないと難しいかもしれません。予想以上に日数がかかることもよくあります。
そして、どんな相続財産があるのか調べてから、誰が何を、どんな割合で相続するのか遺産分割協議で決めます。もし法定相続人がひとりだけなら、相続開始後、「相続するか、相続放棄するか」を決めて、あとはその手続きをするだけです。
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相続とトラブル
遺産相続・相続手続では相続人の間で、予想しなかった感情的・金銭的な争いになることがあります。兄弟喧嘩の延長のようなものかもしれません。それを防止するには、相続が始まる前の遺言、相続の協議をする前の相続財産調査、相続人のそれぞれの事情の把握、というようなことが重要です。さらに、もっと重要なのは「その家族の歴史」です。親子関係、兄弟姉妹の育ち方、場合によっては兄弟姉妹の学歴・職業・勤務地・収入・健康状態・既婚か未婚か・子供はいるか・・・などさまざまです。
争いになったら
困ってから専門家に相談するよりも、何か始まる前に下準備を専門家に依頼しておくと,無難にしかも費用も安く済むことが多いです。もうどうしようもないという状態になってしまうと、裁判所の力を借りるか,それとも泣き寝入りするか,ということになってしまうかもしれません。
「いざとなったら裁判」とお考えの人もいますが、裁判で円満に解決した例を知りません。裁判が「最後の手段」で「万能」だと思っている人がおられますが、たいていの人が思い描いている裁判と実際の裁判は違うという感想を持たれる人が多いです。(しかし、とにかく結論は出ます。)
相続人は身近な人たちですから感情的になることもあるでしょうが、協議で譲歩し合うことをお勧めします。しかし、その家族・兄弟姉妹などの歴史によっては、この「譲歩」ができないのです。
相続の承認
亡くなった方(被相続人)と不仲だったりすると、相続人なのに葬儀の日程も知らされないことがあります。疎遠だと、知らせたくても知らせようがないこともあります。
法定相続人なら相続することになりますが、その亡くなった方に多額の借金があったりすと心配です。放っておくと自動的に承認扱いになる(相続したことになる)のが原則です。3か月以内に決めることになっていますが、いつから3か月なのかが問題です。ご相談ください。
相続したくない
マイナス財産(借金)の方が多ければ、相続したくないと考えるでしょう。その場合は、相続放棄や限定承認の手続きをします。相続放棄は家庭裁判所で手続きをしますが、ほとんどの場合、簡単なのでご自分でできると思います。費用も通常は数千円です。ただ、多少手間がかかるので、お忙しい方などはご連絡ください。
相続の税金
相続税を支払う人は100人のうち5名まではいないくらいと言われてきましたが、平成27年からの変更で、相続税の対象になるケースが増えることになります。
相続した不動産の名義を変更する登記には多少の料金が必要です。民法などの法律と、税法はかなり考え方が異なります。間違えると税金面で優遇措置を受けられないこともあります。必要に応じて税理士や司法書士とも連携して業務をすすめます。
相続税の額が変われば、遺産分割協議や遺言書、遺留分減殺請求にも影響が出てくるでしょう。内容証明郵便で遺留分侵害額請求をする場合にも注意が必要です。
遺産分割協議
相続財産には、現金・動産・不動産などがあります。相続人がひとりだけでないなら、遺産分割協議をします。遺産の分け方を相談しなければなりません。会議室に集まって協議する必要はありませんので、たとえ立ち話でも電話でもそれは遺産分割協議です。ここで揉めると困るので、法的アドバイスをしながら、遺産分割協議書の作成をいたします。遺産分割協議書も立派な紙に書かなくても済む場合がありますが、法的に最低限必要な記載事項があります。
法定相続人の確定
上にも書きましたように、相続人が誰なのかがわからないことがあります。疎遠な兄弟姉妹とか親戚とかが考えられます。戸籍を取り寄せて調査(相続人調査・戸籍調査)します。人によりますが、かなり複雑なことがあります。相続関係をあらわす家系図の簡略版のようなもの(相続関係図)の作成もお引き受けします。しかし、相続関係図は遺産分割協議等に常に必要というわけではありません。
代襲相続
相続人は配偶者と子供というケースが多いことは事実ですが、子供が先に亡くなっている場合もあります。その時に代襲相続が起きます。亡くなった子の代わりに相続する人がいるケースです。
たとえば、被相続人(亡くなった人がAさんだとします)が高齢の場合などには、その子(Bさんとします)が既に他界しているかもしれません。そうすると、Bさんの子がAさんの相続人となったりするのが代襲相続です。代襲・再代襲を受けるのは誰かについては、具体的にご相談ください。
不動産の相続
相続では土地建物があることが多いので、名義変更が必要です。相続の場合は簡単なケースが多いので、法務局の登記相談コーナーで助言を受けながらご自分でなさる人もいます。しかし、複雑なケースもあるでしょうから、相続の生じたときにご相談いただければ他士業と連携して業務を行います。
不動産以外の相続
不動産は相続人の人数で割ればよいというものではありませんから難しいのですが、もっと大変なのは「タンス預金」や「貴金属類」です。いくらあったかがわかりにくいのでトラブルの元になりがちです。相続人が集合して相談をはじめる前に、誰かが家の中を探して一覧表にすることになるでしょうが、このときにもトラブルが生じるかもしれません。
金庫の中にあったはずのものがないとか、有名な絵画がないというようなことがよく起こります。
相続放棄させられた?
まだ亡くなっていない人についての相続放棄することはできませんが、亡くなってからなら家裁での手続きをすれば可能です。
ところが、相続開始前から「相続放棄証明書」のような契約書面(?)を作成しておられる方がいます。事情があって作成したのですし、当事者が納得しているなら、その気持ちを実際の手続きに反映させることはできると思います。
問題なのは、この契約書(?)を作成するときにだまされたのだと主張なさる人がいる場合です。法的には無効ですが、感情的にもこじれてしまうので、その後の遺産分割協議書作成が複雑化するのではないでしょうか。
相続放棄ではなく、相続分の放棄をしたとか、させられたと(自分では思っている)人もおられます。
書面というものは作成されてしまってからでは、覆すのに苦労します。作成手続きに瑕疵(問題点)があれば、取り消すなど方法がありそうなものですが実際にはかなり大変でしょう。遺産分割協議や遺産分割協議書作成にはご注意ください。
遺言書は難しい
自分が亡くなった後、相続人の間で争いが起きることを心配して、あらかじめ遺言書を作る方も近年、急増しています。ただし、遺言書は単に書いて、印を押すだけでは法的な効力がないことがあります。形式にも内容にも注意が必要です。
遺言が遺恨を残すことも
遺言書を書いたことを家族・親族に知らせておく人と、伏せておく人がいます。場合によりますが、遺言書を書いたことで、亡くなる前から、親子・兄弟姉妹で不仲になることがあります。自分亡き後だけでなく、自分の老後のためにも、みんなが幸せになれる遺言書を作成したいものです。
ただ、遺言書を作成する理由は、さまざまです。
遺留分
遺留分とは、たとえば子供が2人いるのに遺言書で、「ひとりの子に全財産をあげる」と書いた場合、何ももらわない子が、それで異存なければ問題ありません。もし、もらいたければ権利主張しなければならないのが法律です。
この場合、遺言書で「何ももらえない」とされた子も一定額を相続する権利が保障されています。内容証明郵便を使って遺留分侵害額請求が可能です。遺産と法定相続人を特定し、相続人各人の法定相続分を調べる必要があります。
内容証明の行政書士
このように相続手続きでも内容証明郵便が重要になることがありますので、このホームページで相続のご紹介もしています。内容証明郵便の使いみちは非常に広く、奥が深いです。ご相談ください。
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